【135】 
錦秋の御在所 『神さまのぬり絵』          2007.10.31

 
 天気予報を伝えるテレビ画面に、晴れマークが並んでいる。明日からまた天気は下り坂…、「今日しかないか」と出かけてみた。


 御在所岳は、三重県と滋賀県の県境にそびえる鈴鹿山脈の最高峰(1212m)。巨岩・奇岩が露出する花崗岩の絶壁に、アカヤシオ・シロヤシオ・ベニドウダンなどが張り付き、赤・黄・緑・オレンジ・紫といろなす山肌の色調は、まさに「神さまのぬり絵」(キャンペーンポスター)と形容される美しさであった。


 国道306号線を左に折れて湯の山街道(477号線)に入ると、間もなく正面に御在所岳が現れる。少し出遅れていて、時刻は間もなく正午…。ロープウェイに乗る頃には、お昼を過ぎるだろう。御在所は東南向きの斜面だから、午後になると逆光が多いので、ちょっと心配だ。



          ふもとから見上げた御在所岳。
           里の紅葉はまだまだで、緑が濃い。→


 


← ロープウェイ乗り場
  「湯の山温泉駅」
  右側の建物が2階建てに
  なっている立体駐車場。
  料金は800円。



 ロープウェイの料金は、往復大人2100円。子ども1050円。前で切符を買っていたお母さん、「帰りは、歩いて降りるよ」と、子どもたちを脅していた(笑)。

  

   登り始めるとすぐ 足元に 湯の山温泉郷が広がる。
          このあたりも、まだまだ緑一色だ。→



 
↓ 上るにつれて、鈴鹿の山々が姿を現した。









 
【拡大】

 













 御在所ロープウェイは、湯の山温泉駅と山上公園駅間約2.1kmを、12分で結ぶ。両駅の標高差は約780m。運行システムはゴンドラ38台(最大)を約1分間隔で運行する、複線自動循環式である。
 
 








← 中腹。
 花崗岩の岩肌が、木々の間から白い姿を見せている。このあたりから、少し色づきはじめた。
 ときどき 岩肌を飛び移っていくニホンカモシカの姿を見ることがでる。




 
 


    足元の風景は、赤・黄・オレンジ・緑などの
           ちぎり絵の世界が広がります。→

 
【拡大】







← 七合目あたりから上は、紅葉真っ盛り…。




   「山上公園駅」へ着いた。


 
 







 
 
 駅舎の窓の前に広がる、御在所岳山頂。左手の小高い山に「御嶽大権現」が鎮座ましましている。観光用リフトが走っていて、5〜6分で運んでくれる。 →




← 駅舎を出ると、右上に雨量レーダーのドームがそびえていた。


 空は真っ青…。ドームの上に 薄い秋の雲が浮かんでいた。

 



 




 
 







← 山肌を真っ赤に染める紅葉…。その向こうに、伊勢平野、伊勢湾が広がる。






   山上の紅葉は120%…。 歩経路の両側の紅葉も、
    ちょっと盛りを過ぎたカンジであった。       →
 
 





← 富士見台。山麓の東側に突き出た岩の上に
 設けられた展望台だ。



 丸い岩の上にコンクリート製の柵を打ち込んで囲ってあるだけで、「寄りかかってポキッといったら、どーするんだ」と考えると足がすくむ。
 「足もと注意」と書いた看板がかかっていた。
  




   その富士見台展望台へ這い上がって
   撮ったのが この写真…  【拡大】



 絶壁の紅葉とその横を行くゴンドラ。
 高所恐怖症の僕には 命を賭けたショットだ(笑)。











← 南側には、鎌ヶ岳がそびえている。【拡大】


 僕は 高校時代に 山岳部の連中と この頂上に登ったことがある。
 「鈴鹿の山ぐらい…」となめていた僕は、日頃はいていた革靴で参加したのだが、上り始めてすぐの長い石段でバテてしまい、石段をあがったところの茶店の縁台でしばらく寝ッ転がらせてもらった覚えがある。
 しばらく寝た後は体が慣れたのか、山岳部と一緒のペースでスイスイと登頂…。伊勢平野を睥睨することができた。
 でも、鎌ヶ岳の頂上はとがっていて、後から来る人で混み合って、ゆっくり座ってもいられない。革靴では ずり落ちてしまいそうだった(苦笑)。


     色づいた木々の間から、「御嶽大権現」の
    お社が見えている。       【拡大】


 











← 山頂の上空を ゆったりと
 パラグライダーが舞っていた。

 
 




 










← 「山装う」とは、このようないでたちを
 言うのでしょうか。

 

  カマキリ君から見た、ロープウェイ山上駅 ↑











   山上公園広場で、カマキリがバイオリンを
  弾いていました。↓



     




