【269】 是正すべき 日本に対する世界の認識   2014.01.17

 16日の産経新聞が「中国共産党機関紙が「日本鬼子」と対日差別用語掲載し、米中連携を要求」の表題のもと、「人民日報海外版は、… 「第2次大戦の戦勝国」として「日本が軍国主義の道に戻ることを防ぐため」に米中が提携するよう呼び掛けた。… 論評は、中米両国は「盟友」として「日本鬼子」を打倒したと、日本人への差別用語をそのまま掲載。安倍晋三首相の靖国神社参拝などへの強い非難を米国が避けているとして不満を表明した」と伝えている。

 この記事を目にしたとき、昨年、中西輝政京都大学名誉教授が書いていた「中国の奥の手『敵国条項』」の一文を思い出した。
 『敵国条項』とは、国際連合憲章の条文のうち、「第二次世界大戦中に連合国の敵国であった国」(枢軸国)に対する措置を規定した第53条および第107条と、敵国について言及している第77条の一部文言を指す。【この前後、ウイキペディアより抜粋】
 国際連合憲章第2章では主権平等の原則をうたっており、第53条第1項前段では地域安全保障機構の強制行動・武力制裁に対し安保理の許可が必要であるとしている。しかし、第53条第1項後段(安保理の許可の例外規定)は、第二次世界大戦中に「連合国の敵国」だった国が、戦争により確定した事項に反したり、侵略政策を再現する行動等を起こしたりした場合、国際連合加盟国や地域安全保障機構は安保理の許可がなくとも、当該国に対して軍事的制裁を課すことが容認され、この行為は制止できないとしている。
 第107条(連合国の敵国に対する加盟国の行動の例外規定)は、第106条とともに「過渡的安全保障」を定めた憲章第17章を構成している。第107条は旧敵国の行動に対して責任を負う政府が戦争後の過渡的期間の間に行った各措置(休戦・降伏・占領などの戦後措置)は、憲章によって無効化されないというものである。(77条について)

 要するに、ここでいう「敵国」とは第二次世界大戦において連合国と敵対した国(日本・ドイツ・その他)を指していて、これらの国が戦後の確定事項を犯したり、侵略行為を起こしたりしたら、安保理の決議・承認がなくても、自国の独自判断によって軍事的制裁ができるというもので、いかなる国や機関もそれを阻止したり対抗したりできないという条項である。
 日本人が平和を守るための金科玉条としている国連憲章に、68年も前の大戦の敵国条項が残っていたとは、外務省の怠慢以外の何者でもないと言わねばならないが、この条項をタテにして中共が「わが国の領土である尖閣列島が日本に占拠されている。国連憲章の敵国条項の定めに従い、軍事的制裁を加える」と宣して行動に入れば、アメリカは日本とともに阻止行動に入ることはできない。
 そうなれば日本の米国に対する信頼は根底から揺らぐことになり、日米安保条約は機能しなくなる。これこそが、中共の狙う日米分断である。
 驚異的な軍備拡大で海軍力を整備し、西太平洋の覇権を握ろうと目論む中共にとって、艦隊が太平洋に出るために尖閣は要石の存在である。日本が自衛隊を常駐させミサイル基地を構築すれば、中共の太平洋艦隊行動には致命的な障害となる。反対に、中共が尖閣を制圧し、同島に対艦ミサイルを配備すれば日米は近づくことはできず、台湾の本土併合は成されたも同然となろう。南シナ海の中共支配は一気に強化され、アジアの戦略状況は一変する。
 まさに、沖縄・南西諸島が中共の未来戦略にとっていかに重要かが理解されるというものであり、中共が尖閣を諦めることは決してない。日本は、不退転の決意を定めて、この問題に対峙するべきである。
 

 同時に、世界には第二次世界大戦の亡霊がいぜん彷徨(さまよ)っていて、日本の手かせ足かせとして取りついている。同盟国アメリカ、友好国イギリス・フランス…といえども、かの大戦の戦勝国としての彼らが形づくった世界秩序を決して崩そうとはしない。
 「大東亜戦争は日本のやむにやまれぬ戦いであった」、「東京裁判の判決は正当性を欠く」、「原爆・本土空襲は国際法違反の犯罪である」…など、大戦における日本の大義について、世界の理解を得るための戦いは容易ではないが、日本は世界に向けてそれぞれの誤解を解き(不当な定説を覆し)、かの大戦を戦った日本の正当性を訴え続けていかなくてはならない。
 そう、総理大臣が堂々と靖国神社へ参拝できてこそ、日本は国際舞台に復権し、戦後が終わるのである。
 
                        「日本は、今」 トップページへ