【67】民主党と自由党の合併 −政権交代の切り札となれるか−    (2003.7.28)


 民主党と自由党が、この秋を目標に合併する方向で協議に入ったという。政策遂行能力を持つ健全な野党が育つことは、日本の政治の健全化にとって望ましいことである。 私はこれまで、経済不況や社会の閉塞感など、この国のさまざまな問題は癒着体質の政治体制にあり、この国の将来を健全なものにするためには政権交代が必要であることを、【39】健全な国へ 政権交代を(4.15)などで主張してきた。長すぎる自民党政権は、政治の私物化・政官業の癒着・国民の政治不信とあきらめといった弊害を生じている。
 現在の民主党に期待するものは何もない。その不甲斐なさを、【49】目覚めよ 民主党 (9.25) 【52】この民主党に明日はない(12.3) などと記してきたつもりだが、今も民主党の中身や体質はその頃と変わっていない。いや、鳩山時代には彼のニューライト的な政治スタンスは解りやすかった(そこが自民党と区別しにくいと批判された)が、むしろ菅体制となってからは彼のバルカン的な体質によるものか、拠り所が判然としない感がある。有事法制に賛成して、自衛隊のイラク派遣に反対することの理由が、国民に理解できるように説明されないといったあいまいさが残念である。
 小沢一郎は、今の国会議員の中では第一級の政策通であり、卓越した政治手腕を持っている。国の根幹をなす課題については根拠を示して政策を発表しているし、自自公連立時代には譲るべきは譲って内閣を支え、通すべき筋は通して政権を去った。連立を袖にされた、当時の自民党幹事長野中広務は、不倶戴天の敵として小沢一郎を批判するが、信義に悖(もと)ると政権を去った小沢の態度は、国の将来を見通す国政レベルの筋の通し方で、批判は所詮(しょせん)地方政治家の域を出ていない。
 民主党の訳のわからん連中の寄せ集めパワーに、小沢一郎の政策と指導力が合流することは、政策や党運営も落ち着いた筋の通ったものとなって、この国の政治の流れを変える材料になると思われる。民主党は課題である地方の人材を発掘する努力をして、組織の拡充に腐心し、この秋の総選挙で議席を少しでもアップさせることができれば、それを上昇の起爆剤としてより大きなパワーを生むこととなり、秋以降の政局展開に期待が持てよう。
 新生民主党…! 少なくともここ数年来たびたび味あわされた肩透かしを食わされることはないと思うのだが…。



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