【190】  小沢幹事長 不起訴 −筋書き通りの落しどころ−     2010.02.04


 東京地検特捜部は、今日、小沢一郎民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地購入を巡る事件で、政治資金規正法違反(虚偽記入)で告発されていた小沢氏を、予想通り、嫌疑不十分で不起訴とすることを発表した。筋書き通りの落としどころに落ち着いたということだ。
 検察としては、対決姿勢を示した小沢一郎に対して、そのまま不問にしては沽券に関わり、国民にもその弱腰を言い訳することができない状況であった。そこで、陸山会の事務担当者だった石川知裕衆院議員、大久保隆規第1秘書、石川容疑者の後任の事務担当者だった池田光智元私設秘書を逮捕し、国民の納得を取り付ける形で小沢一郎の近辺に迫った。
 しかし、筋書きはここまで…。検察はいつでもあなたの巨悪を挙げることができるのですよ…と小沢一郎に知らしめて、取調べの可視化をはじめとして検察改革を進めようとする動きを牽制し、参考人尋問で引っ張ってその対決姿勢を牽制したうえで、小沢本人については石川らとの共謀が十分に立証できていないとして、嫌疑不十分で不起訴としたのである。


 『特捜部は、同会が04年10月に東京都世田谷区深沢の土地代に充てた4億円について、小沢氏からの「借入金」だったと認定。石川容疑者が取り調べの中で、この4億円について、同会の04年分の政治資金収支報告書に記載しないことを小沢氏に報告し、了承を得たと供述した。
 このため特捜部は、小沢氏が虚偽記入に関与している疑いがあるとみて捜査したが、起訴しなかった。佐久間達哉特捜部長は記者会見で「有罪を得るだけの証拠が足りなかった」と説明した』(2/4 読売新聞) この説明で、納得するものはいないだろう。明らかに、小沢一郎は了承し関与しているではないか。
 しかも、具体的な供述も得られている水谷建設などからの献金について、検察は一言も触れていない。これも、西松献金と同じで、逮捕されるのは秘書までか。
 検察は常に正義の代弁者であるはずだったが、「告発! 検察の裏ガネ作り」に指摘されている通り、この組織も官僚集団以外の何者でもない。田中角栄元首相を逮捕したのは、当時の首相が三木武夫で、そのGOサインを得たからこそできたことであった。鳩山政権下での小沢一郎の逮捕は、夢のまた夢である。
 これで、小沢一郎の無罪は検察が保障してくれたことになった。そして、民主党政権は『小沢疑惑』という不発弾を質に取られていて、検察のふところへは手を突っ込まない。


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