【195】 どうしても納得のいかない 民主党代表選への小沢立候補 2010.08.28
− 2ヵ月半前の引責辞任は 何だったのか−
民主党代表選に小沢前幹事長が立候補し、菅首相が東京都内の中小企業を視察して、円高対策に取り組む姿勢を強調したのに対して、党の最大の支援組織である連合や全国郵便局長会などの幹部と会い、党員・サポーター票などの支持固めを訴えた。
公務に縛られる菅首相の選挙運動に対して、小沢陣営は得意のドブ板を拡大した全国行脚で票を稼ごうとしている。選挙の通らしい作戦である。
それにしても、小沢立候補には国民の8割が賛成できないとしており、最近の世論調査でも菅首相67%・小沢首相14%という数字が示しているように、今回の代表選への小沢立候補には民意は強い反対の意思を表している。それを押しての立候補とは、どういう説明が成り立つのか。
その小沢立候補に、鳩山前首相が「小沢氏は政権交代を導き、私を首相へと導いた。その恩には恩返しするべきだ」として、『鳩の恩返し』と揶揄されながら、支持を表明している。
、鳩山前首相はつい2ヵ月半ほど前、「政治とカネで政治不信を招いた責任を取って辞任する。ついては、同様の責任を小沢幹事長にもお取りいただきたい」と迫って、ダブル辞任をした鳩山・小沢のご両人である。この80日ほどで、辞任しなければならなかった責任はクリアされたと考えているのだろうか。
もし、選挙は数…! 小鳩連合で菅には勝てるから、総理の座を手にすればあとはこちらのもの…と考えての立候補ならば、国民と日本という国に対する冒涜だといわねばなるまい。
今回の代表選は、所属国会議員・所属地方議員・党員・サポーター投票によるポイント制で争われる。民主党の代表選挙規則に定められている選出方法は、
- 国会議員は1人1票で、得た票数の2倍がポイントとなる。
- 国政選挙の党公認予定候補者が有権者となった場合、1人1票で、得た票数がポイントとなる。
- 地方自治体議員である党員は、100ポイントが割り当てられ、議員全員による全国投票をもって投票で、ドント方式によりポイントが配分される。
- 上記以外の党員およびサポーターには300ポイントを各小選挙区の総支部に1ポイントずつ配分される。党員およびサポーターの投票は各小選挙区の総支部ごとに投票を行われ最多得票数を得た代表候補者がその小選挙区総支部でのポイントを獲得する。
となるが、現時点の党員サポーターがどのようであるのか、僕にはわからないので、申し訳ないのだが当落の予想は立てられない。
ただ、国会議員の票が小沢候補に過半数流れたら、民主党はどうしようもなく堕落した党だと言わねばなるまい。引責辞任した原因が何ら解決されていない元幹事長を、国民の大多数の反対を無視し、自分たちの論理だけで担ぎ上げる身勝手さ…。未だ財源も示しえず、円高株安の喫緊の課題克服に具体策もない、この無責任きわまる政治に輪を賭けて、権力闘争だけを目的にして政治的空白を省みずに代表選にウツツを抜かす身勝手さ…。小沢立候補に、何の理(ことわり)があるというのか。
全国の党員・リポーターが参加する代表戦だから、そこには権力闘争に歯止めをかける理性が働くものと期待するところだが、先日、旧社会党系の赤松グループがいち早く小沢支持を表明したように、組合や連合などの社会主義・全体主義勢力が小沢ファッショ体質と利益的接近を図れば、締め付けの組織選挙で票の掘り起こしを図ることだろう。今日の小沢前幹事長の連合や全国郵便局長会などの訪問は、その意図が明らかである。
小沢サイドからは、圧倒的に不人気の世論調査に対して、「小沢さんは誤解されている。首相になって実績を示せば評価される」とか、「この難局だからこそ豪腕が必要」などと言った、独りよがりのコメントが聞こえてくる。国民が聞く耳を持っていると思っての発言だろうか。国民は、それほどバカじゃない。どんな政治を行うかは、3ヶ月前にとくと見せてもらっている。こんな国民を馬鹿にしたコメントをしている国会議員は、次の選挙では落選することだろう。
川内博史民主党衆議院議員は、「小沢首相が誕生したら、普天間は海外への移転が実現する」などと、小鳩時代に当事者に幻想を抱かせ、国民を大混乱に陥れた政策を、また臆面も無く唱えている。
小鳩グループで民主党の国会議員の4割ほどを占める。その他の議員の取り込みを行って、国会議員票では小沢有利となるのだろうが、無記名投票だから隠れ反小沢に期待したいし、先に書いたように、党員サポーターがどのようであるのか僕にはわからないので、当落の予想は立てられないけれど、何の根拠もない感触として、民主党の良識にも期待して、菅首相の再選となるような気がするのだが…。
その後の民主党の前途は多難だ。まず、現在の円高・株安への無策に見られるように、大きな課題に具体的な政策を実行できるスタッフが居ない。ブレーンも議論は百出しても、腹を決めて責任を取る覚悟で政策を立案実行できる人材が見あたらない。まだ、素人集団の迷走は続き、国民の批判にさらされることだろう。
そして、この代表選の結果を受けて、党は分裂…、政界再編の洗礼を受けねばならないだろう。自民党の中の理念の近いグループ、野党の中で強調できる勢力と、基本政策の刷りあわせをしっかり行い、日本の明日を拓く政権を樹立して欲しい。そのためには、やはり人間をしっかりと見極めることだろう。
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