◆ あじさいの道とホタル渓谷 『度会郡大宮町』   (2002.6.10)
【物見遊山4】

あじさい 赤
 今年もこの季節になった、あじさいとホタルの…である。5年ほど前に、度会郡大宮町のこの渓谷を教えてもらってから、この時期になると毎年足を運んでいる。
 渓谷をたどる道の両側には、何千本かのアジサイが紫・青・白と色とりどりの花を咲かせ、湧水を水源とする谷川にはホタルの養殖場があって、この季節は毎夜、幽玄の光を漂わせる。
 午後8時。たくさんの人出かと思いきや、ほとんど人影もなく、4〜5台の車。渓谷をいちばん奥まで上って、橋のたもとの駐車場へ車を停め、その橋の上まで行ってみると、木々の間や川べりの草の根もとに、黄色のほのかな光が揺れながら点滅している。川面にともった2つの光が、ゆきつたがいつしながら、遥か見上げる梢のかなたへ飛んでいった。
 20分ほどその橋の上からの情景にひたったあと、少し下って養殖場のそばの駐車場へ移ってみた。車の中から、渓谷の流れが見晴るかせる。
 対岸の草木の間の闇に、点滅する黄色の光…。じっと目を凝らすと、そこにもあそこにも…。確か、光をともすとその光に反応すると何かの本で読んだように思って、車のフラッシャーライトを点滅させてみた。と…、下手の川べりから湧き出るような光の群れが舞い上がり、それに呼応するように対岸の草むらや上手の木々の間からも、一斉に黄色い光の群舞…。妖しくもはかなく、優美で幻想的な光のページェントに、しばし我を忘れたひとときであった。



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