【173】 原 辰徳読売巨人軍監督、WBC日本監督に就任        2008.12.10
      − 日本の野球界も 人材不足 −


 2009年のWBC日本監督に、読売巨人軍の原 辰徳監督の就任が決まった。日本の野球界も人材が枯渇していることの表れだろう。
 今年のペナントレースを、夏場には13ゲームも離されていながら、巨人軍に逆転優勝をもたらした手腕を買われたというわけだが、一時13ゲームも離されたこと自体が凡庸な監督である証拠ではないのか。
 今年の(今年に限らずであるが)大金を費やしての巨人軍の陣容を見れば、誰もが優勝候補の最王手に挙げたし、優勝して当然だろう。それを、開幕戦で「エースと4番を強奪した」ヤクルトに為すすべなく3連敗を喫し、宿敵中日にも無策のままに連敗を喫している。
 これだけの巨大戦力を与えられて、智将であれば開幕から常に上位にいただろうし、ましてやひところはリーグ優勝を諦めるような13ゲーム差という位置にチームを落としてしまうようなことは考えられまい。後半、そのゲーム差をひっくり返した戦いにも、采配の妙などなく、ただワンパターンの戦いを繰り返すのみであった。監督の采配もコーチの指導もなくなって、開き直った選手たちが、本来の力を発揮してひっくりかえした優勝であったというべきだろう。
 原の凡庸さは日本シリーズの結果にも表われている。戦力比較をすれば、シーズン前にはリーグ優勝さえも危ぶまれていた西部の若い力を引き出して日本シリーズに臨んだ伊東監督であったが、選手個々の戦力を比べればまだまだ巨人のほうが上であった。その西部を、ここぞというときの岸の登用(先発&リリーフ)で試合の流れを引き寄せ、日本一に導いた采配こそ、監督の力量というものであった。
 WBC日本監督は伊東西部監督が就任するのが、本義なのではないか。日本一を達成した監督であり、戦力の劣る西部で巨人を倒したのだから、戦略も采配も原よりは上ということで間違いはない。
 原はWBC監督候補にあがったとき、「球団がやれといわれれば…」と渡辺恒雄の意向を伺う発言をしている。インサイドワーク(処世術)は確実に上達しているのだが、肝心のインサイドベースボールの勉強が少しも進んでいないのだから、WBC監督に就任しても何の期待もできまい。
 行き当たりばったりのゲームをして、運がよければ勝ち、さもなければ無策の惨敗を喫して帰ってくることだろう。「オリンピックも勝てなかった」と言いながら…。



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