【物見遊山 第5ページ】


【32】 今年の夜遊び納めは、やっぱり宗右衛門町         
(12.30)
宗右衛門町 午前3時

 年末、あれこれとやり残していることはまだたくさんあるけれども、「大阪、行こか?」と誘いにこられては、何を放っておいても行かないわけにはいかない。
 夕方の6時過ぎに着いて、日本橋筋のパーキングへ車を入れた。この駐車場は対応の丁寧さも特筆ものだが、24時間営業というのが良い。しかも宗右衛門町通りへは徒歩2分。道頓堀 24時間託児所の看板
 まずは少し腹ごしらえということで、道頓堀川沿いの割烹『吉粋』へ。おまかせで、先付けに胡麻豆腐、前菜は茶ぶりなまこ・わかさぎ南蛮漬けなどの取り合わせ。たら昆布巻きのお椀、お造り、ぶりの照り焼き、ふぐの唐揚げ、煮物大根とすじ肉のどて煮に、ご飯はかに雑炊。最後にゆずのムースのデザートまでついて4000円! さらに白子焼き、いくら醤油漬け、牛タンカレー煮などを頼み、2人で14572円。ええのかそんなに安くって!
 お腹一杯で表へ出ると、早速、呼び込みのお兄ちゃんお姉ちゃんから声がかかる。友人が「俺に任せておけ」と言うので、兄ちゃん姉ちゃんの攻撃を掻き分け、相生橋のたもとの『マガンダ』という店へ入る。薄暗い店内の雰囲気が何か異様だ。「どうぞ」とお絞りを差し出してくれる声の太さで、「ギョエー、オカマや!」と気付いた。中にはどこから見ても女の子だとしか思えないキレイな子もいるのだが、オカマだと思うとどうも馴染ふぐ安 1980円のてっちりと1680円の焼きふぐめない。頬ずりしてくれるのはいいが、ヒゲが痛い!
 「もう行くのか」と渋る友人をせきたてて早々に逃げ出し、筋向いの『クラブDuke』へ。…これから先は、あまり覚えていない…。
 気がついたら、午前2時30分。通りはまだ、あふれかえる人の波である。「最後は、この間見た、安っすいふぐやへ寄らなくちゃ」と『ふぐ安』を目指した。てっちり1980円、てっさ980円の安さだ。つついてみると、これが以外に美味い。「焼きふぐ」は炭火コンロを出してきて、客が自分で焼いて食べる。厚手の刺身をたまねぎのスライスなどと一緒にもみじおろし・ポン酢をかけて食べる「ぶっかけ」も美味い。
 外に出たら4時。でも、宗右衛門町の人通りはますますにぎやかである。





