【16】 松坂市に全国最年少市長誕生 山中光茂氏 33歳     2009.01.26


 昨年11月末、松阪市の喫茶店で会った野本君がパンフレットを持ってきた。「33歳の県会議員が、松阪市長選に出馬します。差し支えなければ応援してください」と言うのに、「差し支えはないから応援はさせてもらうけれど、勝算はあるのか?」と聞いたら、「まず、ダメでしょう」と言う。2ヶ月前の時点では、陣営内でもまさか当選するとは思っていなかったのだ。


 相手の下村猛氏は、3選を目指す現職市長。自民・民主の相乗りに連合三重も乗っかった最強の布陣であり、年齢も68歳と脂の乗り切ったときだったが、山中氏の若さにぶっ飛ばされたということだ。「松阪マームの水死体事件」に対する緩慢な対応や処分が、市民の批判を浴びたという指摘もある。前2回の選挙が、いずれも無投票での当選であったということも、陣営の緩みにながったのかもしれない。
 そしてもうひとつ、無所属で何のバックボーンも持たない新人がオール与党候補を破ったということは、政党や団体の支持に選挙民がソッポを向き始めたということである。中央でも自民党の一党独裁は崩壊しつつあるが、地方ではすでに政党や団体からの乖離が進んでいることをうかがわせる。


 山中氏は医師で、NPO活動にも参加したとき、貧しい国の医療現場で人々が苦しむ姿を見て、「政治を変えないと何も変らないんだと思い、政治の道を目指したのです。政治が変れば生活も変えられるからです」と、自らの政治に対するスタンスを語っていた。
 当選直後に「市長として最初に着手する仕事は?」と問われると、「まずは情報公開。謝罪しなければいけない部分も含めて徹底的に取り組む」と強調した。『謝罪しなければいけない部分』とは松阪駅前整備などにかけた莫大な経費や、市民病院の世界で27台しかないという4億円もするCAスキャン導入と年俸5000万円の循環器医師の招聘という、医療費の膨れ上がりのことだろうか。これら大きな税金が動いた裏に、何かがあったのか。新進気鋭の市政に、まずは注目したいところである。山中氏は、2月6日に初登庁する。


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