【46】日本大使館のゼイタクに象徴される、公務員や公共事業のムダ  (2002.07.12)
 

 世界の大使館の中には、国が貧しいために、大使も館員もたいへん慎ましやかな日々を送っているところが少なくないという。庭の手入れや家屋の修繕なども大使館員の手で行い、大使夫人が自転車で惣菜の買い物に出かけて、館員は館内で自炊生活をしているとか。
 それに比べて日本大使館は異常である。国が赤字国債を乱発して未曾有の借金を抱えているというのに、大使館は専属の料理人を置き、来客や日本から来る政治家・官僚をもてなす。移動には、大使級はファーストクラス、ヒラの館員でさえビジネスクラスで、毎年3月になると意味のない外国への出張が妙に増える。住む家は、独身者でもベッドルームが2つもあるような豪華マンションで、休暇も途上国に勤務すると6ヶ月目に30日間、1年6ヶ月目に60日間、家族も含めた往復ビジネスクラスチケット付きの有給帰国休暇がある。給与も…アホくさくて書く気もしないが、とにかく借金王国のくせに普通ではない。民間企業なら、とっくに倒産している。
 外務省改革が叫ばれているが、これらの実情を見れば、改革は何も進んでいないことがうかがえる。
 大使館を例に挙げたが、中央・地方をあげてその仕事や公務員の待遇には無駄が多すぎる。公共事業は民間の発注に比べて5割り増しの金額で行われるというし、世の中は不況であっても公務員の給与やボーナスが減額されたという例は聞かない。特殊法人に二度の勤めをする天下り族が何千万円もの退職金を手にしていくことなど論外だが、知事・市町村長の任期ごとに支払われる何千万円の退職金や長期勤続議員への恩給なども、世の中の実情に照らして見直し、改めるべきだろう。
 構造改革とは、これら官庁のお手盛りと無駄を省くのが第一歩だと思う。無駄があると認められれば、早速に審議会を設置するなどして改正の方法を講じるべきだろう。道路公団解体の審議会と同じように、いやそれ以上に国の仕組みにかかわる重要な審議会になる。特殊な権益や政治の無駄を経費の面からも排して、国民の誰もが納得する仕組みをつくることが、改革を成功させることができるかどうかのキーポイントであろう。まさに「隗より始めよ」である。



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