【読書206】 「新沖縄ノート」  (恵隆之介、ワック)
         - 誰も語れなかった 沖縄の真実 -


 著者の恵 隆之介は海上自衛官を退官後に琉球銀行に勤務、現在は沖縄に住みながら、沖縄問題に提言を続けている。彼は昨今、沖縄の真実を語り続けることに、命の危険を覚えるという。沖縄の反米・反省キャンペーンは、ある勢力の影響下にあり、利権に組み込まれているということだろう。
 「命を懸けて、私は沖縄のために、沖縄の真実を叫び続けます」と語る決意を聞いて、この本を買ってきた。


 中国が「核心的利益」と位置づける第一列島線の枠内に取り込まれ、中国公船が沖縄海域を繰り返し侵犯している現実を目の当たりにして、沖縄では今日も「米軍基地返還」「米軍は出て行け」と繰り返して叫んでいる。
 が、沖縄の反戦キャンペーンは、その多くが反戦活動家によるパフォーマンスである。たとえば、平成8年4月1日に使用期限の切れた読谷村(よみたんそん)の「象の檻」と呼ばれたアメリカ軍の電波傍受施設の土地の返還については、知花昌一というひとりの反戦地主活動が、沖縄で92%の県内シェアを持つ地元紙の「琉球新報」「縄タイム」2紙によって詳細に伝えられたが、この2紙は継続賃貸を求める451名の地主の意向は全く伝えていない。
 沖縄の米軍基地用地に1坪とか2坪の土地を買って反基地活動を行う、いわゆる反戦地主について、当時の全国紙は3085人という数字を掲載している。この数字だけを見ると、あたかもほとんどの地主が反対しているような印象を受けないでもないが、土地の継続使用を望む地主は29000人以上いる。彼らの所有する土地の広さはもちろん1坪や2坪でなく広大で、基地面積の大部分を占め、面積比では反戦地主が所有する土地は基地面積の0.2%でしかない。
 (反戦地主の土地所有は、0.2ヘクタールの土地に2968人の登記がなされているといった状況で、1ha=10000㎡、1坪=3.3㎡だから、1ha=10000÷3.3=3030.3030坪。すなわち、0.2ヘクタールの土地に2968人の地主がいるということは、3030.3030坪×0.2÷2968=0.2坪で一人当たり0.2坪の地主ということである。)
 このように、沖縄の反基地活動は沖縄県以外の地域から沖縄に來県している活動家や、左翼的旗幟を鮮明にしている地元マスコミ、そして沖縄教組とこれらにからむ地方政治家たちによる、思想的、売国的、そして利権につながる反米・反日行動なのである。


 沖縄は、全国学力テストで最下位、若者の就職率も低く(関西地方へ出る若者も多いが、教育・しつけなどが原因で就業状況も悪いとある)、成人式での規律の劣悪さは毎年テレビなどで伝えられている通りである。
 ここにも、沖縄教組の反日教育の足跡が見られるし、また、ゴネれば金になるという、沖縄に培われてきた体質が垣間見られる。学問を修め、自力で自分の人生を切り開いていこうという気概も育っていない。


