【268】 軽減税率の導入を急げ       2013.12.19

 消費税率のアップが、来年4月から8%に、再来年10月には10%に引き上げられることが決定している。この引き上げについては、せっかく上向き傾向にある景気の足を引っ張るとして、実施を先に延ばすことを提言していたが、自民党税制調査会と財務省は「既定路線だ」として引き上げを決定してしまった。
 消費税アップに伴い、生活必需品などを低く抑える軽減税率について、公明党の提案などによって議論が起こっているが、自民党の野田 毅(税制調査会会長)や額賀福志郎は否定的…。公明党税制調査会会長の
斉藤鉄夫は、軽減税率について「来年末には、すぐにでも法律にできるまで練り上げた詳細設計を行う。そのため、夏ぐらいには大まかなものは示す」と述べ、来年夏ごろに制度の概要をまとめたいとの考えを表明しているが、野田 毅らは「ちょっと急ぎすぎだ。国民参加で議論をしてもらわないと」と、早期の導入に難色を示す。
 その導入時期について、自公両党がまとめた2014年度与党税制改正大綱でも、「(消費)税率10%時に導入する」とし、「10%実施と同時に」とは明記していない。
 

 しかし、アベノミクス効果が喧伝され、景気浮揚がうたわれながら、その効果が実感できないとの声が溢れる巷からは、生活に対する不満がくすぶっている。国の根幹を定め、外交・防衛などに着実な布石を打つ安倍政権の姿勢には、国民は大きな支持を与えているが、財務省と自民党税制調査会指導の消費税アップに対しては、冷めた見方をしている。彼らが言う「国の借金」や「社会保障」の財源のためという謳い文句は、見せかけであることも見抜いている。もしそれが本当ならば、増税分の使い道に明確な法律による縛りをかけるべきだが、今は何にでも使える形になっている。
 麻生(財務省)や野田(自民税調)の言うことは信用ならんけれども、安倍を困らせるには忍びないから…というのがホントのところだろう。
 

 しかし、しかし … 人びとの懐に直接響く生活用品の提言税率を明確に示さないのは、庶民を忘れた、古い自民党の体質が復活したものと、国民は大きな反発を抱くだろう。先日の「秘密保護法」に対して、内閣支持率はまだ高いままに、75%という反対があったのは、国民生活をないがしろにして、政官の都合ばかりを優先しようとする姿勢に、多くの国民が反発したものでもあった。
 軽減税率に手をつけずに消費増税を決めた政治に、国民は、今、「勝たせすぎたか!」と思い始めている。消費税を上げるのならば、生活用品の提言税率を同時に提示するのが当然である。それが血の通った政治というものであって、その実施を渋る自民党政治は、庶民を忘れ、数の横暴を尽くす、昔の自民党の復活を連想させる。
 自民党が本当に生まれ変わったのならば、人びとの気持ちと暮らしに寄り添う政治の実現に務めなければならない。そのために、生活用品の軽減税率実施細目を明確に示し、早期の実施を表明することが必要だろう。


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