【75】 第43回 衆議院議員選挙 結果判明            (2003.11.09)
 
− 自公保 安定多数、 民主 躍進 −


 午後11時43分、NHKが三重1区川崎二郎の当確をうった。開票開始から3時間43分、開票率75%、自民党の当選者として204〜5番目ぐらいの遅い当選であった。それだけ激戦の選挙であったということだろう。
 中井 洽は、比例候補に重複して立候補していたところが、小選挙区1本で頑張った川崎に対して、自信のなさであり、迫力に欠けるところであった。比例で拾われることだろうが、ゾンビ議員であって活躍はもはや望めまい。
 川崎の所属する派閥に加藤紘一が復活してきたが、昔の復権はおぼつかない。山崎 拓は小選挙区で落選、比例の復活もならず。ニューリーダー谷垣禎一財務相が力をつけるのもまだまだで、川崎が国政で活躍する場を自力で開くことができるのかといえば難しすぎる話だろう。漏れ聞くような、亀山市での新工事に「○○を業者として使わないように」などといった妨害をしているようでは、先が見えている。三重1区にはたいしたライバルも居ないと、ちょっと舐めているのか。
 三重県各区の状況を見ると、2区は自民党三重県連のだらしのなさで、候補者が擁立できず、中川正春の独壇場。3区は岡田幹事長の圧勝。他候補の応援でほとんど帰って来れなかったことに、支持勢力が危機感を強めて結集したということだろうから、組織が本物になったことを証明した。もう、100年やっても平田耕一は勝てないだろう。4区の田村憲治は政治風土が固定化している結果だ。5区三ツ矢憲生は大健闘。三重県南部の保守王国は揺るぎない。


 我が三重県1区と三重県全区の状況はこれぐらいとして、全国の開票結果を見てみることにしよう。
 第43回衆院選は開票の結果、自民が239議席、公明34議席、保守新が4議席を獲得、計277議席で絶対安定多数の269議席を上回った。政権獲得を目指した民主も、解散前を40議席上回る177議席を得し、2大政党化が進む結果となっている。
 与党3党で安定多数を確保したことと、民主党の躍進という結果で、予測したとおりの落ち着くところに落ち着いたというところだろう。一口に言えば、国民は小泉改革を一応支持したけれど、自民の改選議席を減らしたことを見ても100%手放しでよしとしたわけでなく、厳しい注文をつけた。小泉首相は今後の政局を、与党の協力を得ながら、国民の目に見えるように、内容とスピードを示しながら進めることになる。
 投票前の世論調査では「小泉自民 圧勝」が伝えられたが、国民は小泉首相と自民党に無条件の信託を与えなかった。大勝利が予想されながら惨敗した、故大平首相が洩らしたように、「国民は絶妙のバランス感覚を持っている」ということなのだろう。
 民主党の躍進は、将来の政権交代を視野に入れながら、自民党の改革をしっかりと監視する役割をおおせつかったということだ。この勢いを、これからの政治の場でいかに国民に実感させていくことができるかが、次の選挙で政権を奪取できるかどうかの鍵だろう。
 55年体制を象徴する存在であった土井たか子社民党党首が、自民党候補に敗れたことは、ひとつの時代の終焉を意味する出来事であった。熊谷保守党党首の落選は、民主党離党のゴタゴタを思えばやむをえないところか。2大政党の激突の狭間で、共産党の半減など弱小政党にとっては受難の時代である。政権に反映しない議席しか持たない政党は、抑止力としての効果を期待される構図になりにくく、存在にかかわる状況である。
 菅直人対鳩山邦夫は、菅14万対鳩8万で勝負にならず。安部晋三は80%の得票率。田中真紀子 大勝。政界失楽園の船田 元 復活。小渕優子・野田聖子・小池百合子(比例)の美人連は当選。鈴木宗男とつるんでいた松岡利勝は最後の1人で滑り込み。
 「政治生命を失うほどの厳しい天命だった」と山崎 拓、「毒まんじゅうを食らった」の村岡兼造、コップの水の松浪ちょん髷、郵政反対の荒井広幸、ファミリー挙げての選挙も空しく石原宏高くんらは、落選。


 一応の安定多数を獲得した小泉首相は、信託を得たとは言うものの一息ついている暇はなく、改革を叫びながらより邁進することだろう。改革こそが、彼のアイデンティティーだからである。ここでトーンダウン、スピードダウンしたならば、その存在意義がなくなってしまうし、民主党に尻尾を踏まれることになる。
 土俵は次の参議院選挙に移るが、改革の結果を段階を追って目に見える形で示していかなければ、国民はいつまでも甘くはない。



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