 沖縄を堕落させた本土政治家の責任も大きい…として、普天間問題を迷走させた「鳩山由紀夫」と、平成13年に沖縄担当大臣に就任した「尾身幸次(自民党衆院議員)」、初代沖縄開発庁長官「山中貞則(自民党衆院議員)」の名前が見られる。
 「鳩山由紀夫」については米軍基地問題を迷走させた張本人とて繰り返すまでもないが、「尾身幸次」は沖縄及び北方対策担当大臣当時、小中学校の教育が荒れていることは省みずに、「沖縄新大学院大学」構想を提唱し、「沖縄ならば、いくらでもお金は持ってこれます」と主導的な役割を果たして、後に就任した財務大臣の時には予算獲得のアドバイスをしていたと指摘されている。そして、尾身が主導して事業は進められ、癒着が噂されていた西松建設が「沖縄科学技術大学院大学基幹環境整備」を2億7090万円で契約している。そのほかにも沖縄関連の補助助成金は莫大なものになるが、これらのうちからどれほどが尾身の懐に還流されたのか?
 「山中貞則」は沖縄担当大臣当時、返還時の円転レートについて特別給付金方式(負債は実勢ルートで、資産は1ドル360円で交換)という沖縄優遇措置を、返還に政治生命を賭けるとした佐藤総理に「金で済むことなら」と承諾させている。これを聞いた当時の水田蔵相は、生涯、山中と口を利かなかったという。返還時の尽力をもって、山中は沖縄県名誉県民顕彰を受けたが、「本土の有力政治家が銀行員と結託して優遇措置を受けている…、そのなかに中山貞則もいた」と名指しで指摘されいる。
 政府ODAをはじめ、政府が関与する輸出・輸入、対外・国内援助、緊急輸入のタイ米にさえも、動いた金の何パーセントかが関与した政治家の懐に還流するシステムが出来上がっているのが、日本の政治なのである。小沢一郎の西松建設問題、鈴木宗男のムネオハウスなど、利権が付いているのは当り前の話で、全面否定する当人としては罪の意識もない事柄なのかもしれない。ぜひ、改めなければならない、政治慣行、政治風土である。


 沖縄問題は日本国民全員の問題である。沖縄の米軍基地は、覇権主義をあらわにしている中国に対して、独力では対抗できないのが現実である日本の、不可欠な国防の基盤である。また日本だけでなく、東アジアから東南アジア、さらにインドやオーストラリアまでを含めた地域の安定にとって、重要な地勢上の要石でもある。
 平成3年にフィリピンが米軍基地供与を否決してアメリカ軍が撤退したとき、日本でも「平和の配当」などと評価したが、平成4年には中国公船が東シナ海に現れて航行中の船に訂正命令を出して臨検を行うようになった。平成5年にはフィリピンやバングラディシュの船を臨検略奪し、抵抗した船員を射殺し海に投げ込んでいる。実被害に遭った船舶数は、平成3年が11隻、4年が34隻、5年は2月までで20隻にのぼったが、ロシア船を銃撃したためロシア艦船が出動したところ、その後は全く出没しなくなった。
 中国は1992年に「領海法」を公布して、尖閣諸島・南沙諸島を中国領と宣言、東シナ海の海底油田の開発に着手している。また、中国共産党には、沖縄を領国とする国内法が現実に存在する。だから、尖閣付近で遊弋する中国船艦は、日本領海からの退去を求める日本の海上保安庁の巡視船に対して「ここは中国領海であり、正当な海上行動である」と答えている。近い将来に、日本の艦艇に対し、「中国領海からの退去」を求めてくることになるだろう。
 沖縄県内では反戦活動のほか、日本復帰20周年を祝う日章旗150本を掲げたところ1本残らず消えていたり、本島北端に建てられていた日本復帰闘争碑が破壊されたりする、実行動がすでに展開されている。中国製拳銃トカレフの密輸が激増し、県内暴力団の抗争激化に、沖縄県警は九州管区からの応援を得てこれを鎮圧している。
 このように、沖縄は目に見えない勢力が着実に力を伸ばし、状況を変化・混乱させようと工作している。スパイ防止法も、自衛隊の治安出動規定もない日本では、これらの活動はやりたい放題…。気がついたときには、住民の大半は外国人で、実権は取得され、異国の国旗が翻っているということになることだろう。フィリピンは米軍撤退後、中国に南沙諸島を奪われ、5年後の平成8年から再び米軍の駐留を懇請し、誘致運動を繰り広げている。


 「あとがき」で惠 隆之介は、アメリカの統治下で育った少年時代に「日本の勉強をしても無駄なんじゃないか…と思った」と書いている。
 そのとき彼の祖父は、「日本はいずれ国力を回復して、この沖縄住民を迎えに来てくれる。そのときのために、日本人としての矜持を一時も失うな。日本の国語を重点として勉強せよ」と話したという。
 


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