【16】許されないテロ、世界貿易センタービルの崩壊が語るもの  
2001.09.11

 米国で同時多発テロが発生し、死傷者は数千人に達するという。ニューヨークの世界貿易センタービルに航空機2機が激突して、ビルは2棟とも崩壊…。また、ワシントンの国防総省付近では飛行機が激突炎上、ペンシルベニア州でも1機が墜落するなど、旅客機4機を巻き込んでのテロである。

 まさに映画以上の現実だが、世界の今日はこれほどの緊張の中にあることを、崩れ落ちるビルの様子を映すテレビの画面は伝えていた。世の中の平安は、人々の良識の上に危うく成り立っていて、一握りの狂気によって、いとも簡単に安穏の日々は破壊される。

 良識を信じて無防備に毎日を過ごしていていいのか…、常に一部の狂気に備える体制を敷いておく必要はないのか…。「危機管理」に対する意識の持ち方の問題である。いつも我々は、大きな被害やたくさんの犠牲の上にしか、「危機管理」の意識を持ち得ない。

 常に、危機が内在する状況の把握に努め、原因や起因となるものの動向を掌握していくことが必要である。ことにあたっては、毅然として断固たる処置を行うことを、平時からコンセンサスとして保持していかねばならない。

 国家による管理体制の是非や、国民の自由に対する侵犯などは、留意しなければならない問題だけど、「危機管理体制の整備」の必要は変わらない。

大きな煙を上げて崩壊していく世界貿易センターの姿は、内外に暴力犯罪や軍事的脅威を抱えるわが国に対しても、置かれている現状を正しく認識し、国家として国民としてそれらに正しく向かい合う姿勢を確立する必要があることを教えてくれていたのではないだろうか。


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