【37】辻元清美議員、辞職。  これを、社民党の復権に!        2002.03.26


 民社党の辻元清美議員が、今日、国会議員を辞職した。秘書費用を流用したことを批判されての辞職である。本人としては、国から支給された費用を、事務所全体の経費へ活用しようとしたのだが、支給を受ける本人からの還元を寄付金として処理していなかったから、法律に触れるとされたわけである。前回も指摘したように、秘書費用を他に流用している議員はたくさんいる。合法的な処理をしているかどうかの問題であり、辻本議員の場合はうかつと言うか無知と言うか、処理に手抜かりがあったわけである。

 この問題をめぐっての社民党の対応は、いかにも冷徹である。審査委員会の結果を報告する正副委員長の口調も他党のことのように断定的で、身内のものの過ちに対するいたわりは感じられない。さらに他党に先がけて議員辞職論が党内から湧き上がったことを見ても、組織防衛意識が働く社民党の議員達の目は、いつも国民でなく、支持基盤の組織や団体を見ている。この対応からも、機関としての国会議員という社民党議員の素姓が伺われたし、議員暦も浅く、年若い辻元議員に対する、社民党内部からの嫉妬ややっかみは根深いものが有ったということが理解される。土井たか子党首、福島瑞穂幹事長の言動も、常に純粋な正義の味方であらねばならない社民党の立場を考慮した、国民の視線を意識した態度なのかも知れないが、党内の辞任要求を抑えきれずに矢面てに立たされていた。組織代表である社会主義政党の宿命であろうか。

国民の多くは、今回の辻元議員の問題を、少なくとも鈴木・加藤問題に比べれば、殺人とカキ泥棒ぐらいの違いがあると思っている(のは、私とその友人の数人かも知れないが、)。ただ、辻元さんの場合は、法律に触れる部分があったということと、彼女を守るべき周囲の対応が鈴木・加藤両氏と大きく違ったということだろう。

秘書費用を事務所経費に流用したことと、国費を投じた事業を自分の周囲のものに独占させ、利益の還元までが計画に入っていた利得疑惑、有力国会議員の威光をちらつかせて斡旋した事業の何%かを還流する仕組みをつくり上げ、何億という資金を政治活動に還流させていた疑惑。前者は処理に手違いがあったから糾弾されて議員辞職。後者は疑惑の範囲に踏みとどまったから道義的責任を自発的に取って所属政党からの離党。問題の本質は、どちらが根深いか、一目瞭然ではないか。

 社民党が、国民の意思を代表し、正義を標榜する政党でありたいのなら、辻元議員の私憤を晴らすなどといった瑣末な次元の問題にすりかえられることなく、鈴木・加藤の問題を見事に追及して見せることである。55年体制の片割れである社民党は、どこまで行っても裏取引が身についていて、威勢のよい言葉の裏では自民党と馴れ合いっているというイメージと、明日のない先細りの弱小政党にはもはや国政における何らの力もないとする批判を払拭して、社民党ここにありを顕示する大きな機会である。辻元議員の復活と社民党の復権をかけてこの問題へ取り組み、政党の威信を見せることこそ、今、社民党がやらなければならない課題であろう。


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