【263】 尖閣国有化から1年 − 周辺海域は、実質、中共の領海 −
2013.09.11


 尖閣諸島(沖縄県石垣市)の国有化から今日で丸1年が経過する。カツオやマグロなどの好漁場でもある周辺海域はこの間、日中がにらみ合う緊迫の海となり、連日、中共の海洋監視船「海監」が接近・領海侵犯を繰り返し、操業する日本の漁船に近づいて「直ちにこの海域から出なさい」と警告してくるという。沖縄から漁に出る船はほとんどいなくなった。
 この状況は、中共による実質的な支配がなされていると言わねばならないのではないか。これを1年…3年…5年…と繰り返していけば、世界はここは中共が支配する海と認識するだろうし、そのうち中共の漁船が出てきて堂々と操業することになる。チベットや新疆ウイグルでも明らかだが、中国人が進出し、その保護にと称して軍隊が武力侵攻する。繰り返される、中共の手口である。
 マスコミやコメンティターの面々は、「中共と首脳会談も開けない状況は異常だ」と、どういう過程を経れば首脳会談が実現するのかを示すこともできずに、繰り返している。とにかく、話し合えというのだ。
 しかし、日中首脳会談が開かれなくても、何の支障もない。この1年間、会談はなくても、何の差しさわりもなかった。むしろ、菅 直人が首相のとき胡錦濤の前でメモを読みあげながら会談した当時のほうが、漁船衝突事件・東シナ海の油田掘削開始・空母建造・「戦争に備えよ」演説…など、すさまじい軋轢が生じている。
 「日本は歴史を反省しろ」とは中共が日本に対して繰り返し投げかける決まり文句であるが(近年、小中華の「韓国」もこのセリフを真似ている)、日本と中共・韓国の歴史認識が合致することはおろか、歩み寄ることも期待できない。なぜなら、そもそも中共は易姓革命によって歴史を書いてきた国であり、今の王朝(政権)の正当性を言うために前の歴史は全て間違いとする繰り返しなのである。罪を認めたら命を奪われる歴史を紡いできたのであり、だから間違いを認めないし、理不尽とわかっていても言い張るのだ。
 これに対して日本は、万世一系の天皇を擁する歴史を持ち(天皇の好き嫌いは別であって、日本には2000年を通しての王朝があり、過去の歴史を否定する考え方はないということである)、その中で「名こそ惜しけれ。花は桜木、人は武士」の文化を培い、「武士道」を完成してきた民族である。『正義』ひとつをとってみても、他との相対の中に価値があるとする日本人と、自分の正しさを貫くことが正義だとする中共とに、共通認識は成立しない。
 日本は、堂々と「尖閣は歴史的にも国際的にも日本の領土だ」と証拠を挙げて国際社会に表明するべきだし、中共が嫌がることはするななどといった事情を忖度する必要はない。気遣い、配慮が通用する相手ではない。むしろ、それにつけ込まれたことが、今まで何度あったかを思い出すべきだろう。
 聖徳太子は「日出(いず)る処の…」と書いて朝貢を謝絶し、菅原道真は遣唐使を廃止して国風文化の爛熟を創出し、豊臣秀吉は明国への防御を図って朝鮮へ出兵し(朝鮮占拠が目的でなかったから「唐入り」と言っている)、福沢諭吉は「脱亜論」を書いて、いずれも中国との付き合いを否定してる。
 事実、中国・朝鮮との付き合いに深入りしたとき、日本の命運は衰退に向かっている。近江朝が唐軍と戦った「白村江の戦い」以来、韓国併合・日中戦争に至るまで、中韓とかかわって良い結果を招いたことはない。福沢諭吉が「脱亜論」でいうように、中国・韓国と協調して西欧諸国の侵略を退け発展していこう(アジア改造論)としても、彼らは開明しないのだから、日本はこれと協調することを謝絶して、独り文明化を進める道を歩むべきだろう。
 日本は、他国の感情には理解を示しつつも、我が国の立場で堂々と歴史認識を持てばよいのである。世界に向かって日本の正当性をしっかりと発信し、中韓に対しては是々非々の対応を貫くことだ。そうすることが、日本の支援による(いや、もう支援はゴメンだけれど)辛亥革命の成功や大韓民国の成立など、彼らの国際社会への目を開くことにつながる。


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