◆ 新岡田民主党の課題  ‐政権交代に向けて‐          2004.9.17【政治90】


 民主党は13日午後、臨時党大会を開き、岡田克也代表の無投票再選を正式に承認、同時に党役員人事と「次の内閣」も了承し、第二次岡田体制がスタートした。新たな党役員の顔ぶれは、藤井裕久代表代行、川端達夫幹事長、仙谷由人政調会長、鉢呂吉雄国対委員長。「次の内閣」では外務担当に鳩山由紀夫、国土交通に菅直人両元代表、厚生労働相に横路孝弘元副代表を起用、ひとまず党内の実力者や若手リーダーをバランスよく配置したかたちとなった。
 新岡田民主党の課題=使命は、まぎれもなく政権交代であろう。先の参院選では、自民党を凌駕する支持票を集め、得票数では第一党となりながら、新議席数では自民党の49に対して50を獲得したものの、公明党の11を加えると、はるかに及ばなかった。非改選議席の自66・民32・公13を加えると、参院勢力は自115・民82・公24で、自公は合計139、民主党とその他の政党合計103は、全く及ばない。
 したがって、新岡田民主党の政権交代は、3年後の衆議院・参議院選挙において、自公の議席数を超える結果を残せるかどうかということにかかわるわけで、新執行部は、年度内に衆院全300選挙区で候補者を擁立するための作業を本格化させることになろう。


 ただ、「民主党に政権を任せられるか」というアンケートの結果を見ると、自民党中心に…47%に対して、民主党中心に…32%と、まだまだ政権担当への信頼感は薄い。ということは、現在の得票率は、「反自民」としての得票ということで、現実に民主党が政権に近づいたならば、国民の振り子はまた大きくゆり戻すことだろう。
 岡田新体制に対する小沢一郎の反応もまがまがしい。「政権獲得」という大目標に対して、小異を捨てて一致協力しようとする姿勢がどうして示せないのかと、残念に思う。所詮、小沢一郎という政治家は、自分がスポットライトを浴びていない場所では、主役を盛り立てるという役割はできないということだろうか。 かつて、野中広務元自民党幹事長が、詰めの部分で各論にこだわり協力を拒む小沢一郎を評して、「またか、小沢。いいかげんにしろ」と投げ捨てるように言っていたのは、このことであったのかと納得しそうになる。
 岡田代表は、総合選対本部長への就任などをこれからも要請し、全党的な協力体制を確立したいとしているが、なお小異にこだわるようであれば、支持層からの不信感・嫌悪感は拭いきれず、小沢一郎の政治生命を細めることになるだろう。


 民主党は、もっと判りやすい言葉で政治を国民に語る必要がある。自民党は、政権政党であるから、良きにつけ悪しきにつけ政治を現実として見せることができる。道路公団改革なんて、国民を欺くもの以外の何ものでもないが、「小泉はとにかく改革をしたではないか」という事実を国民にアピールした。その改革がいかに欺瞞に満ちたものであるかを語るのは、民主党の役割である。その言葉が不明確で、国民の胸に届かないから、民主党政権への支持が確かなものにならないのである。年金問題、橋本派献金問題、郵政改革など、材料に事欠かないはずなのに、民主党の説明が国民に届かないのはどうしたことであろうか。岡田新体制の、第一に取り組むべき課題である。


 地方組織の拡充・強化も、重要事項である。連合や労組などの既成勢力とは、協力はし合っても寄るべきではない。民主党が力をつけることによって、自分たちの主張を具現化してくれる政党として支持するという形を作らねばならない。日本の革新勢力は、真の意味の市民の支持を持ってはいない。


 民主党が、国民の心に訴える言葉で政治を語り、市民の支持をパワーとして組織を確立することができれば、日本の民主政治に新しい1ページが開かれることだろう。
 国民の心に訴える言葉で政治を語り…とは、年金改革とか金権政治の打破といった目の前の問題を糺すだけでなく、国民の意思や心根に訴えて、この国に真の民主政治を創り上げていく営みでなくてはならないのだが、その中身については、また稿を改めて論じることにしたい。


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