【12】 夜の伊勢湾岸道路とタワーズプラザ「キハチ」の創作会席 (2002.7.14)


 将来は第2名神道路の東海部分になる伊勢湾岸道路が、みえ川越まで延長開通した。名四国道を南から行くと、四日市を過ぎたところから乗ることができる。
 インターを入ると程なく、揖斐・木曽川にかかる大橋(トリビュン)が青色にライトアップされ、その右手に見える長島スパーランドの観覧車やホワイトサイクロンの明かりと相まって、幻想的な光のページェントを描き出す。
 この揖斐川トリビュンも、少し北にある名古屋港をまたぐ大橋(名港トリトン)も、季節によってライトアップの色が変わる。今は夏色…青である。


 時刻は8時を回っている。「何か食べなきゃ」と思って、名古屋駅前タワーズの「キハチ」へ電話を入れると、「9時、オーダーストップです」と言う。「今から走っていくから」と頼んでおいて、駆け込んだのが9時10分! 「また、最終の客ですね」と笑われながら席に案内してもらい、早速に注文しておいた会席Aの前菜『ウニとジュンサイの冷スープ』を出してもらう。
 「キハチ」は、シェフ熊谷喜八が創作するフレンチをベースにした無国籍料理が味わえるお店。ジャンルにとらわれない、素材の持ち味と季節感を大切にした料理の数々を楽しめる。
 遅れていって注文をつけるとは不届きであるが、キハチの料理は総じて味が重過ぎるのが惜しい。白身魚のチョコレート揚げは香草の香りが材料の味を消していたし、骨付き子牛のミニステーキは山椒の辛味で舌先がしびれるほど。オマール海老も味付けに手が入り過ぎていて海老の香りがどこかへ行っている。
 それぞれの料理に創意工夫が見られ、料理をする人の意気込みが感じられるが、ちょっと力が入りすぎて、その力みが味付けの重さに現れている。一歩、原点に戻ってみるのがよいのではないか。


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