【150】 幻の穂高連峰横断  − 新穂高〜白川郷 −   2008.07.27-28


 連日気温は35℃を越え、うだるような暑さが続く。こりゃぁ、高いところへ行くに限るかなと思い立って、穂高連邦の横断を思い出した。去年の秋に新穂高ロープウェイで奥穂高岳の裏手「西穂高口駅」へ上ったとき、西穂山荘があまりに近くに見えたので、穂高連峰を横断して上高地へ降りてみようと、その時に無謀な(?)計画を思いついたのだ。【参照】
 その後、体を鍛えたこともなく、縦走に備えて毎日のウオーキングをこなしてきたわけでもないけれど、まぁ、何とかなるだろ。穂高縦走を敢行しようとなると、奥飛騨温泉郷から上って上高地へ降りていくわけだから、誰かに車を回してもらう必要がある。遊んでいる友人を、「涼しいぞ」と誘って、奥穂高へと向かった。

 
 午前7時30分、鍋平駐車場へ到着。ここ「しらかば平駅」からの上り始発は8時45分、まだ1時間少々ある。途中で買ってきたチョコレートやビスケットをほおばり、ペットボトルの紅茶を飲んでロープウェイが動くのを待った。
 今日の飛騨地方の天気予報は、晴れ時々曇り。朝は薄雲がかかっているようだが、やがて陽が上れば晴れてくるだろう。
 予定は、頂上駅の「西穂高口」までロープウェイで行き、天気を見てOKならば僕はそのまま西穂高荘へ向かって歩き、稜線を越えて上高地へと下る。西穂高口から西穂高荘までの予定時間は2時間…。ガイドブックには1時間30分と書いてあるが、僕のゆっくりペースでは2時間はかかるだろう。
 山荘から稜線沿いに西穂高岳に登って、涸沢を下ってくるのが望みなのだが、山荘から西穂高岳の頂までは1000mの標高差がある。山岳部にいた友人に話を聞くと、その尾根道は結構きついと言う。今年は、ちょっとやめておこう…という結論に達して、山荘から上高地へ一気に下ることにした。これが2時間として、途中の休憩を入れても5時間ほどの行程だ。


 一緒に来た友人が、車を上高地の下の駐車場へ回してくれて、帝国ホテルへ先回りしてくれる手はず…。「夕方までに下りていかなかったら、山岳救助隊に出動を要請してくれ」とも、頼んである(笑)。
 やがて8時45分、始発のゴンドラに乗って「西穂高口駅」へと向かった。頂上駅まで、友人も同行する。


← 上るにつれて、雲行きが怪しくなってきた。


 頂上駅へ着いて屋上展望台へ出てみたら、山々は一面の雲に覆われている。目指す西穂山荘も雲の中だ。気温は13℃、この涼しさだけで来た甲斐があるというものだが、あと天気が回復すれば申し分ない。  
 
          
頂上駅の屋上展望台から →


 スタッフのお兄ちゃんに尋ねてみると、「山荘は雲の中で見えませんから、尾根一帯はガスっているでしょうね。初めてですか…? 途中もガスがかかっていますから見通しは利かないですね」と不安をあおる答だ


 穂高へ入る人たちのパーティも何組かいたが、みんな大きなリュックを背負った重装備であって、磁石も持っていない手ぶらでスニーカーといういでたちは、僕ぐらいのものである。
 友人と、あたりをぶらぶらしながら天候の回復を待った。黄色や紫の高山植物が、茂みから顔を出している。


       
しかし、雲行きは悪化の一途… →


 「これでは、熊笹の中で方向を失って、救援要請確実やなぁ」と、友人は脅す。僕も、初めての3000m級の山…、ちょっとビビッている。
 約1時間ほど粘ってみたが雲が切れることはなく、今日のところは諦めて下りることにした。
 「命拾いしたなぁ」と友人は笑う。「今度は君も行けよ。死なば諸とも、道連れや」と言うと、「誰が、車を回すさ」と断わられた。
 

 お昼、駐車場へ車を置いて乗り合いバスで上高地へ入り、帝国ホテルで昼食を摂った。
 「ここでご飯を食べるというのは予定通りやなぁ、昼食と夕食の違いはあるけど…」と友人はまた笑う。予定では午後3時ごろに、ここで落ち合うことになっていた。


