【141】 若草山 山焼き −古都の冬を彩る炎の祭礼−    2008.01.13
 
山のあちこちから点火された火は、
山肌を広がってひとつになった

 
 車を天理駅近くに置いて、近鉄で奈良駅へ着いたのが、午後5時22分…。昨日が雨だったので、来ようかどうか迷っていて、出発が遅かったのだ。
 興福寺を抜け、奈良ホテル北側の荒池のほとりにたどり着いた頃、行く手に花火が上がった。
 午後6時、点火。山のあちこちから火の手が上がる。
 点々と灯された火は、やがて山肌を燃え広がり、大きな炎となって夜空を焦がす。
   やがて炎は大きく燃え上がった。



 見物する場所としては、若草山のふもとまで行くと、点火の様子などを見ることができるけれど、山が燃え上がる全体の光景を見ることができないと聞いた。それで点火時、荒池のほとりへ向かってみたのだ。
 マニアは、薬師寺の塔越しに山焼きを見る西ノ京や、奈良市の夜景越しに大きな風景が広がる平城宮跡などが有名だが、いずれも下見が必要だろう。
 
 

 燃え上がる火を見上げながら、奈良公園内の飛火野へと歩いた。この辺りは、街路灯もなくて暗いが、その暗さがいいのか多くのカメラマンなどで混雑している。
 さすがに寒いが、カイロを貼り付け、耳を覆う毛糸の帽子をかぶって、寒さ対策は万全だ。


 「若草山 山焼き」パンフレットの写真
   しかし、炎が燃え立つ中で花火が打ち
  上げられることはないから、
  この写真は合成だね。



 漆黒の夜空に、炎に包まれる全山の姿が浮き上がる光景は、荘厳にして華麗だけれど、昨日が雨だったせいか、今年の燃え方はいまいち迫力がないカンジだったなぁ。燃え残ったところは、後日、晴れの日にまた焼きなおすのだろうか。
 8時半過ぎ、奈良町の「味恵方」に上がって、遅い夕食を取った。この店は、猿沢池南西(南市町)の割烹「恵方」が椅子席で会席料理をと繁華街に出した店で、暖簾をくぐると壁いっぱいに飾られた古伊万里の陶器が出迎えてくれる。
 今夜は遅かったので「恵方御膳」を造ってもらった。会席、鍋料理などを味わうには、もう少し早い時間に上がることだろう。


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