【14】 全国学力テスト 三重は全国平均を大きく下回る    2008.09.12
       − 急がれる 研究体制の構築 −


 今年4月に全国の公立の中3・小6生220万名余りを対象に行われた「第2回全国学力テスト」の結果が発表された。
 テストは国語と算数・数学の2教科で、それぞれ基礎知識を問う「A問題」と、知識の活用力を問う「B問題」に分かれていて、三重県内では特別支援学校の小中学部を含む、小学校413校の6年生約1万7300人、中学校172校の約1万6300人がテストを受けた。その結果、三重県は、中学校は数学A・Bで全国平均を上回ったが、国語A・Bでは全国平均を下回り、小学校は算数・国語の全問題で全国平均を下回った。


 結果を見てみよう。【数字は平均正答率、( )内は全国平均、三重県の順位】
  文部省資料 平成20年度 全国学力・学習状況調査 調査資料結果 【都道府県別】より


 中学校は
   国語A 72.6%(73.6%、42位)、 国語B 59.4%(60.8%、41位)、
   数学A 63.7%(63.1%、20位)、 数学B 49.3%(49.2%、25位)と、
  国語A・Bで全国平均を大きく下回り、数学A・Bでやや上回った。


 小学校は
   国語A 62.9%(65.4%、41位)、 国語B 47.1%(50.5%、44位)
   算数A 70.9%(72.2%、41位)、 算数B 49.7%(51.6%、35位)で、
  いずれも全国平均を下回っただけでなく、かなり深刻な結果が示されている。


 正答率を見ると全国平均を少し下回った程度の数字と受け止められようが、順位を付けてみると、全国47都道府県の真ん中は24位だから、中学数学を除いて、惨憺たる結果であることが解ると思う。41位といえば後ろには6県しかいないということだし、小学校国語Bの44位は後ろから4番目という順位なのである。

  
  【参考】昨年度の結果  平成19年度調査資料結果
   中学校は
    国語A 81.6%(81.6%、32-36位)、国語B 71.0%(72.0%、34-38位)
    数学A 73.1%(71.9%、21-22位)、数学B 60.6%(60.6%、23-31位)と、
   ほぼ全国平均か、やや下。


   小学校は
    国語A 80.6%(81.7%、37-44位)、国語B 60.0%(62.0%、34-40位)、
    算数A 81.1%(82.1%、36-40位)、算数B 61.4%(63.6%、38-42位)で、
   いずれも全国平均を下回っている。


 昨年度、結果について県教委は「義務教育の9年間で、最終的に全国平均になっている。三重は部活動にも力を入れているので、中学校の結果が心配だったが、全国平均並みでほっとした」と話している。その上で「今後、授業改善のための研究授業や、指導方法などの工夫改善のために市町が行う研修会などを支援、学力の定着と向上を図りたい」としている。具体的には、テスト結果をベースにして国や県の研究授業の指定校や指導主事の派遣先、回数などを決めると言っていた。
 三重県が部活動に力を入れているとは知らなかった。全国大会で顕著な成績を挙げていることも知らない。もし仮に、部活動が活発であるとしても、それを成績不振の理由にすることはできまい。部活動に力を入れているから成績が不振なのだ…なんて言い訳が通用しないことは、子どもたち自身が知っている。
 今年の結果が、昨年を大きく下回ったことを、どうコメントするか聞いてみたいものだ。
 
 
 さて、繰り返すが、今年の結果は去年を大きく下回った。去年見られなかった40位台が、今年は8種類の問題のうち5種類に表われている。上でも指摘したが、40位台というのは、後ろから数えて一ケタの順位なのだ。
 「全国学力テスト」の数字をそのまま信用するわけにはいかない面もあることは確かである。小・中学校とも1位は秋田県、生活指導が学力を支えたと自画自賛しているが、ただしセンター試験に関して秋田県は42位。高校の教師がよほどボンクラなのか、中学校を卒業するととたんに生活を乱すのか…。
 中学校の部2位は福井県、「学力全国10位以内」のマニフェストをかかげた西川一誠知事のもと、一丸となっての取り組みだろうが、ここもセンター試験は20位…。小中学校での成績と高校のそれが噛み合わない。
 だから、このテストの数字が全てではないけれども、大きな指針であることは確かだろう。この結果をしっかりと受け止めて、三重県の教育を統括する人たちは早急に具体的な対策を示す責任があるだろう。


 三重県の児童生徒の学力を全国平均に並ばせるために、私は小中学校の教師の研究組織として、「三重県教育研究会」の設立を、かねてから訴え続けてきている。各教科の研究体制を確立して、カリキュラムを作り、定期的な研修を行って、教科の指導や授業技術を向上させるとともに、教材の作成や副読本の出版などを行うことによって、教科指導の研究を推進するとともに現場の指導に供していくことを考えていきたい。
 来年もまた、全国平均以下の問題が半分以上を占めるようなことであったら、三重県の教育関係者の責任は重く、子どもたちは不幸である。


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