【24】 アフガニスタン「カブール」陥落                    


 北部同盟が、タリバン勢を駆逐して、アフガニスタンの首都「カブール」を制圧した。ブッシュ米大統領が、北部同盟のカブール制圧に懸念を示した翌日の陥落である。ブッシュの懸念はパキスタンに対するポーズであったのか、北部同盟が意地を見せたのか。それらのいずれもが交じり合ってのカブール陥落なのだろうが、世界の情勢は複雑怪奇である。
 かつて、寄せ集めのならず者部隊である北部同盟は、略奪・暴行を行って、市民の嫌われ者であったと聞いていたのだが、北部同盟を迎える人々の表情が明るく好意的であったのは意外だった。「ギブミー、チョコレート」の類で、官軍に対する被占領者の媚びのポーズであったのだろうか。
 タリバン政権下で、生活の隅々まで抑圧されてきた圧迫感が、解放されたことは事実であろう。「今何が一番ほしいか?」と問われて、「ひげそりだ!」と叫んでいた男の笑顔が印象的であった。女は仕事をしてはならない、男は髭を剃ってはいけないと、タリバンはイスラムの教義に厳格であっただけに、人々の日々は窮屈なものであった。まさに、宗教というものの難しさであろう。
 「カブール」陥落以後の困難も想像するに余りある。中東の政治と資源をめぐる西側諸国とロシアやパキスタンの思惑・利害…。ここは、アフガニスタンの国民の平穏な生活を第一に、世界の真の平和を目指す方策を探ってほしいとは誰もが願うところであるが、歴史や文明においてまで東西の岐路にあるアフガニスタンは、安穏とは程遠い宿命にあるのだろうか。
 対英独立戦争から内乱・対露戦・内乱と半世紀を戦乱下に過ごし、国民の半数近くが難民として漂白の日々を余儀なくされてきた人々である。運命とはいえ、その過酷さに深い思いを抱かざるをえない。国連のリーダーシップのもと、国民の望む建国を進めてほしい。



 思えば、政治を行う者に恵まれない国の民の不幸は計り知れない。ひるがえってわが国を見てみると、政治を行う者に恵まれたとは言えないけれども、やはり、アメリカというパートナーに恵まれたことの幸運は、否定することのできない歴史の事実であった。
 大国のエゴ、西側世界の盟主としての専横など、何かと批判の対象になることは多く、国内的にもさまざまな問題を抱えている国であるけれども、民主的で開かれた、誰にでも機会のある平等な、誰をも受け入れることのできる懐の広い、そして何よりも明るい国である。この国に、運命を委ねたことを、今は幸運というべきであろう。
 そしてこれからは、大国アメリカのパートナーとしてわが国も自立し、国際社会の舞台において自らの役割を立派に果たし、国々の繁栄と世界の幸せに寄与できる国にならなければならない。



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