【149】 役人が不正を働くのは、政治がだらしないから       2008.03.07


 道路特定財源の私費的流用…、出てきましたねぇ、国土交通省所管の財団法人「公共用地補償機構」が、2003〜07年度の5年間に職員旅行の費用をほぼ丸抱えし、総額約2080万円を支出していたとか。
 1回につき1泊2日9万円の研修旅行ですよ。この「公共用地補償機構」は、ガソリン税などの道路特定財源から 事業収入の大半を得ています。ガソリン税として庶民から巻き上げた税金を、彼らは自分たちのために使うことを何とも思っていない…どころか、当然だと思っている。コメントを求められて、『法律に違反しているとは思わない』と言っている。


 官僚が好き勝手なことをするのは、政治がだらしないからですね。不正や横領まがいの、今回のような税金の私的流用にしても、それを規制したり罰したりする法律を整備しようとしない。
 それはなぜかというと、政治家自身の金銭が後ろめたいから…。結局、官僚と政治家は、お互いの痛いところを隠しあう、持ちつ持たれつの関係で甘い汁を吸っている。一例として、国会議員の給与以外に支給される文書交通費は、月額100万円です。(地方議員の政務調査費は、県会議員で30〜60万円、市会議員で5〜55万円ほど。)


 それでは、国会議員の給与(および現物供与)はというと、国会法第35条で、「議員は、一般の国家公務員の最高の給料額よりも、少なくない歳費を受け取る」と定められている。つまり、特別職の公務員(内閣総理大臣・最高裁長官・宮内庁長官など)は別として、最も給料の高い一般公務員と同じかそれ以上の給料を受け取ることになっている。(しかも、3月31日に当選すれば、3月分をまるまる受給する。)
 実際の額はというと、月額137万5千円+ボーナス(期末手当)718万円=2368万円。そして、文書交通費が毎月100万円だから、年間1200万円。1円からの領収書提示はどうなってんだ?
 さらに 国会議員には、JRや航空会社から特殊乗車券・航空券の供与や、公務出張の場合は交通実費が支給される。夏休みに大挙して海外視察に出かけるのは、この制度を利用してであり、現地大使館はその受け入れに奔走する。もちろん、その経費は全て税金である。
 さらに、国会議員の所属する会派には、一人あたり月額65万円(年額780万円)の立法調査費と名づけられた金銭が支給される。ここまでを合計して、国会議員ひとりに対して税金から支給される額は、年間4348万円+現物供与・外遊などである。
 さらにさらに、国会議員は3人の公設秘書を公費で抱えることが出来る。3人の給与の総額はざっと2000万円、これをネコババしていた議員もいたのだから、その欲も計り知れない。とにかく、国会議員ひとりにつき6500万円ほどの税金が支給されているのである。


 さらにさらにさらに、平成6年にはリクルート事件やゼネコン汚職など頻発した国会議員の汚職事件を防ぐために、政党助成法という、何ともお手盛りな法律が制定された。企業や団体などからのひも付き献金をなくし、税金で政党活動を保障しようというのである。赤ちゃんからお年寄りまで、国民1人当たり250円を負担する計算から成り、年間317億円余の税金が、共産党を除く各政党に、議員数に応じて振り分けられるが、その使い道もほとんど制限はない。これを政界用語で、『つかみ金』と言うのだそうな。
 

 こんなお手盛り政治家たちが、公務員の乱脈振りを規制できるわけがない。役人が不正を働くのは、政治がだらしないから…。
 我が家のチビ猫の夜遊びを、僕が叱れないようなもの…(苦笑)。「アンタは どうなのさ」と言われたら、返す言葉がない(大笑)。


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