【31】「神戸ルミナリエ」と「第一楼」 
復興の槌音 光のぬくもり− (12.22)
神戸ルミナリエ 歓喜の広場

 
津を出る頃は、車のワイパーを時には高速で回さなくてはならないほどの雨であったが、神戸の町を歩く頃には、ほとんど傘もささずに済んだ。途中の香芝SAで道路情報を聞くと、阪神高速が大阪市内で渋滞しているとのことで、松原JCTから阪和道を南下して堺へ、堺泉北道〜湾岸線を走って神戸へ入った。大阪港の海の上を走るこの道路は、港の灯かりやモダンな造形の橋がライトアップされ、車窓の夜景が美しい。
 ルミナリエ会場の周辺は人と車の洪水で、駐車場が空いていない。近くの中華料理店「第一楼」に車を預け、食事をしてから会神戸ルミナリア 光のアーケード場に繰り出すことにした。この店は豊かな食材を使った北京料理が堪能できる。予約が必要と聞いてはいたが、車を預け「今日は飛び込み!」と言いながら入っていったら、「どうぞ、お2階へ」と案内してくれた。コース料理しかないので、一番安いコースを頼んだけれど、8時半頃になってもまだ半分ぐらいしか出てこない。「時間がないから、もう勘定してよ。味の美味しいのはわかっているから…」と席を立ったところ、「残りの分はお持ち帰りできるように詰めておきますので、お帰りに寄ってください」と言う。「いい、要らん」と断ったのだが、車を取りに来るのならそのときに寄れ…と繰り返し勧めてくれるので、ありがたくいただいてきた。
 店をあとにして通りへ出ると、会場へ向神戸ルミナリエ ファイナル「生命の円」かう人の波に出会った。その流れに導かれるままに歩いていき、神戸大丸を南へ過ぎて三菱信託銀行の角を左に曲がると、目の前に圧倒的な光の大壁が屹立。その下をくぐると、はるか向こうへ色とりどりに輝く光のアーケードが続いている。昨今はイルミネーションブームで、各地でさまざまな電飾の催しが行われているが、元祖ルミナリエは一味もふた味も違う。
 「宇宙のリズム」と呼ばれるこのアーケードを抜けたところに、円形に輝く光の王冠が、ひときわ鮮やかな光を放っていた。「生命の円」と名づけられた今年のメインエベントである。
 神戸大震災からの復興を目指して始められたこの催しも、今年で8年目。第1回目の「夢と光」から始まって、今年のテーマは「光のぬくもり」。未曾有の大震災から生まれたこの光のページェントは、立ち直った神戸の町の力強さとともに、人が生きていくことの希望やぬくもりを伝えているようで感動的であった。




【30】夜の徘徊 4連発 
 
            


 名古屋駅クリスマスイルミネーション、 紅葉の清水寺 ライトアップ、
   
菰野の中国菜館「饗庭」、   大阪ミナミ 宗右衛門町



 10月半ばから、ガラにもなく多忙を極めていて、夜の徘徊報告もしばらく鳴りを潜めていた。習性だから、仕事で忙しいぐらいではじっとしているわけはないが、ここへ報告するだけの時間は、さすがになかったということである。


 ● 名古屋駅クリスマスイルミネーション(11.24)広小路の街路樹イルミネーション


 今年も、町がクリスマスイルミネーションで飾られる季節になった。
 JR名古屋駅の正面玄関の壁面を飾るこのイルミネーションは、昨年から点されていたが、昨年中はいつも12時過ぎに消灯してからウロウロしていたものだから、街路樹の電飾はお目にかかっても、このメインのイルミネーションを見る機会がなかった。
名古屋駅の正面壁面のイルミネーション 壁面を飾る大ゲートのイルミネーションも見事だが、その下の2階テラス部分にしつらえられた、星空へ旅する鉄道・建物・門扉・垣根とそれに纏わる花々などを形取った光のページェントは、しばし時を忘れさせる。
 2階へと通じる階段を上っていく人影は、光の国を訪れるチルチルとミチルである。



名古屋駅壁面 部分拡大
 上の写真の右下部分を拡大したものが、右の写真。
 上の写真を、お手元のパソコンで拡大してください。細部をくっきりと見ることができて、その精緻な光の造形に感動もひとしおと思われます。



● 紅葉の清水寺 ライトアップ     (11.18) 

 紅葉の清水寺 ライトアップ
 昨年の、舞台から見下ろした紅葉の見事さが、1年たってもまだまぶたの奥にちらつき、ライトアップと聞いて、夕方から出かけた。
 平日というのに、たいへんな人出だ。遠く三重県から走ってくる僕みたいなのもいるのだから、混雑は当然か。
 夜の闇の中に、紅葉の色に染まる光に照り映えて佇む古刹は幻想的であった。
 「高台寺もライトアップしていますよ」と聞いて、産寧坂を下り、足を伸ばしてみた。桃山文化の粋を、秋色の光が包む。
 帰り道、「乗っていってください」と声を掛けてくれた人力車の車夫は女の子であった。



中国菜館 饗庭● 菰野の中国菜館「 饗 庭 」    (11.8)


