【21】 アフガニスタン難民への日本からの救援物資         2001.10.22


 国際連合難民高等弁務官事務所(UNHCR)からの要請を受けてアフガニスタン難民救援のため、自衛隊のC−130H型輸送機6機で救援物資【テント(10人用)315張、毛布200枚、ビニールシート75枚、スリーピングマット20枚、給水容器400個】をパキスタンに運んだ。この任務にあたったのは自衛隊の空輸隊員約140名と運航支援隊員約20名である。国会中継でも取り上げられ、社民党の辻本女史が「鳴り物入りでパキスタンへ運んだテントが、実はパキスタン製であったということをご存知でしたか」と叫び、中谷防衛庁長官が「存じております。それを日本から運ぶということが大切なのであって、自衛隊員は一生懸命やっております」と答え、「一生懸命やっているというような情緒的なことを言っているのは甘い」と叱られていた。
 辻本議員のトーンの高さに文句をつけるつもりはないが、あの金切り声で問題点を連呼されれば精神衛生上良くないなと思いつつ、日本の救援のお粗末さ…パキスタン製がお粗末だというのでなく、量の少なさに違和感がある…に疑問を持った。新聞等でも報じられている通り、飛行機の燃料費だけでも往復3000万円、民間に任せれば2000万円までには確実に抑えられるといい、航空各社は@航空法などに準拠 A運航の安全確保 B内容が武力行使に当たらないの三原則が確認できれば協力すると表明していた。
 政府としては、福田康夫官房長官が4日の記者会見で説明していたように、「日本政府がやっている姿、主体性を見せる」必要があったということだろう。アメリカから言われた「Show the flag」を、「旗を見せろ」と訳した英語力のお粗末さには恐れ入るが(正しくは、立場を明確に・旗幟を鮮明に…といった意味)、自衛隊に運ばせることに意味があったのだ。
 それにしても、テント(10人用)315張、毛布200枚、…とは、あまりにも少ない。飛行機の燃料代3000万円でパキスタン国内で買い求めれば3000張りは買えるという報道もあったが、韓国の2000張り・イギリスの1500張りなどに比べて、金と物しか出さない日本としては意外な少なさである。
 10月8日の米英軍のアフガニスタン攻撃から半月、9月11日の米国での同時テロ発生からはすでに40日余が経とうとしているが、いまだ参議院で審議中の自衛隊法改正は早くて10月末の成立。自衛隊の出動は命令・準備・編成に数週間はかかるから11月後半となるだろう。出動しても、非戦闘地域しかウロウロ出来ないのだから、ホントのところ何の役に立ちもしない。民生支援を主たる活動とするというが、銃を向けられても撃つこともできない自衛隊の姿をさらして、国際舞台に通用するのだろうか。行き着くところは憲法改正を行わねばならないのだが、国民にもきちんと説明して改正に取り掛かる時期であろう。
 このように戦闘には邪魔になりこそすれ何の貢献もできない日本が、テント315張りでいいのか。現地では国連の係官が「少なすぎて、披露できない」と荷物を解こうともしないという。憲法の制約があって自衛隊員を戦闘地域に派遣することは出来ないという説明に理解を得ようとするならば、日本の経済規模から言って、テントは世界一の数…3000張りでなくてはなるまい。それでなくては、米国を支援する日本の姿は、世界の人々に見えない。


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