【日本は、今 115】 民主党の党首に小沢氏が無投票で就任       2006.09.13
 ― この4月千葉7区衆院補選に勝利した民主は、来年の参院選に連勝できるか ―


 自民党総裁選に安倍・麻生・谷垣の三候補が立候補して、20日の投票日を目指して選挙戦を繰り広げている最中(さなか)、民主党も代表選が告示されたのだが、小沢現代表のみの立候補で、25日の投票日を待つまでもなく新代表が決定した。これで秋の政局は、20日の安倍晋三自民党新総裁の誕生を経て、安倍自民党VS小沢民主党の対決構造が確定したわけだ。


 留任が決まった小沢民主党代表は、「来年の参議院選挙で勝利し、政権交代の流れを…」と抱負を述べていたが、政権交代は民主党の悲願であるし、日本の浄化のためにも実現したいエポックだけれども、今の民主党にはその資格も可能性もない。
 自民党の総裁選で、福田康夫氏が立候補を辞退したことも含めて、安倍氏独走の状況を、今の自民党は「活力がない」とか「政策の焦点が曖昧」などと言われながら、白熱の消化戦の様相が連日のテレビ画面を賑わせている。これに対して、民主党では対立候補すら出ることなく、さらに残念なことはその状況をマスコミも世間も批判することなく、淡々と伝えられ語られたという事実である。今の民主党の動向など、誰も注目していないのだ。


 政治経験や手法が未熟であったけれども、原理主義者的な岡田氏や極右的な前原という若手が出てきた頃の民主党はまだ魅力があった。鳩山・菅氏らがそれら若い勢力を育てようとはせずに、却って排除しようとしたのは政治の世界の生存方法としては当然と言わねばならないのかも知れない。自民党の活力の源は派閥の勢力争いだといわれているし、中央も地方も足の引っ張り合いであることも事実である。
 ただ、自民党では同じ志を持つもの同士は助け合い、後進を育てていこうとするけれども、民主党のそれはコミンテルン的体質なのだろうか、同士や後継者を抹殺していく道を歩もうとしている。前原執行部の崩壊は、まさにその表れであった。
 新しくスタートした小沢民主党には、何らの新鮮味も感じられない。新しい芽を摘み取り、古参のボスが談合し合いながら物事を決めていくという、旧時代の自民党の幻影を見るのは私だけだろうか。しかも、自民党の根底には資本主義的民主主義という共通理念があったけれども、民主党は、旧自民から松下塾と組合民主主義者までの寄せ集めで、見ているものはその拠りどころはどこなのかも分らない。根底にあるものは何かという「共通基盤」を示すことが出来なければ、国民は安心して国の将来を託すことはできまい。


 小沢民主党は、前原執行部崩壊の後を受けてスタートした直後の衆院千葉7区補欠選挙に、太田和美ちゃん(26)を立てて起死回生の勝利をものにした。私は投票の前に、このサイトに「郵政民営化選挙に大勝利した後、社保庁問題・防衛庁談合・日歯連1億円疑惑・銀行の未曾有の利益など…不祥事不本意が続く政治への警鐘として、民主党太田和美ちゃんの当選は確実」と書いた(参照)。しかし、今の民主党には、自民党の対立軸としての存在感はなく、国民の鬱積感の捌け口としての役割すらすら担えない。


 安倍自民VS小沢民主の結論を言おう。来年の参議院選挙も…そこに至るまでの神奈川・大阪の衆院補選も…、自民党の全勝…。憲法改正、教育基本法の改正…へと政局は進み、糸口を探っていた中国・韓国は首脳会談に求めて応じるなど、安倍総裁、中川秀直幹事長(←これはちょっと自信がない、いちおう当て馬)の自民党は安泰である。
 民主党は解党的出直しを余儀なくされよう。では、その出直し策は…、近日…。



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