◆ 民主党代表に、岡田克也氏           2004/5/19  【政治84】


 民主党の小沢一郎代表代行は、国民年金未加入期間があったことを明らかにし、党代表の就任を辞退することを表明した。国会議員に加入が義務付けられる以前の1980年4月から86年3月までの6年間が未加入。「年金不信は頂点に達しており、政治家としてけじめをつける必要がある。民主党代表になることはふさわしくないと考えた。深く反省している」と辞退の弁を述べた。
 これを受けて民主党は、岡田克也幹事長を後任代表に選び、7月の参院選に臨む。岡田氏は就任挨拶で述べていたように、まだまだリーダーとしての資質・手腕も未知数であり、できればあと数年さまざまに経験を積ませて、名実ともに党の顔としての認知を得てから代表に据えたかった。9月までの暫定措置というニュアンスを持たせて、力不足は周囲が補うという図式にしないと、有為な民主党の逸材を損なう恐れもある。本人にとっても辛い代表就任なのだろうから、相次ぐ代表見殺しの民主党としては支持体制を固め、イメージの回復を図らねばならない。
 岡田新代表がその基盤を築くには7月の参議院選挙に大勝することだけれども、残念ながら現状の民主党では望むべくもない。参院選惨敗のあとは、7月か…あるいは任期切れの9月に、岡田氏に傷が残らないように、予定の行動という形で小沢一郎新代表を実現させることだろう。新生民主党の新たな出発はそこからである。

 小沢一郎氏は、自身の年金未加入を事前に知っていたかどうか…。年金不払いの国会議員が続出し、菅・福田の首を飛ばした状況の中で、民主党代表という重要なポストを受けようというときに、自分の年金支払いを調べていないということはない。
 発表のタイミングについては、悩んだことであろう。できれば一議員として発表せずに済むのならばそれに越したことはなかったのだが、代表就任という矢面に立ち、要請を受けた時点で「実は、私も年金不払いで…」と辞退するのでは、菅氏をこの問題で失脚させた身としてはピントがボケている。ここは代表要請の話に乗って、野党の党首になろうというときに小泉首相と同じ86年以前の未加入を理由に、「私にはその資格はない」と辞退して見せ、首相への揺さぶりをも狙ったわけだが、ちょっと姑息であった。
 国民年金への加入が義務化される86年以前の不加入を政治責任などといった言葉で問うてみたり、ましてや40年も前の予備校時代の不払いを問題にしたりなどというのには、国民はもうウンザリしている。ゴミ箱の底からアラを探し出してくるような話に、言う者の品性を疑い出している。本塁に剛速球を投げられない小沢氏の苦し紛れの牽制球は、暴投にならなかったことを幸いとするべきだろう。