【79】得体の知れない不気味さを覚える、昨今の日本の日々! (2004.02.24)


 現在の日本の日々を見回してみると、社会全体が得体の知れない不安を抱えて、少しずつ歪んだ深淵へと落ち込んでいくような不気味さを覚えるのは、私だけだろうか。
 政治面では、顕著な成果を挙げられない小泉改革にいらだちながら、不思議な高支持率を与える、物静かな国民たち。小泉内閣への批判は、例えば道路公団の民営化ひとつをとっても、高速道路はこれからも造り続け、不採算道路のツケは機構すなわち国に回すというまやかしである。どこに、この国の体制を健全化する大儀があるというのだろうか。
 その政局を動かす与党は、自民党と公明党…。創価学会と一体の公明党を連立の相手に選んで、数百年という長い年月をかけて築き上げてきた政教分離を、政権にしがみつきたいがゆえに済し崩しに捨て去ろうとする自民党は、宗教政治が対立する思想をいかに弾圧し、世の中にどれほどの不幸をもたらしたかを知らないわけではあるまい。
 経済は、10年余の不況から脱却できないことから来る自信の喪失が、日本経済再生への気力を奪っている。加えて、私利私欲・党利党略に走る族議員と政党、省庁の権益を第一義とする官僚、そして銀行をはじめとして雪印・日本ハム・東京電力らに見られる経営モラルを喪失した企業…。グローバル化を口にはしても、日本の政官経済人は、米国式の市場原理に基づく、言ってみれば真の資本主義に立ち向かう姿勢を身につけてはいなくて、生き抜くすべを持ってはいなかった。
 社会面では、理由なき殺傷を偶発的に起こす通り魔や、抵抗力のない小学生・幼児への暴行や連れ去り、児童虐待など、鬱憤晴らしの実体のない事件が多発している。身につけているべき忍耐力・抑止力があれば、起こすはずもない事件である。
 犯罪の低年齢化…、事件にはならないが青少年の規律のなさも不気味な現象である。夜遅くまで徘徊する子どもたち、抑制されるとすぐにキレる子どもたち、少子化で大切に育てることとはきちがえて甘やかされた子供たち。この国の将来は危うく、その子どもたちを育てる教育も、教師たちの自信や教育力は低下し、学校では「勉強は学習塾で習って来い」と公言するぶざまさである。優しいだけの戦後教育で育ってきた、今の親たちも信用できない。
 やりきれないのは、社会の正義を守り、不正を取り締まるべき警察が、北海道警の内部告発のように腐り切り、桶川ストーカー事件のように不受理と捜査拒否、挙句の果ては検挙率19.8%と、犯罪を犯して捕まったら「運が悪い」と言われる国にしてしまったこと。さらに悪を糺す砦であるはずの検察までが、億単位の裏金を蓄財して流用していた不正が告発されるにいたっては、この国は今、地に落ちているというべきだろう。


 日本の抱える漠とした不安感は、日本人の心に空洞があき、この国のかたちにゆがみが生じていることにある。社会全体に不気味な衰退感が漂う日本に今言えることは、国の体制や各個人の精神・哲学を含めて、この国に正義とモラルを取り返すことだろう。他人任せではなく、各人が今できることから始めなければ、本当に日本は終わってしまう!



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