【53】 管代表選出は、時代の歯車の逆回し             (2002.12.12)


 民主党代表選が10日に開催された両院議員総会の席上で行われ、菅直人氏が岡田克也氏を破って新代表に選出された。国会議員183人(衆院124人、参院59人)による無記名投票の結果、菅氏は104票を獲得。79票に終わった岡田氏を破り、98年4月の結党時から99年9月まで代表を務めて以来の返り咲きを果たした。任期は鳩山氏の残任期間の2004年9月まで。菅氏は代表選後、岡田氏に幹事長就任を要請、岡田氏もこれを了承した。
 実は私は、政権を担当する受け皿として中道野党路線へのレールを敷くことのできる、岡田克也氏の当選を期待した。菅氏は、今日の民主党の危機を招いた多くの部分の責任を、鳩山由起夫氏とともに取らねばならぬ立場であり、今、挙党一致を掲げて代表選に打って出る資格はないはずである。菅氏こそ、鳩山体制を支えねばならない水先案内人であり、今日のドン底民主党を招いた責任の半分を背負わなければならない立場にある人だ。
 また、横路氏ら旧社会党を支持基盤に持っているからには、政権奪取は叶わぬ夢のまた夢であろう。旧社会党勢力はイデオロギー集団としての体質を色濃く残しているし、独自の政策を掲げることなく、与党批判を自らのアイデンティティーに据えている存在だからである。
 が、民主党の議員たちは、選挙の顔として菅氏を代表に選んだ。民主党の病根の根を掘り起こして徹底治療することなく、問題を内在させたままの表面決着を優先させ、来年の連休明けごろにも行われるであろう総選挙に備えて、自分達の保身を図ったのである。かつて菅氏が代表であったとき、失政続きで自壊した橋本政権の末期に行われた参院選に議席を増やしたことをうけて、「菅さんなら、選挙に実績がある!」と。
 この選択は、一見現実的であるかのようだが、今の民主党では自民党のマイナスポイントを自分達の得点とするしか、得票数は計算できない。民主党はどこまでも自民党の背反する鏡であって、民主党の実績・実力は、なんら見せてもらっていないのである。しかも、この党の、身内を守り立てて一枚板にはなれない、足を引っぱりあうドン底体質を見せられた今、国民はこの党の将来にどんな夢を描けるというのだろうか。
 岡田克也氏にとって、今回の代表戦に敗退したことは、むしろ僥倖であったのかもしれない。ドン底民社党が、さらに奈落の底に落ちて分裂し、光を求めて立ち上がろうとするときこそ、この国を担う志を持った政権野党を創り出すチャンスなのだろうから。



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