【119】 大和郡山城 2007 桜の城の春 − 桜便り 第5弾 − 2007.04.10
吉野から大和郡山へ向かう166号線の左手に、大坂夏の陣で活躍した後藤又兵衛にちなんで名づけられた又兵衛桜(枝垂れ)がある。
又兵衛は戦いに破れ、ここ大宇陀の地で僧侶になって、姓を後藤と名乗っていたとか。桜の立つ場所は後藤家の屋敷跡だそうだ。
この又兵衛桜の樹齢はなんと300年というから驚きである。普通、桜は100年ももたないというのだが、この桜は今も毎年美しい花を咲かせている。
枝垂れ桜の周りには桃の木が数十本植えられて
いて、桜と同時期に開花する。 【拡大】→

途中、道端の柿の葉すしの店で遅いお昼を済ませて、郡山城へ着いたのは午後4時になろうとしているころであった。
駐車場がない。ぐるりと回ってみると、近鉄電車の線路沿いに空き地があって、4〜5台の車が止まっている。迷わずその横へ駐車して、お城へ向かった。線路を渡ったら、もう城内である。
← 城の周りの歩経路。一帯にたくさんの桜が植えられ
ていて、桜まつりが開催されていた。【拡大】

大和郡山城は、織田信長が大和地方を治める拠点とするため、明智光秀に検分させ、城主として筒井順慶を封じて築城させたものである。
その後、1585(天正13)年、大和大納言豊臣秀長が姫路より入城し、紀伊・和泉・大和を領する百万石の城として整備拡張を行った。これによって郡山城は、本格的な城としての体裁を整えた。
本丸南側の石垣 【拡大】→

江戸時代に入って、幾度も城主が替わったが、1724(享保9)年、甲府から柳澤吉里が15万石で入封し、以後、柳沢氏は信鴻−保光−保泰−保興−保申と代々居城して幕末を迎えている。
← 本丸西北門の石垣【拡大】
郡山城の桜は、大納言豊臣秀長が入城した際、多武峰の談山
神社を城北に遷座、その堂宇とともに多武峰にあった桜の木も城内に移したのが、その始まりと伝えられている。
柳澤吉里は入城してから桜の補植につとめ、以来、郡山城は桜の名所として、毎春桜の開花は藩士や町民たちの楽しみであったとか。
場内に移築されている 旧奈良県立図書館【拡大】
今は 郡山の市民会館として使用されている→

明治になって城郭は全て取り払われたが、1880(明治13)年、旧藩士たちが本丸に藩祖柳澤吉保を祀る柳沢神社を建てて、その周辺に旧藩邸の桜木を移植し、さらに数百株を補植した。
この頃から毎年、かがり火をたき春の宵の桜の風情を楽しむようになったとある。
← 追手門から堀沿いに向櫓広場へと上る歩経路【拡大】

その後も市民の手によって桜樹の植え替えなどが行われていて、桜の季節には、近隣府県からも観桜の客が押し寄せる盛況を見せている。
花に埋まる城内。 右下の茶色は天守台を取り巻く数珠。
石の少ない大和では、石垣を築くのに多数の石仏や墓石が
使用された。その慰霊法要のため設けられている【拡大】→
深く広い濠…10mを超える、見事な高石垣だ。その向こうには、満開の桜越しに天守郭が見える。
秀吉の補佐役として、どちらかというと温厚なイメージの強い秀長であったが、百万石の領主として、また大和の国でこれまで権勢を振るってきた大寺院を威圧するためにも、大城郭を築く必要があったのだろうか。

↑ この石垣は、当時秀長の家臣であった
若き頃の藤堂高虎の手による【拡大】。

秀吉の朝鮮出兵に、「家臣に分け与える領地がないというのなら、私の領地を与えてください」と反対した秀長…。天正19(1591)年、52才で
この世を去った。秀吉より先に秀長がなくなったことが、豊臣家の不幸であった。
城内に、小さな石に刻まれた句碑があった。
『菜の花の 中に城あり 郡山』
蕉門の俳人、森川許六の作である。許六は彦根藩士、
槍剣・漢詩、特に絵画に優れていた。
この句も、一面の菜の花畑から見える、桜咲く郡山
城の情景を詠んでいて、絵画的である。
当時、お城の桜は、周りの田畑のどこからも、仰ぎ
見ることが出来たのだろう。
今でこそ、金魚の生育数日本一は愛知県弥富町に譲っているが、かつて郡山市はダントツの日本一であった。
1724(享保9)年、甲府から入封した柳澤吉里が、たいへんな金魚愛好家であって、そのせいで藩士や領民に金魚の飼育をするものが多かったという。
郡山市では、毎年8月の第3日曜日(日曜日が5回ある場合は第4日曜日)を 「金魚すくいの日」と定め、「全国金魚すくい選手権大会」を開催している、
小さなポイに熱き思いを乗せた「第1回全国金魚すくい選手権大会」が 開催されたのが平成7年8月。今では大和郡山市の夏の行事としてすっかり定着し、大会も11回を重ね、 これまで約1万6千人の選手たちが熱戦を繰り広げてきた。
競技は3分間で金魚を何匹すくえるかを競い合う。ちなみに去年の優勝は、小中学生の部49匹、一般の部35匹。優勝賞品はハワイ旅行である。
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