【199】 中国の狙いと日本の覚悟 −この国にどう立ち向かうか−  2010.10.30


 ベトナム・ハノイで開かれている東アジア首脳会議において、中国がセットされていた日中首脳会談を一方的にキャンセル…。日本側は、何とかその実現に漕ぎ着けたいと懸命だが、中国は「会談が実現しないのは、日本側に全ての責任がある」と相変わらず強硬である。


 日本のマスコミは、「日本を一方的に強く非難することで、反日感情が沸騰する国内の「ネット世論」向けに対日強硬姿勢を示す狙いがあるとみられる」と報じているが、見方が甘いんじゃないか。
 中国は、尖閣問題への対応を見てもわかるように、はっきりと東シナ海を自国の勢力圏に置こうという意図を持って、戦略的な対応に出ているとみるべきだろう。中国国内の反日デモは、中国政府が後ろで操っているヤラセであって(政府の黙認がなければ、一党独裁の中国でデモは行えない。無許可でやれば、全て反政府運動である。)、『中国国内世論が納得しないから、尖閣にせよ、春暁ガス田にしても、対日強硬姿勢を貫かねばならない』という理由付けのために行わせているのである。
 全ては中国の言いがかりであって、日本は毅然と言うべきことを言っていればいい。黙っていれば、そのことを認めたことになる。『尖閣は日本の領土だ』と言ったがために中国との仲がこじれるのならば、こじれさせることだ。こじれた向こうにこそ、真の解決策がある。
 

 今、日本のほとんどの民放テレビ局が、放送法で認める外国人株主枠20%を中国資本に買い占められているという事実をご存知だろうか。中国共産党が、わが国のテレビマスコミの大株主なのだ。NHKもトップのNo.1と2は、中国に市場を持つアサヒビールとトヨタ自動車の出身である。また、中国の国営放送「中国中央電子台」(CCTV)の日本支局は、NHKの建物内にあるのだ。
 新聞社の株の保有についても、同様の懸念がある。これでは、日本国民に、中国問題の真実を伝えることは無理というものだろう。
 テレビ・新聞の報道が、中国に有利な内容になることは無理からぬことを、ご理解いただけるだろうか。さらに言えば、中国問題でも、マスコミを信用するなということである。


 そして、中国に大きな市場を持つ経済界だが、彼らの腰が引けていることは情けない。国益よりも、企業の利益が優先するのだろうか。金銭を稼ぐためには、国家の正義をなげうてと言っている。日本を代表する企業のトップが言うべき言葉かどうか、今一度、大儀に照らして考えてほしい。きっと、あまりの恥ずかしさに、わが身を隠す穴を掘り始めることだろう。
 中国みたいな国に、企業経営を委ねていては、いずれ必ず大きなドンデン返しを覚悟しなければならないだろう。中国は、一党独裁、人治主義、判断は個人の裁量なのだから、コネと賄賂が横行している国である。治めているのは、国際法の解釈も、ましてや信義などというものは、勝ったものの元に付いてくると公言してはばからない中国共産党である。日本企業に対する原料供給制限・労働争議・営業停止・接収などは、朝飯前だと覚悟しておかねばならない。現に、中国に進出した台湾人実業家が独立派だったという理由で、設立した会社で労働争議を煽られ、倒産に追い込まれたという事実がある。中国でひと稼ぎをもくろむならば、いつでも裸に剥かれて放り出される覚悟を持って臨まねばならない。
 日本企業は、海外の生産拠点を、中国以外のタイやベトナム、またインドなどへ移し、政治的連携も視野に入れて、これらの国々と手を結ぶことを考えるべきである。中国バブルは、いずれはじける。


 そしてもうひとつ忘れてはならないことは、中国は1949年にチベットへ侵攻し、そこを押さえたのちインドとの間に中印国境紛争を起こしている。69年には、ソ連の防衛力の薄いウスリー川で中ソ国境紛争を起こし、79年にはベトナムに進出して中越戦争を戦っている。アメリカ軍がフィリピンから撤退したのを機に、今度は南シナ海の領有を主張し、海軍艦艇に実弾を使わせベトナムやフィリピンの監視船を追い払っている事実だ。いずれも領土(領海)の拡大と確定のための戦争であり、その延長線上に、尖閣問題があることを、日本政府も日本国民も肝に銘ずるべきである。
 中国は、外交的解決を図ることはしない。譲れば、踏み込んでくるだけである。菅政権のように、「静かなる外交の勝利」なんて負け犬の遠吠えを言っていては、尖閣列島は守れない。早晩、中国の軍艦が哨戒して、中国漁船がひしめく海となるだろう。
 日本国民は、覚悟を決めて立ち向かわなくてはならない。政治も経済も、何よりも国民が、ひとつの国家意思を明確に掲げて、『日本は譲らない』ことを中国と世界に知らしめることが求められている。



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