【28】 さすが リクルート       2013.03.25


 テレビCMにヨイトマケの丸山(美輪)明宏が出てきて、『大学受験は高すぎる。月額980円』と言っている。これを見て、たまげた!
 実は僕…章くんは15年ほど前から、「インターネット学習塾」なるものを企画してきた。インターネットで学習塾の授業を流し、それぞれの達成度をチェックするシステムをつくって、かつて章くんがやっていた教室を各家庭のパソコンの前に作り上げようと企画したのである。
 それを作ろうと思った動機のひとつは、当時すでに学習塾の費用は高くなりすぎていて、塾代が家計を圧迫している現実を見せつけられたからだ。章くん、学習塾をやっていたときから、「教育で金儲けしちゃイカン」と言ってきた。だから、受講料はできるだけ低く抑えてきたつもりである。鈴鹿英数が夏期講習5日間5万円なんていっている時代に、週に5日の授業を受ける中3のフルコースでも月額2万3千円であった。また、『夏期講習なんて短期間を缶詰にしたところで、学力が上がるわけがない、日ごろの学習習慣を作っていくことが大事…』と言い続けて、補習授業でも特別授業料を徴収するようなことは一切しなかった。
 そもそも学習塾を始めた動機が、友人の学校の教師たちがやっている教育現場を見て、競争原理にもさらされない彼らの実践に歯がゆいものを感じていたからだ。「君たちのは教育じゃない、黒板の前で決まったマニュアルの通りを喋っているだけだ」と厳しく指弾し、『教育はもっと全人格的なもので、生徒の人間性に働きかけないのは教育じゃない』とも言ってきた。だから、章くんの学習塾ではキャンプや野外実習(遠足というべきか)などを積極的に行ない、子どもたちと触れ合う時間を大切にしてきた。4月に入講してきた子どもたちは、5月の遠足や夏のキャンプを境に大きく変わっていったものである。
 章くんが企画した「インターネット学習塾」は、運営費として月額1000円ポッキリ! だから、いろんな学習塾が「e−ネット塾」とか「インターネット塾」とかを宣伝し始めても、全く平気であった。拝金主義者の彼らには、1000円ポッキリの値段設定は出来ないことが解っていたからである。学習塾を営んでいる者が安すぎる価格をつけたら、本業の学習塾が成立しなくなってしまう。しかし、リクルートは学習塾やゼミ業者とは違うから、異なる視点で980円という値段をつけることが出来たのだ。
 でも、いくら安いといっても、面白くなくては子どもたちは続かない。パソコンや機材を使った教育教材はたくさん発売されているが、いずれも教材を売るのが目的で、売ってしまえばそのあとは子どもにまかせっきりなのだから、只でさえ面白くない勉強を子どもが自分でやるわけがない。
 子どもたちには、学問することの目的意識を持たせ、常に新しいことを知る勉強とは面白いものだという実感を味合わせながら、ともに笑い、ともに努力しつつ指導しなければならない。だから、指導者の人格が大切なのであって、だらしのない教師が担任した子どもはだらしなくなるし、本をよく読む教師に指導を受ければ本好きになると言われるゆえんだ。
 「インターネット学習塾」の成否はそこにあると、章くんは思っている。リクルートの行う「大学受験」の講座ならば、目的意識をある程度しっかりと持った学生が集まるのだろうけれど、章くんの目指す「インターネット学習塾」は小中学生が相手なのだから、『何のために勉強するのか』から始めなくてはならない。その点、章くんは学習塾時代の実績があり、それに裏づけされた自信がある。
 もうひとつ、章くんは子どもたちに、「人生で大切なもの」を教えていきたいと思っている。今の日本では語られることの少ない、「友達を裏切るな」「親を大事にする」「卑怯な振る舞いをするな」「家や郷土や国を守る」ということを語り継いでいこうと思う。いつか、その子どもたちが自分の目で日本や世界の現実を見つめ、自分の考えで倫理や歴史を判断することができるように…。


 その「インターネット学習塾」が、15年もの長きにわたって現実のものにならなかったのはなぜか? システム組織図も行程表も書き上げ、インターネットに流すプリントも作り上げて、あとはシステムが出来上がれば、ビデオで授業風景を撮って完成というところまで来ているのだが、ここでもう10何年も足踏みしている。
 ソフトを作ることのできるものが、この近隣に居ないのだ。泉ソフト、中山コンピュータ、アプリケーション・システムなどへ、企画を説明し、作り上げてほしいシステムについて打ち合わせを繰り返し、仕事にかかってくれるところまでは何度も行ったのだが、いざ取り掛かると作り上げることが出来ない。章くんにしてみればそれほど難しいシステムだとも思えないのだが、みんな手こずる。
 そんなことで、あと一歩…?、二・三歩…で、子どもたちと日本の明日を開く「インターネット学習塾」が実現するのだが、もう少し粘り強く取り組んでいかなくてはならないようである。


 それにしても、さすがはリクルート! 企画といい、システムといい、価格といい、章くんの「インターネット学習塾」の大学受験版だ。 発想にも実務にも優れた、優秀な人材が揃っているんだなぁ。


追記 2013.05.01

 ヨイトマケ丸山(美輪)明宏をテレビCMで見かけてから1ヶ月…、このところトンと見かけない。リクルート製「980円の学習塾」はポシャッてしまったのだろうか?
 さすがリクルート…ともてはやした僕の絶賛を、どうしてくれるんだ。 

 と、思って調べてみたら、「すでに10000人のライバルが…」とあった。さすがリクルート、着々と進行中だ!


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