【79】 ゴルフ観もそれぞれですね            2008.11.22
 
 朝6時、「ゴルフ行こうよ」と奈津子からの電話。天気はどーなんだと外を見てもまだ暗い。先ほど寝たところだぞと思いつつも、「今日は寒くもなくて、絶好の天気だよ」という甘言に誘われて、車のエンジンをかけた。午前中に回ってきて、昼から寝ればいいかという魂胆だ。
 奈津子のホームグラウンド「鈴峰CC」の朝一番に入れてもらうという。7時30分、ゴルフ場へ到着。コーヒーでトーストを流し込んで、早速にスタートした。
 「このごろやってないの」と言いながらも、ハンディを12に上げたという奈津子は、なかなかにスタディなゴルフをするようになった。大きなミスをすることもなく、何よりもアプローチで寄らないまでも乗らないことはないという確実さを身につけている。グリーンエッジからドスンとダフっている僕を見て、「ほらね、サボっているからよ」と余裕を見せる。
 ハーフターンで少し待ち時間があってお茶を飲んでいたら、マスター室から「お二人、ご婦人ですがご一緒お願いできますか」と連絡があった。誰であろうとゴルファーならば、章くんに異存はない。奈津子も嫌がるような気質ではないから、「どうぞ、どうぞ」と一緒にスタートした。


 ご婦人方はダボ、トリのペースだが、バンカーでは3つ4つほど打つし、5mのパットを5mほどオーバーする、マイペースのゴルファーだ。章くんも奈津子も、相手がどんな人でも全く気にならないから、淡々とプレーを続けていた。
 茶店で、お二人に少し遅れて入っていくと、「私、あのコンペ、やめようと思っているのよ」と話している会話が耳に入った。「あの人たち、ハンディが10とか12とかで、合わないのよね」、「私もやめる。いろいろ指図してくるし…」。
 いつも一緒に回る人たちが自分たちよりも上手なので、いろいろ言われるのが気に入らないと言っているのだ。会話に入っていくことはないが、でも…と章くんは思う。ゴルフは上手な人と一緒にプレーしてこそ上達するものである。そこで、あれこれと言われても、ヘボゴルファーとしては甘んじて聞くべきで、自分の糧とするべきだろう。その人の言うことを、自分のフルイでもって取捨選択すればよいのである。
 ゴルフは楽しくなくてはいけないけれど、楽しければ良いというものではない。近頃は120も130も叩いて平然としている人も多いが、章くんが始めた30年ほど前ならば、「もう少し練習してから来いよ」と叱られたものである。前のホールを空けるな、バンカーは自分で均せ、クラブを持って走れ、素振りでターフを取るな、ホールアウトしたらすぐにグリーンを空けろ、…としごかれて、挙句の果ては、フェアウエイからのショットを林へ打ち込んだら「何やってんだぁ。せっかくフェアウエイへ打ったティショットが無になってしまうだろうが」と怒鳴られたこともある。


 そういえば先日も、ゴルフの地域コミュニティのサイトに、「茶店で休憩していたら、私たちの組(4人)を2人組のおじさんたちが挨拶もせずに抜かしていって、前でプレーしていた。カンジ悪〜い」という女性ゴルファーの書き込みがあった。
 ゴルフのルールブックには『3サム(3人組)は2サムを、4サムは3サムをパスさせなければならない』という項目がある。だから「それはあなたたちが『どうぞお先に』と後ろの組に声をかけなければいけなかったんだよ」と書き込もうかと思ったのだけれども、一緒に叱られそうだったので知らん振りしてしまった。


 ご婦人たちのゴルフ観にとやかく言うつもりはないが、ゴルファーも傲慢な人が増えたと思った。
 そんな話を奈津子にしたら、「私も章さんに、よく怒鳴られたわよね」と笑った。えっ…、僕は美人には優しいんだけれど…。
 僕に怒鳴られてきた(…?)甲斐があって、奈津子は86。寝込みを襲われたことを理由に、僕は91。奈津ちゃん、怒鳴ってぇ…!


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