← さすが人気の帝国ホテルだ。この夏の宿泊は
  もう予約でいっぱいだと言っていた。
ハヤシ風オムライス(2940円)
僕が頼んだステーキピラフ(3150円)
食べ始めてから、写真を撮るのに
気づいて、食べ散らかした写真にな
ってしまったのでカット…。      
                 
 
 『夕食ならば「ダイニング・ルーム」。でも、昼間はやってないから、昼食はここ「アルペンローゼ」…。料金、安くて済んだジャン』と僕はほくそ笑んだのだけれど、よく考えてみれば、夕食ならばここ帝国ホテルで食べる必要はない。穂高から下りてくれば、ここでお茶するなどしてから、平湯温泉の宿へ走っていけばよいのだから…。
 でも、ここ「アルペンローゼ」も上高地の雰囲気を色濃く漂わせた、山小屋風の人気のレストランで、カレーライス(2625円)が味が良いと評判の、お薦めスポットである。僕たちが席に案内されてから程なく、満席になってしまった。


 食後、大正池〜田代湖のあたりをぶらぶらと歩いてみた。
大正池、右の山が焼岳 鴨の親子 河童橋。雨が…。















 
 
 
 午後3時30分のバスで駐車場へ戻り、今夜の宿、新平湯温泉「山ぼうし」へ向かった。
 上高地から平湯温泉までは、安房トンネルを抜けて30〜40分ほどである。古い飛騨の民家の柱や梁を使った造りだが、建築はまだ1〜2年前で新築と言うべき宿である。
「山ぼうし」の看板


 
ロビー 露天風呂



















 まずはお風呂へ…、大浴場に続く露天風呂がなかなかの情緒だ。

 
前菜の八種盛り合わせ。
向こうに囲炉裏が…。
飛騨牛のお寿司
生とあぶりの2種類
飛騨牛のステーキ
(鉄板焼き)
飛騨牛のパイ包み
和風シチュー
 夕食は、人数に合わせて個室の食事部屋が用意されていて、献立は…、
『前菜…八種盛り合わせ、
 山ブドウの食前酒
 五平もちと岩魚の囲炉裏焼き
 刺身盛り合わせ…河ふぐが珍しい

  (なまずの一種らしい。味は
   カンパチっぽかったかなぁ。)
 飛騨牛のお寿司
 飛騨牛のステーキ(鉄板焼き)
 飛騨牛のパイ包み和風シチュー
 天ぷら盛り合わせ
 おこげ入りのかまどで炊いたご飯
 具だくさんのブタ汁
 デザート…マンゴーと白桃のアイス』
 …で、お腹いっぱい。
  
 
← これは貸し切り露天風呂。
  鍵がついていて、空いているときは 何時間でも
  借りていられるので、家族連れなんかによい。



 この宿は全10室…。めったに他の泊り客とは顔を合わさない。
 とてもゆったり、静かに過ごすことができる。… 熟睡 …。
  
 
 
第2日目  今日は、朝から雨模様…。ここ何週間も雨の気配
  すらなく、暑い日が続いていたのに、今日にかぎって雨たぁ
  何事だぁ。

 おはよー! これが朝食… →


  
朝からこんなに食べられない。


← 宿を出て、20分ほど走ったところにある「平湯大滝」へ寄ってみた。
 高さ約60m、幅7mという堂々たる滝で、飛騨三大名瀑のひとつだとか。毎年2月15日から、凍りついた滝がライトアップされる、「平湯大滝結氷まつり」が行われるというから、冬にもまた出かけて来なくちゃ。

 
 今日は471号線を走り、旧古川町から天生峠を抜けて、世界遺産「白川郷合掌集落」へと向かった。


 白川郷は何度も訪れているが、それぞれの季節によって、いつも異なった表情を見せてくれる。
 今日、水田の緑濃い風景の中にたたずむ合掌集落の姿は、古き良き日本の原風景を語りかけてくれているようで、とても懐かしい思いであった。




← 雨に煙る白川郷(展望台から)


 東海北陸道の白川〜清見間が開通して、全線が完成した。今日は開通した区間を走って、帰途に就いた。

 
 
   郡上八幡を
   過ぎた頃、
   雷が轟き、
   土砂降り→



 郡上おどりは、もう町のどこかで始まっているのだろうか。
 今回は果たせなかった「穂高横断」に挑戦することや「おわら風の盆」「秋の高山祭り」などなど、全通なった東海北陸道を今年も何度か走って、飛騨・北陸を訪ねることにしよう。
                                物見遊山トッブへ