【教育7】 
文明が発達すると、人間は堕落するのだろうか  (2001.08.18)


 親が自分の子どもを虐待して、死に至らしめる。近頃、この手のニュースが新聞やテレビで伝えられることが多い。母性・父性の喪失であるが、社会が人を守り育てることについて、人としての尊厳さを失っている。

ヒトにおいて、母性・父性は備わった本能ではないらしい。それは時代の価値観によって影響され移ろっていくもので、遺伝子に組み込まれた天与のものでなく、学び重ねていくものであった。

 貧しい時代には、がんばって生きていかねばならない…、嫌なことにも耐えて努力しなくてはならない…、そんな親や社会の人々の姿を見ながら子ども達が育つ。しかし今は、お金と文明の力で、人類が経験したこともないほどの唯物的機械的な愛の形へと、知らず知らずのうちに親の愛情は変貌を遂げている。

「経済が発達すると人間は壊れる。親は便利な子育てを望み、赤ちゃんのころは、つけておけばおとなしいという理由でテレビをつけっ放しにし、少し大きくなればテレビゲームをさせる。その中で子どもは、『殺せ、殺したら万歳』といった価値観を身につける」(久徳重盛著『母原病』…子離れの出来ない母親の心の病気や執着が多くの子どもの病気の原因であるとする)という。ものが豊かになると、人間は堕落する。

だとすれば、それに対する策をヒトは持たねばならない。それが教育であり、行政であり、なによりも人としての尊厳であろう。


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