【11】 田中 覚三重県議 暴行容疑で県警に逮捕            2006.07.24


 前三重県会議長、新政みえ代表の田中 覚県会議員が、津市内の飲食店で女子店長に「応対が悪い」と腹を立て、置いてあった椅子を投げつけて怪我をさせたとして、三重県警に逮捕された。本人は容疑を否認しているが、県警では関係者に口裏合わせを強要したり、証拠隠滅の働きかけをする恐れがあるとして、その身柄を拘束した。
 この田中 覚県議は、日頃からその素行が問題視されている県会議員であり、津市の飲食店での悪評は枚挙に遑(いとま)がない。本人は逮捕直前に記者会見を開いて、容疑を強く否定しているが、犯行に及んでいることは間違いなかろう。不法行為が今日まで表沙汰にならなかったことが不思議なぐらいであり、田中容疑者が代表を努めてきた会派「新政みえ」の体質や、選出母体である「連合みえ」のあり方が、厳しく問われるところである。


 私の手元に、田中県議を告発する2つの資料がある。入手先は公開できないが(さまざまなところに出ている文書なので、今さら秘匿にする必要もないのかも知れないけれど)、ひとつは北川県政を揺るがした「伊賀県民局知事印濫用詐欺事件」で、参考人として呼ばれた芝博一現参議院議員が津地方検察庁で述べたという調書である。以下、田中覚容疑者に関連する部分を抜粋する。
 『 …略…。 田中議員は、携帯電話を常に胸ポケットに入れていますが、私と雑談中にその携帯電話に電話がかかりました。対応した田中議員は、「あ、あんたか。なんや、何かあったんか」。 
 中略… それから、田中議員は、「その子は、最初は津の県民局で働いていたのに、今は上野の伊賀県民局にいるらしい。その子が勝手に知事印を押して、架空の契約書を作ったらしい。契約の内容が農林の環境調査に関するもので、契約書をでっちあげて調査会社と契約を結んだらしい。それがばれてきた」と言ったのです。
 中略… 私としても、県の業務補助職員が知事の公印を勝手に使って架空の契約書など作れるはずはないと思いました。それで、冗談で田中議員に、「その職員は、あんたの女か」と言ってやったのです。すると、田中議員は、「そんなことはない。…略… 上野のスナックのかあちゃんから、娘もスナックの手伝いでは結婚するときに可哀想なので県の職員に紹介してほしいと頼まれて、口利きしてやった子や(飯田 注、田中容疑者は旧上野市選出)」
 中略… そこで、私は田中議員に、「県の職員と話をして、ちゃんと処理せなあかんぞ」と言って、アドバイスしてやりました。
 中略… 私は、その後、田中議員は話しをつけたのだと思っていました。ところが、今年1月中ころになって、伊賀県民局の業務補助職員が知事の公印を使って勝手に契約書を作成した内容の新聞報道があり、私はこれを見て、まだ片が付いていないのだということが分かりました。それで、その後に県政会の控え室で田中議員に会ったとき、どうして新聞の記事になったのかと問いただしたところ、田中議員は、「伊賀県民局の農林の職員が新聞社にたれ込みをしたので情報が漏れた」と困った様子で話していました。 以下略… 』
 本人署名押印、…津地方検察庁 検察官事務取扱副検事○○○○、検察事務官○○○○ と記名がある。
 事件は、伊賀市の河川改修工事に絡んで、女子補助職員が知事の公印を盗用して架空の契約書を作成し、数十億の公金を横領したというもの。どこから考えても、25歳の女子補助職員が行ないうる犯行でなく、公金もどこに使われたか判明していない。犯人とされた女子職員は、さまざまな脅迫・強要を受けて裁判の継続を断念し、刑が確定している。こんな事件の決着の仕方があってよいものか。
 関与したとされる政治家やその秘書などが糾弾されなければならないのはもちろんだが、事件を取り扱った三重県警・三重地方検察庁、これを裁いた三重地方裁判所などの機関と官吏の欺瞞も追求されなければならない。
 事件はいまだ、時効を迎えてはいない。今回の田中覚県議の逮捕は、三重県政にくすぶるその闇にメスを入れることをにらんだ動きであろうと思うのだが、ことの行く方をしっかりと見つめていくことが大切である。


 田中覚県議がかかわるとされる三重県政界の暗部は、上に示した伊賀県民局知事印7号印濫用詐欺事件を始めとして、多度RDF貯蔵槽事故問題(大量の肉コップンの償却を裏取引で引き受け、焼却炉の故障から計7名の死傷者を出す事故を招いた)、伊賀の河川改修事件に関与した北川知事元特別秘書の大谷達也氏一家の行方不明事件(生死すら不明である)など、たくさんの問題が究明されていないと指摘されている。
 こんな大スキャンダルがいまだ未解決のまま放置されているのは、三重県民として、たいへん不名誉なことである。事の真相を追究し、真実を白日の下に明らかにするよう、しっかりと見守っていかねばならない。



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