【105】 ホリエモン逮捕劇 − 恥知らずなマスコミ、コメンティター − 2006.01.24


 「ライブドア」社長のホリエモン(堀江貴文氏、33)が、昨夜、グループの証券取引法違反事件で、東京地検特捜部に同法違反(偽計、風説の流布)容疑で逮捕された。
 ライブドアの脱法的な経営手法について、東京地検特捜部は昨年2月、ニッポン放送株を「時間外取引」で大量取得したことを機に内偵捜査を始め、隠密裏に捜査を続けてきたという。昨年夏にホリエモンが総選挙に出馬したため、選挙への影響を避けるため捜査は一時中断したが、グループ元社員ら内部関係者からの情報提供によって、捜査は核心へとたどり着き、1週間前に家宅捜査、その後、ライブドアの取締役ら数人の事情聴取が続いていた。
 サンケイ紙の伝えるところによると、「昨23日午後3時45分ごろ、東京都内のホテルの一室で、特捜部の検事がホリエモンと向かい合って座り、任意で事情聴取を始めた。この聴取も16日の捜索も、証券市場の混乱を避けるため、市場が閉まる午後三時以降に始められた。 堀江社長は、一通り検事の質問に答えた後、午後6時過ぎ、霞が関の東京地検へ同行を求められ、他の3人の役員らとともに地検で逮捕の手続きが取られたのは、午後7時40分だった」とある。
 これに伴い、東京証券取引所は、大幅な値下がりの続くライブドア株を整理株に指定し、上場廃止を視野に入れて審査するといい、押しかけ女房に提携を強要された形のフジテレビは、これ幸いと提携解除を宣言し、慰謝料ならぬ…持ち株の目減り損分の損害を賠償請求するという。


 昨夜から、テレビは、ホリエモン逮捕で持ちきり!


 つい先日までは「時代の寵児」なんて言って持て囃していたのに、逮捕されたとなると、寄ってたかってパッシング…。彼を乗せて拘置所へ向かうライトバンを、上空からずっとヘリコプターで追っていた。
 このマスコミの変わり身の早さ…無節操ぶり…、恥ずかしくないのかと思う。無知な大衆に、いい加減な情報を流し続けて、ライブドアの株価をつり上げてきた過程には、彼らマスコミやそこに巣食うコメンテーター、言論人たちが、大きな役割を果たしてきたのではなかったのか。
 テレビ画面に向かって絶叫口調で語る古舘伊知郎の破廉恥さに、見ているほうが恥ずかしくなってチャンネルを変えたら、福留ちゃんも…筑紫哲也のおっさんも…、同じ時間帯に同じようなことを言っていた。
 こんな輩(やから)を信用してはいけないとつくづく思った。彼らは報道に名を借りた虚構の世界の操り人形なのだ。もっともらしいことを言うから、ついついそうかなと思ってしまうけれど、結果について何の責任も取ろうとはしない。むしろ、自分たちに何の責任があるというのだと、きっとそう思っていることだろう。そうでなくては、一言の反省も謝罪もしないで、のうのうとテレビに向かって口を開くことはできまい。
 その中で、宮崎哲弥だけが、今朝(24日朝)のテレビで、「マスコミは自分も含めて、大いに反省しなくてはならない」と言っていた。以前は、鼻につくものの言い方が生理的に好きではなかったのだが、最近、さまざまな分野に顔を出す彼の論旨がしっかりして根深くぶれないことに気づき、テレビで見ると注意を傾けるようになった。そこへ今朝の発言だから、かなり見直したわけである。
 そのあと、ライブドア関連を流していた番組があったので、見るともなくチャンネルを合わせていたら、ホリエモン批判がひとしきり続くコメンテーターのさえずりの途中で、司会者が「今日は鳥越さん、お休みの予定だったのですが、黙っていられないというので、急遽、駆けつけていただきました」と紹介して、鳥越俊太郎が入ってきた。休みを返上して、どうしても言わねばならないこと…、視聴者の皆様へのお詫びと反省かと思いきや、「ホリエモンを生んだ資本主義のあり方が問題」という眠いピンボケ話。スタンスの定まらない人は、喋る資格がないことを知るべきだ。


 ホリエモンは広島カープの買収計画を進めていたという。武部自民党幹事長、奥田経団連会長も後押しして、実現へ向けて驀進中の企画であった。時代も、社会も…、新しい世代の旗手としてホリエモンを迎え入れ、砂上の楼閣に大きな期待をかけていたのである。
 僕は、今年の年頭所感の中の経済の項で、「ホリエモンたちは虚業の世界に咲く仇花…」と書いた(http://www.ztv.ne.jp/kyoiku/Nippon/103N%20higashi-asia.htm)、「負けのないマネーゲームで利ざやをついばむ幻術師」とも。なぜか…、簡単なことである。お金を稼ぐ商品を持っていないからである。
 今や世界の経済の主役と言えるIT産業関連であるけれども、確固たる売り上げを計上する主力商品を持たないホリエモンを、資本主義の申し子と祭り上げたマスコミとその関係者は大いに反省して然るべきであろう。


 ホリエモンを乗せたワンボックスカーが、拘置所の門をくぐって、夜の中へ消えていった。赤いテールランプを飲み込んだ夜の闇に覚えた、得体の知れない不気味さは、得意の絶頂にあって、「人の心は金で買える」と豪語していた男の夢を、一瞬にして葬り去った絶対権力…検察に対する不信なのか。
 検察は、「裏金づくり」(http://www.ztv.ne.jp/kyoiku/Dokusyo/71uragane.htm)という明らかに法律違反の自らの疑惑に、調査委員会を設置したり、第三者による査察機関の検査を受けたりして、どこからどんな指摘を受けても揺るがない潔白を示して、自らの無罪を証明すべきであった。人の不正を追及し、世の中の悪を糺す立場にあるものの、当然の責務であろう。
 北海道警を発端とした「警察の裏金づくり」とともに、この検察の疑惑に対して、マスコミの追及の姿勢は誠に不甲斐ない。
 この検察に逮捕され、取り調べられるということの不気味さ…。白を黒と言い、事実を歪曲し、疑惑を捏造するのではないかという恐ろしさが付き纏(まと)うのは、日本という国の社会が負う業の深さであろうか。



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