  このカマキリくん、単なるモニュメントかと思っていたのだが、写真を見ると「日時計」になっていたようである。 


  レストラン「アゼリア」で軽食…。セルフサービスなのはいいとしても、それなのにコーラ1杯
 370円は、高いんじゃないかい(笑)。
  でも、下界の喫茶店で飲んでも350円は取られるね。ならば、こんなものか…、ビンから飲む
 わけじゃないんだから(笑)。

 



       
リフトに乗って、山頂を目指す。
              往復600円 ↓

 







 








 
  
    
逆光にかすむ槍ヶ岳 【拡大】



 
  5分ほどで、山頂公園へ到着。





 






      
山頂に据えられた「(一等)三角点 1212m」→





















  ↑ 山頂から南を見ると「御嶽大権現」のお社が見え、その向こうに鈴鹿山系の山なみが
   連なっている。【拡大】
    木々や熊笹の葉が、逆光に照り映えて輝いていた。中央から右手前に続く白いところは
   逆光を浴びて白く光る熊笹だ。

 



 三角点から西方200mほどのところに、ここより3mほど高いかと思われる小山があった。「山頂展望」とあったので、登ってみた。
 三角点から3m登るということは、御在所の標高は1215mということになるのかな(笑)。


 この展望台からは、360度のパノラマが広がる。
   
 
 
北。
  紅葉に染まる釈迦が岳→
 その向こうには、
 伊吹山から中央アルプスが
 望まれる。
 
 





← 
西。雨乞岳の右肩越しに
 琵琶湖が見えるとか。

 
 

 
東。紅葉の中に、三角点、リフトの頂上駅…、その向こうには伊勢平野から伊勢湾が広がっている。→


 


← 
にそびえる鎌が岳は、やはり存在感がある。
  
  
【拡大】








 展望台の西端の岩に、5歳と7歳ぐらいの女の子が座って、「わぁきれい〜」と歓声を上げていた。岩の向こうは断崖絶壁(…だと思う。高所恐怖症の僕は、とても先端まで確かめに行けない)。
 『ツルンと滑って向こう側へ落ちたら、どーするんだ』と思うと、見ているだけで身の毛のよだつ光景だったが、やがて2人は無事こちら側へ降りてきて一安心…。世の中には、恐れを知らない一家がいるものだ。


  

 
 山なみの上に、秋の空が広がっていた →








 







 午後3時30分。そろそろ下山することにしよう。


← 山上駅から 大鉄塔を見下ろしたところ。【拡大】
 その向こうには、湯ノ山温泉街が見えている。


 
 
  足元の山肌…。
   これぞ「神さまのぬり絵」【拡大】

















← ロープウェイ、中間の鉄塔。ここを越えるとき、
 ゴンドラはガタンと揺れる。
  
 







   湯ノ山温泉街のホテルが、大きく迫ってき
  た。このホテルも、昼間の時間帯ならば日帰
  り入浴OKで、料金は800円。    →






 車に戻ると、この時間、駐車場はすでにガラガラ…。帰りに「希望荘」で温泉に浸かっていこうと行ってみた。露天風呂からの紅葉が、見事なのだ。でも、この日はまだまだ青葉ばかり…。入湯料500円。
 帰路は、通行料も無料なったことだからと、鈴鹿スカイラインを西へ走って、滋賀県へ抜けた。この道は、この季節、西日が照る時刻に滋賀県側から登ってくると、残照に照り映えるモミジ葉が赤や黄色に輝いてきれいである。毎年、紅葉の時期には、1回は走ってみる道である。 




← 登るにつれて、木々の色が増していく。

 
 










  
  
  
武平峠駐車場、この一帯はまさに紅葉の見ごろ→


 でも 時刻は午後4時50分。日陰になった山肌は暗くて、せっかくの紅葉も夕闇色に包まれて、写真でお届けするには暗すぎる。




← 武平トンネルを抜けると滋賀県…。近江盆地へ沈む夕日が、茜色の残光を輝かせてシルエットを浮きあがらせていた


 ただ、やはりこの道は西日の時刻に滋賀県側から登ってこなくては、紅葉の美しさは楽しめない。


 途中、野洲川ダムの水がかれているのに驚いたが、下っていくと、ダムは工事中だった。ちょうど終業時刻で、帰りがけの監督さんらしい人に「水は、わざと抜いているのですか」聞いてみると、「ええ、2月まで溜めません。それ以後は、農業用水ですから溜め始め、工事は中断…。また10月から再開するんです」という話。農業優先の予定が組まれているのだと話してくれた。


  物見遊山トッブへ


  135.ゆく秋… 新穂高ロープウエイ 上高地
  133.栗名月、十三夜の月見