【125】 ゴルフのハンディキャップ            2014.02.01

 今日、ラウンドのついでにここ6ラウンドのスコアカードを提出してきた。6枚のカードのベストは85、ワーストは99で、平均スコアは90.4である。
 JGAはハンディキャップの変動相場制を推奨している。その時点の実力を相応に表すハンディを持つべきだというのだ。だから、「すべてのラウンドのスコアカードを提出しよう」と呼びかけている。
 僕も、その人の瞬間最大実力を表すハンディをいつまでも持ち続けるという、ハンディ固定制はおかしいと思ってきた。昔のシングルさんたちのなかには、そのハンディを大事にして、なかなか見直しを申請しようとしない人も多い。実力が名誉についていかない人は、他人から見ると見苦しい。『放っておいてくれ。俺はこれでいいんだ』というのもいいと思うが、実力よりも地位が重い、親の七光りで出世した二代目とか、地盤を継いだ政治家の跡取りのようなものだ。
 かく言う僕も、昔は5下(ごした)のシングルハンディキャッパーであったことは、このページの読者の皆さんには広くご承知いただいていることかと思うが、体を壊して73日間の入院以来、ボールの飛距離はがっくりと落ち、セカンドに距離を残すせいかパーオン率もまた低下の一方であった。
 どれほどの違いかというと、その頃のホームコースであったSカントリーの3番打ち上げの426ヤードでは、だいたいセカンドの残りが170ヤードで、4番アイアンで打っていた(クラチャン戦で対戦した川辺君は9番アイアンを握っていた(苦笑)。こりゃぁ勝てん…と思った)。今は、210ヤードほど残ってしまって、フェアウエイウッドを握らねばならない。50ヤードも落ちている。
 パーオン率も、昔のデータでは67%とプロ並みで、アイアンには自信があった。ラウンドデータはこまめにつけていて、ちなみに最盛期のラウンド平均スコアは80.1打。何かの弾みで一度90なんて叩いてしまうと平均は跳ね上がり、70なんてスコアは滅多に出ないのだから、後はこつこつと80を切るようにラウンドを積み重ねるしかない。
 ところが、先日のラウンドでパーオン率が0%。決して長くも難しくもないHゴルフコースのレギュラーから18ホールを回って、1ホールもパーオンしないのである。愕然とした。ダボもトリもあって、スコアは91。
 これは、今のハンディを返上するべきだと思ったのである。90台のスコアが続く現在、このまま「11」のハンディを持っていては、『Hゴルフコースのハンディは甘い』とクラブの名誉にもかかわる。僕たちも昔は、平気で90を叩く実力もないシングルを、『Aカントリーのシングルさんには負ける気はしないなぁ』と揶揄したりしたものである。
 
 6枚のカードを持っていくと、キャディマスター室では、まず「他のゴルフ場でラウンドしたカードは不要です」と言う。『おいおい、JGAでは「全てのラウンドのスコアを提出しよう」と勧めているのに…。それに、短い簡単なホームコースだけでしか通用しないハンディでいいのだろうか(Hゴルフコースが短い簡単なコースだというわけではない。ここで僕は90を叩いているのだから)』と思ったのだが、『この子はゴルフのことを知らないんだな』と思うことにして、Aコースのラウンドカードは持ち帰ってきた。
 また、「新定のハンディを出すのは簡単なのですが、ハンディを下げる(多くする)のは委員会や支配人の裁定をもらわないといけないので、ちょっと時間がかかります」とも言う。僕が、『ハンディを多くしてクラブコンペなどに優勝しよう』と目論んでいると思っているのだろうか。ハンディを下げることを阻む理由としてはそれしか考えられない。
 しかし、それはさもしい考え方だと言わねばならない。ゴルフのハンディキャップはローハンディであってこそ名誉である。ハイハンディに訂正しようというのは、低下してきた自分の実力を素直に認めてこその行動なのだ。特に僕は、再来年満70歳になったら中部グランドシニア選手権に出場しようと思っている。ローハンディを堅持することは悲願なのだ。
 それでも、今の実力どおりにハンディを査定してくれと申し出たのは、JGAの変動相場制が正しいと思うからであり、昔の名誉にしがみついているのは醜いと思うからであり、Hゴルフコースのハンディは甘いとホームコースが軽んじられることがないようにと思うからだ。
 
 昔のハンディを大切にしたいと思う人を否定しようとは思わない。そんな時代があったんだと周囲の人たちも見守っていることだろう。ただ、実力を正当に表す変動相場制のハンディがほしいと望むものに対しては、それを拒む理由はないということを理解してほしいと思うのである。
 先日、ゴルフダイジェストのスコア管理ののページに、「良いときのスコアだけを提出してハンディを取得して、それで楽しいですか」という一文があった。今の自分の実力を正しく表すハンディをもってこそ、ゴルフに正対できるのだろうと思う。



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