 菰野にちょっと変わった中華料理を食べさせる店があると聞いて、夜7時過ぎから出かけた。
 豊臣氏の晩年、淀君に仕えた饗庭局(あえばのつぼね)なる女官がいる。大阪冬の陣の和議の使者に常高院、二位局とともに、家康のもとに赴いていて、大阪城落城のとき淀君に殉じている。このくだりを演じたのが、歌舞伎「沓手鳥孤城落月(ほととぎすこじょうのらくげつ)」で、もちろん彼女「饗庭局(あえばのつぼね)」も登場する。
 吉川英治の太閤記だったかで読んだその名前を覚えていたことと、饗の字は「あえ」と読んで「あい」とは読まないはずだという思い込みから、最初にこの店の名前を聞いたときは、「あえば」だと思った。だからこの店を訪ねて、パンフレットの振り仮名で「あいば」だと知ったときは、そういう読み方もあったのかと目からうろこであった。
 中華料理店なのだが、洋風のおしゃれな外観。プロのフラワーアーティストにより、店内に活花を配し、料理にも季節の花を添えている。何かの本によると、こうした新しい中華への試みを、ヌーベルチャイナと呼ぶらしい。パンフによれば、オーナーシェフ松永隆宏は1962年生まれの40才。名鉄ニューグランド鳳凰やNHKセンタービル鳳城の料理長を経て、1997年に現在の店をオープンしたとある。
 着いたのが午後8時30分。「まだ、いい?」と尋ねると、「オーダーストップが9時」という。5000〜20000円のおまかせコース、2500円・3500円のA・Bコースのほか、ふかひれスープ1800円、蟹玉1200円、牛フィレ1500円。単品の値段をなぜ覚えているかというと、頼んだ料理だからである。丸の内ビル「福臨門」のフカヒレ16000円に比べて約10分の1、たいへん良心的な値段である。夕方の時間帯は空席待ちの客が表に並ぶというのも、ナルホド納得!



● 不夜城 大阪ミナミ 宗右衛門町     (11.25) 

心斎橋筋で見つけた食べ放題回転すし
 「どこか、ご飯食べに行こか」と友達が誘いに来たので、「じゃぁ、大阪へ」ということで宗右衛門町に来た。津を出たのが午後5時過ぎ、宗右衛門町心斎橋Pに車を入れたのが8時前。2箇所で渋滞があって、2時間40分ほどもかかってしまった。
 大阪は今年、仕事でちょくちょく来ているが、会議場のある上本町界隈か梅田付近を歩くことが多くて、大阪ナンバ 宗右衛門町ミナミのこのあたりはあまり馴染みがない。
 少し歩くと、さすがはミナミである。面白いものが目白押しだ。回転寿司食べ放題の看板を見つけた。(右→) しかも、時間制限なしとある。今度、3日ほど絶食してきて挑戦しよう。
 ← 心斎橋筋を左に折れると宗右衛門町。この通りも、最近はすごい勢いで増えた風俗営業の店が軒を並べ、呼び込みの黒服クンが袖を引っ張る。「シャチョー、おっぱい 舐め放題でっせ」と言われて、「なッなめ放題ぃ〜」とグラッとしたが、食欲の方が本能としては優先順位だから、車から予約を入れておいた「しば田」を目指す。
 「しば田」は、宗右衛門町通り一筋目を東に曲がったところのビルの1階にあるふぐ料理店だ。夏場は、はも料理をやっている。おまかせコースは、付出し・てっさ・ゆびき・てっちり・雑炊を秘伝のポン酢で味わい、1万円少々と値打ち。さらに店自慢の炭火焼の「焼ふぐ」や冬の味覚「白子のてり焼」は絶品!
 雑炊を2杯も平らげて、満腹で表へ出ると、ここにも中国式エステの店。「シャチョー、いかがですか」と誘う兄ちゃんに、「おっぱい 舐め放題か?」と聞くと、「なめられ放題もありまっせ」。しばらく歩いていると、「ふぐ料理、てっちり1980円。てっさ980円」の看板を見つけた。
 さすがは、大阪ミナミである。


 物見遊山トップページへ