【80】 2005 京都の桜                    2005.04.08-10


 醍醐寺へ通い始めてから、もう10数年が経つ。毎年というわけでなく、訪問できなかった年もあったりしたが、都合7〜8回は訪ねて醍醐寺三宝院の枝垂れ桜いるだろうか。
 

           醍醐寺三宝院の枝垂れ桜 →






 宝蔵院の染井吉野 ↓
醍醐寺宝蔵院の染井吉野





 それにしても、今年のこの人出はどうだ。今日は金曜日、今まで平日に来て醍醐寺の駐車場に車を停められなかったことはなかったけれど、今年は全くダメで、2キロほど離れたパーキングへ入れ、タクシーに乗り換えて向かった。
 境内でも、人また人の波である。三宝院、宝蔵院を見て、退散…。



 宝蔵院 奥の枝垂れ桜 ↓        染井吉野の巨木 ↓
醍醐寺宝蔵院の枝垂れ桜
醍醐寺境内 染井吉野




















 鴨川の東岸を南北に走る川端通りへ、七条から入って御池(川端通りの桜並木二条)まで上った。醍醐寺から乗ったタクシーの運転手さんに、「川岸に並ぶ桜並木が丁度見ごろを迎えていて、適当に渋滞するから、見物しながら上るとよいでしょう」と教えられたからである。川端通りの桜たちは樹齢を重ねていて、太い幹の古木が多い。咲き競う桜の花に、足元に配されたユキヤナギやレンギョウの白や黄色の色合いが美しい。


             川端通りの桜並木 →



円山公園の夜桜見物 午後6時、夕食を予約を入れたおいた木屋町の「豆水楼」で取り、8時前に八坂神社から円山公園を歩いてみた。満開の花の下に並ぶ縁台で、たくさんの人たちが思い思いに春の宴を謳歌している。綺麗どころも繰り出して、京都の円山らしい花見風景である。
  
← 円山公園の縁台で
円山公園の枝垂れ桜



  今年も妖艶に咲き誇る 円山の枝垂れ桜 →


 公園中央に咲く円山の枝垂れ桜は、今年もあでやかに花をつけていた。見る人はみな、あまりに妖艶なその花姿に感嘆の声を上げる。毎年、この花を見て春の訪れを実感し、その豊かさをしみじみ思う。
 さて困った…、京都市内に宿が取れない。大津市内のホテルにまで電話して、やっと部屋を確保することができた。まぁ、京都の市内から大津までは、ものの30分とはかからない。一号線沿いに新築オープンした「大津シャンビアホテル」は、その新しさもさることながら、便利でリーズナブルな使い勝手のよいホテルであった。


 翌朝はゆっくりと起きてホテルで朝2キロを2時間食を取り、10時前に出発…、嵐山を目指した。市内を抜けて松尾橋のたもとを桂川の堤防へ上ったのが11時過ぎ。そこから車が動かず、約2Kmを進むのに2時間ほどもかかってしまった。
 あと1Km…。渡月橋が見えているのに、一向に近づくことができない。あきらめて、途中の道端に車を置いて、堤防を歩いた。春濃くかすむ桂川の対岸も小倉の山の山肌も、淡いピンクに彩られた花の季節の装いである。
 
 渡月橋のたもとの交差点は、人また人で嵐山渡月橋前の桜並木ごった返していて、1度の青信号では渡れないほどだ。
 橋を渡ったところの下手にある渡月亭にあがって、お昼は「竹弁当」。竹篭に旬の食材を15種類ほど詰め合わせた惣菜と汁椀、漬物、ご飯がついてくる。はしりのたけのこがみずみずしい。
 食事を終えたあと、中の島を歩いてみた。こぼれんばかりに花をつけた桜の木々が暖かい陽光に照り映え、一帯は春また春に満ち溢れている。
 トロッコ列車に乗ろうと思って嵯峨駅まで行ったが、無情にも「本日の亀岡行き乗車券は売り切れ」との張り紙が下げられていた。仕方がないので嵯峨野をぶらぶらしたあと、天竜寺横の「老松」で「夏甘糖」を買って、市内へ取って返す。
 ところが今度は、四条通りが大渋滞。夕食は平安神宮横の「六盛」へ午後6時に頼んでおいたのだが、岡崎公園の市営駐車場へ車を入れたのが6時…。途中、電話を入れたものの、大忙しのこの日に大幅な遅刻をしてしまい、「六盛」さんには迷惑なことであったろう。
 六盛、春の特別料理は「青竹の筒焼き」。海の幸や鴨肉・鶉の卵などを季節の野菜とともに孟宗竹の竹筒に詰めて炙った平安神宮の紅しだれコンサートもので、旬の食材がほのかな竹の香りにくるまれて、えもいわれぬ食感をかもし出す。ほかに生湯葉の造り、たけのこ料理などが添えられてくるが、お刺身がついてないので別に頼み、大満足の夕食であった。
 食事のあとは7時50分からの「平安神宮、紅しだれコンサート」。中庭にある栖鳳池を取り巻いて咲く、おびただしい数の紅しだれに囲まれて、池のほとりの尚美館(貴賓館)を舞台に、この夜はSAKURAというグループの箏・笙・フルートの演奏が奏でられていた。

 今夜の宿も大津である。湖畔道路沿いの「ロイヤルホスト」で、サンドイッチをつまみコーヒーを飲んでホテルへ入った。

大仏殿も桜に包まれて
 10日、大津を出て名神高速から京滋バイパスを走り、奈良へと向かう。
 奈良公園一帯も桜が咲き誇り、春は爛漫である。角切りを終えた鹿たちが、初夏を思わせる日差しを避けるように、木の下にできた日陰に寝そべっている。鹿せんべいを差し出す子どもたちに、うるさそうな視線を投げかけ、食べようともしない。おいおい、もっと愛想を振りまいて、観光客を大事にしなきゃダメじゃないか。数頭の鹿が、池に入っていた。
 大仏殿、三月堂、二月堂へと回ってみた。懸崖作りの二月堂の舞台からは、奈良盆地が一望される。春霞に煙る奈良の町にも、いたるところに咲き誇る桜の木々が見られた。
 正倉院は外塀の鍵がかけられ、外観すらもうかがうことはできなかった。転害門脇から外周道路へ出て、奈良ホテルを目指して歩く。
 遅い昼を食べて、あとは興福寺などを訪ねてみようか。吉野へ足を向けるには、少し遅い。昼食を取るために向かった奈良ホテルでは、玄関前の枝垂れ桜が、こぼれるほど満開の花をつけて出迎えてくれた。



物見遊山トッブへ