【88】参議院選の行方 予想 − 自民楽勝なんて、ボケてちゃいけない −  2004/7/5


  日本の閉塞感を打開するキーワードは『政権交代』 


 7月11日の投票日まで、あと1週間。今日、選挙戦最後の日曜日に、各党党首は街頭に出て、それぞれの主張を町行く人たちに訴えた。
 この選挙戦の結果について、「自民圧勝」の予想が、新聞各紙に流れていたというのにはあきれてしまう。民衆の政治不信や若者の政治離れを反映しての投票率の低さを根拠に、浮動票が獲得できない反自民勢力の劣勢を予想してのことだろうが、今の日本の根底にうごめく不気味な不安感を、大衆が感じ取っていないと思っているのだろうか。
 小泉改革は全体的には確かに進んでいるし、また、小泉以外にこの改革を進めていくことができるとは考えられない。しかし、小泉をしても改革を大胆明快に進めることのできない、現在の政治・社会の体制に、国民はNOを表明し始めている。
 年金問題は抜本的な改革を断行できず、自衛隊のイラク派遣も国民の賛同する形を整えることができない現在の政治に、国民は納得できないいらだたしさを感じている。教育はその誤りが明白であるのにいまだ『ゆとり教育』などといった方向を転換できず、厚生労働省・社会保険庁、そして財務省のずさん極まりない年金運用…、警察・検察の公金不正流用…などなど、不正に揺れ、誤謬だらけの官僚主導によるこの国の舵取りは、もはやこの国を誤らせるものでしかないことに、人々は気づき始めている。
 野党のだらしなさにも、その責任はある。ウソで固めた年金問題の資料を提示されて、その誤魔化しを見抜けず、追究できなかった野党議員の不勉強…。もはや、国際社会で通用しなくなっている憲法第9条にこだわって、説得力のある新展開を提案できない野党勢力の脆弱さ…。これでは、新しい政権を民主党を軸とする野党に託することに、躊躇せざるを得ないことも確かである。
 この閉塞した日本の現状を打開するには、どうすればよいのか。展望も実力もまだまだであるけれども、それでも野党に政権を渡す「政権交代」が、その切り札である。
 長年の自民党政権に馴れ合ってきた、政官産の癒着構造をストップさせ、政治家や官僚の思考を転換させるには、「政権交代」が必要である。今日までこの国の中枢に居座り、利権構造を築き上げて甘い汁を吸い続けてきた勢力は、人々やマスコミの一時的な批判など、カエルの面に小便である。ずさんな年金管理や警察・検察の公金流用は、確たる犯罪であるが、誰一人として責任を取らず、処罰されたものもいない。75日が過ぎれば、またもとの甘い汁を吸い続けるのである。
 社会構造を変えるのは、「政権交代」である。新政権を担当した者が、また従来どおりの甘い汁を吸おうとしたならば、この国の腐敗は極まり、政治不信は行き所のないものになってしまうが、ここは岡田克也民主党代表の頑固な真面目さに託してみる価値はあろう。
 ここまでの参議院選を見ていると、野党の説得力は全くの不足で、これまでの国会活動同様に勉強不足で詰めが甘く、年金問題・イラク派遣という絶好の材料があるのに、国民の共感を勝ち得たとは言いがたい。残る1週間で、現在の日本の政治社会の問題点を明白にし、対処方法を解り易く示して、国民の共感を確かなものにしなければならない。
 日本のこの閉塞感を打開する切り札は、「政権交代」であることに、国民はどこかで気づいている。


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