【5】小泉改革は、国民が目に見える形で支えなければ、実現しない   200107.08


 小泉改革の形が見えてきた。田中真紀子外務大臣の外務省改革は、人事の硬直化の打破、責任の所在の明確化、そして、機密費問題などに見られる外務省の閉鎖性をガラス張りにすると謳って取り組まれたものであるが、真紀子大臣の孤軍奮闘の感が強かった。省庁内部の改革には、いかな小泉総理といえどもそう易々とは入り込めなかったのだろうけど、真紀子外相はあのキャラクターで、とにかくやるべきことは何かを第一義に考え、それを実行に移したといったところである。喝采を受けるわけだ。
 昨日、小泉総理は、「石油公団」の廃止を視野に入れて改革に取り組んでいってほしいと、平沼経済産業相、石原行革担当相、堀内自民党総務会長に指示したという。
 1000本のパイプを掘って3本当たるかと言われる石油の掘削などの仕事がらか、経営も経理もズサンで当たり前といった体質の「石油公団」。石油は日本の生命線であると言われた時代を引きずって、潤沢に保障された資金をもとに、採算など度外視した事業展開をしてきた「石油公団」。その主要ポストは天下りの官僚が占め、そして、内実を外部に正しく公表しようとしない自己保全を、当然のものとして繰り返す意識は、もはや百害あって一利もない。このあたりの実状は、過年の『文芸春秋』に、当時、通産大臣であった堀内光雄氏(現、自民党総務会長)が掲載された手記の通りである。所轄の大臣が、身内の恥を公表するのだから、よほどの怒りに刈られたか、公表して世論の支持の元に取り組む以外に改革の方法はないと引導を渡されたものだろう。
 小泉改革は、道路利用税の一般財源化に対しても、自民党の85%が反対しているという、与党基盤の脆弱な改革である。利権に群がるのは人間の常…、私欲を捨てて天下国家のために邁進する議員などいない…というのであれば、小泉改革は国民がこれを支えなければ実現しない。
 参院選は小泉人気にぶら下がる自民党も、その後は利権議員の必死の抵抗は明白である。国民一人ひとりが、目に見える形で、小泉改革を支える意思を示さなくてはならない。




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