【19】米英軍、アフガニスタンを爆撃! この戦争の行方…。  2001.10.09


 昨日と今日、米英の爆撃機がアフガニスタン国内のタリバンの拠点を爆撃した。アメリカの発表によると、「アフガニスタンの飢える人々に人道的援助をするため、救援物資を運ぶ飛行機の安全確保に、タリバンの対空拠点を爆撃した」という。タリバン側は、「この爆撃で病院が誤爆され、一般市民が死傷した」とのコメントである。
 戦争においては、いや、平時であっても国家間においては、個人の事情は一顧だにされない。戦時下ならずとも、北朝鮮に拉致された人は突如人生を変えられ、運命に抗する術を知らない。アフガンの人たちも、降って沸いた戦火のとばっちりを避けることもできず、命を守るただひとつの道が難民となって流離うこととは、あまりにむごい定めであるといわねばならない。世界の人々の援助が、この人たちに届くことを祈るばかりである。
 攻撃の火蓋を切るに、遅すぎるの感がある。それだけ、世界の、中でもアラブの国々の同意を取り付けることに難しさがあったということなのだろうが、テロ許すまじと燃え上がった火が少し沈静化して、「報復」の可否が論じられる昨今となった。少し冷静になると、「報復攻撃」は難しい立場にたたされる。「報復」は権利であって、正義ではないからである。
 日を経るに従って、イスラムの論理も勢いを増すことだろう。日頃は、パレスチナなどでのアメリカの専横を苦々しく思っているのが本音の国々である。「アメリカも悪い。ここで報復と言うのならば、パレスチナの人々がアメリカを攻撃して何が悪い。テロは、大国に向かう貧者の権利だ」などといったアラブの主張は大きくなるだろうし、アメリカを取り巻く国々の間からも、「報復からは何も生まれない。国連決議もない攻撃は、テロと同等の行為だ」などといった世論が台頭してくる。
 だから、やるならば、アラブの国々との交渉は途絶えさせずに粘り強く継続し、世界世論には国連にも働いてもらって説明説得を続けながら、テロ組織の殲滅を徹底的にやってしまうことであろう。この種の行為に対しては、批判や反対は必ず出るものである。それを受け止めながら、戦いの相手を消滅させる徹底さで、戦闘を終結させることだ。ミサイルによるピンポイント攻撃の後は、爆撃機による爆弾の投下、そして地上軍の投入によって、アフガニスタンからテロの芽を根絶してしまうことである。そうすることがこの戦闘の目的であると同時に、この先頭に掛る批判や反対を最も軽くする方法であろう。
 確かにテロの根を完全に摘み取ることは難しい。ガン細胞と同じで、日頃は隠れていて思いがけないときに思いがけないところへ、突然に顔を出すからだ。しかし、アフガンにテロ組織を残してこの戦争を終わらせるのであれば、それはアメリカの完全な敗北である。世界に向かって、自由主義を守るために戦うと宣言したことが、保障できずに終わってしまうのだから。


 この戦闘のあとは、西欧キリスト教文明対イスラム教世界の対立構造が一層鮮明になり、いわゆる文明の衝突といわれる緊張が避けられないことだろう。そのときに、東洋思想を基盤としながら西洋的物質文明を発展させて北日本は、いずれの文明圏にも属さない存在として貴重な役割を果たすことが出来ると思われるし、またそうでなくてはならない。そのためにも、世界の中で存在感を保持し、責任を果たすことのできる国家として、世界に認められなくてはならないのである。



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