【182】 小沢問題に関する民主党第三者委員会報告           2009.06.10


     − 小沢前代表・検察・報道の問題点 −   【読売・産経新聞より抜粋】



 民主党の小沢代表代行(前代表)の資金管理団体を巡る政治資金規正法違反事件に関して、小沢氏の説明責任や検察の捜査の是非、メディアの報道などを有識者によって検証するため、同党が4月に設置した、第三者委員会(正式名称は「政治資金問題をめぐる政治・検察・報道のあり方に関する第三者委員会」。メンバーは座長の飯尾潤・政策研究大学院大教授、郷原信郎・名城大教授、桜井敬子・学習院大教授、服部孝章・立教大教授の4人)は、10日、報告書をとりまとめ、岡田幹事長に提出した。


 報告書は、今回の問題での民主党としての対応について、小沢氏の「政治家個人としての立場」と「党首としての立場」を切り離さず、混然一体として対応したことが事態の悪化を招いたとして、「政党の危機管理対応という観点から問題があった」と総括した。


 小沢氏の説明責任については、「自民党など他の政治家と比べて、突出した政治資金を集めているわけではないことを説明するほか、どういう目的で使われるのか、例を挙げるなどして説明することがあってもよかった」と指摘している。
 ただ、「検察に会計関係の書類がすべて押収されているので、現時点では(政治資金)収支報告書の支出の内訳以上の開示は困難だ」と小沢氏の対応に一定の理解を示した。


 一方で、検察の捜査については、「そもそも違反が成立するか否かに疑問があり、罰則を適用すべき重大・悪質な事案とは考えられない」「(検察の)捜査には多くの疑念がある」と捜査を批判。西松建設の違法献金事件で自民党国会議員への強制捜査が行われていないことについても、「取り扱いの不公平性を疑う」としている。
 公設秘書が逮捕・起訴された小沢一郎代表代行が代表職を辞任したことについて、「野党第一党の党首を辞任に追い込んだ重大な政治的な影響に関し、説明責任がある」と指摘し、検察側に説明を求めた。
 さらに「本件のような重大な政治的影響のある事案について、法相は、高度の政治的配慮から指揮権を発動する選択肢もあり得た」と、法相の指揮権発動にも言及している。
 また、小沢氏が、第三者委員会が行ったヒアリングに対して、「検察の権力行使をチェックする仕組みをつくることが重要」と述べたことを明らかにした。


 報道のあり方についても、NHKや産経新聞などの具体例を挙げたうえで、
 〈1〉検察やその関係者からとみられる情報に依存した報道が少なくなかった。背景には記者
   クラブに象徴される、当局と報道機関との不透明な関係があるとみられる
 〈2〉政治とカネの問題について「巨額献金事件」などの決めつけをはじめ、「有罪視報道」が
   展開された
 〈3〉検察の捜査のあり方への批判が十分に行われなかった
 ――などとして「多くの問題があった」と指摘した。


 いずれの指摘も、国民の目線から見ても疑問視される点である。検察は、特定の立場や利益に加担する捜査を行ってはならないのは言うまでもないことであって、今回の問題に対して、国民が納得する説明をするべきであろう。
 この問題で改めて思わされることは、検察もまた官僚であるということである。自民党長期政権の間、変革の波に洗われることもなく続いてきた官僚制度は、緩みを生み、傲慢を生じている。加えて検察・警察は、捜査権・逮捕拘留権などを持った組織であるだけに、その独走に歯止めがかからないという危険がある。
 警察・検察の裏金問題などはまさにその典型的な例であり、実名でその手口を克明に証言する内部告発が行われているのに、自分たちで捜査して、「そのような事実はありません」といけしゃぁしゃぁと発表する厚顔無恥さだ。「警察・検察に裏金はあると思いますか」と世論調査すれば、100%あると答えることだろう。国民の疑念に答えていないという証である。
 政権交代の暁には、民主党内閣は他の官僚組織とともに、警察・検察の組織や制度も改めることだろうが、ここにも政権交代を待たなければ実現しない、この国のチリ・ホコリがあるということを改めて思わされる。


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