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『「三重県教育研究会」の結成を』についての まとめ


●【19】以降は 2003.9.6から9.27まで、「三重県e-デモ会議室」へ提案・論議した、「三重県教育研究会 結成を」についての全発言を、発言順にまとめたものです。
  −三重県eデモ会議室への提言  http://www.e-demo.pref.mie.jp/    


@(2002.9.8)提言 「三重県教育研究会」の結成を    (飯田 章の提言) 


 「三重の国づくり宣言」では、教育の充実を大きな課題に据えています。その三重県にあって、現在、小中学校の教師の全県単位の研究組織が存在しないことを、皆さんはご存知でしょうか。勿論、愛知・岐阜・大阪・京都・滋賀・奈良などの近隣諸県をはじめとして、ほとんどの都道府県は研究組織を持っていて、さまざまな教育課題に対し県単位の取り組みがなされています。
 かつては三重県にも、「三重県教育研究会」なる組織があって各教科の部会を持ち、県下の全ての小中学校の教師は、それぞれが専攻する教科の部会に所属して研修を行っていました。今から15年ほど前、三重県教職員組合の突然の反対にあって、「三重県教育研究会」は解散してしまい、以後、結成されることはないままに今日に至っています。したがって、例えば新人教師は教科研修や指導力の習得にも、研修体制を整えたこれらの研究組織がないのです。
 各市町村単位には、「津市国語研究会」「四日市市算数サークル」などといった研究組織がありますが、市町村という母体が小さいため会員数は少なく、ひっきょうテーマが狭くてレベルが低いことが残念です。
 教育界は、今、新指導要領の実施に伴い指導時間数と教科内容が大幅に削減されて、子ども達の学力低下が懸念されていますが、同時に教育の根幹をなす問題として、教師の指導力の低下が心配されています。三重県は教育研究組織を整備し、教師の研修を助ける体制を確立して、教育のレベルアップを図らねばなりません。
 研究体制の充実によって、愛知県犬山市などですでにその取り組みが始まっているように、学習事項を整理して独自の教育プログラムを組み上げ、教育立県「三重」を掲げて、学力低下必至の現状に敢然と立ち向かう姿勢を期待したいものです。



A(9/9)「三重県教育研究会」の結成を  (エディターの石川さんの発言) 


エディターの石川です。

飯田  章 さんは言いました。
 >
 > かつては三重県にも、「三重県教育研究会」なる組織があって各教科の部会を持ち、県下の全ての小中学校の教師は、それぞれが専攻する教科の部会に所属して研修を行っていました。今から15年ほど前、三重県教職員組合の突然の反対にあって、「三重県教育研究会」は解散してしまい、以後、結成されることはないままに今日に至っています。

ひとつ質問をさせて下さい。教職員組合の反対の理由は何だったのですか。そして現在でも組合のスタンスは変わっていないのでしょうか。飯田さん、あるいはどなたかこの辺の事情を知っている方、説明していただけませんか。お願いします。



B(9/10)「三重県教育研究会」の結成を       (飯田 章の発言) 


 ご返信をいただきありがとうございました。ご質問の件につきましてお答えいたします。

 教職員組合の反対の理由は、当時の「三重県教育研究会」が県教委からの研修助成金を得ていたことを問題にして、官製団体であると槍玉に挙げたのです。
 助成金の県予算額は研究会全体で100万円ほどで、これを各教科の部会に会員数に応じて分配したわけでから、国語部会・算数部会…などひとつの部会で4〜6万円ほどでした。各部会とも1回の会議を開けば消え去ってしまうぐらいの金額です。
 当時、各部会の運営費用は、所属する部会員が出し合う会費を基本として、部会が研究成果を発表する出版物の売上金とか、研修会を公開して参加する人たちから徴収する参加費などの自主的な財源が主なものでした。例えば昭和60年当時の理科部会の年間収入は、会費が約20万円、事業収益金約140万円の合計160万円ほどで運営されていて、反対理由に挙げた県教委からの助成金は微々たる割合しか占めていません。
 このことが反対理由とされたのは、そういう時代であったのでしょう。「官製団体だから解散せよ」という教職員組合の反対理由は、激しかった当時の組合運動の中で設定されたものであったと思います。この反対理由の評価は、イデオロギーや立場によってさまざまに分かれると思いますので、これにとどめますが、現在も三重県教職員組合は教組主導の研究組織「三重県科学教育協議会(科教協)」を持っていますから、「三重県教育研究会」を結成しようとすれば、教職員組合との調整は必要となるでしょう。
 しかし、県単位の教育研究組織が整備されていないのは、近隣を見ても三重県だけです。ゆとりの学習・総合的学習という掛け声や理念だけで、何をどのように行っていくのかという実践への体制を保障しないのでは、現場は悲鳴をあげるばかりです。三重県は、教師が研究研修を行って新人達がその中で指導を受け、学校の授業を高める授業研究や児童の自主学習を進る学習資料の開発を行っていく研究体制を、整備する必要があると思います。



C(9/11)「三重県教育研究会」の結成を  (エディターの石川さんの発言) 


飯田さん、有難うございます。当時の事情が浮き彫りになってきました。

飯田  章 さんは言いました。
 >三重県は、教師が研究研修を行って新人達がその中で指導を受け、学校の授業を高め
 >る授業研究や児童の自主学習を進る学習資料の開発を行っていく研究体制を、整備す
 >る必要があると思います。
 >
 この問いかけへの答えが教育研究会であるかどうか検証する必要があります。でも、その前に一歩さがり、「教師育成」というようなテーマでこの議論を仕切りなおすのはどうでしょうか。その一手段として教育研究会のようなものが位置付けできると思います。現在、三重県下の学校で教鞭を取っていられる先生方はスキルアップのために何をしているのでしょうか。先生方をはじめとして皆さんの発言をお待ちしています。




 
D(9/12)「三重県教育研究会」の結成を     (香林塾の先生の発言) 


石川幸憲 さんはおっしゃいました。
 >
 >この問いかけへの答えが教育研究会であるかどうか検証する必要があります。
 >でも、その前に一歩さがり、「教師育成」というようなテーマでこの議論を仕切りなおすのはどうでしょうか。
 >その一手段として教育研究会のようなものが位置付けできると思います。
 >現在、三重県下の学校で教鞭を取っていられる先生方はスキルアップのために何をしているのでしょうか。
 >先生方をはじめとして皆さんの発言をお待ちしています。
 >
 教育に関する「会議室」の開設を希望している、香林塾の先生です。
先生方の「質」?向上は、必要なことと感じています。
しかし、研修や研究会が、生徒たちの授業の時間をさいて、行われるのは疑問を感じます。
ただでさえ、お忙しい先生が、出張され、臨時の先生や教頭先生が授業を代行されるときがあります。
これは生徒たちにとって、あまり好ましいものではないと感じます。



E(9/14)「三重県教育研究会」の結成を       (飯田 章の発言)


 ご返信をいただきありがとうございました。ご指摘の通り、教師の研修を推進することの答えが「三重県教育研究会」であるのかどうかについては、検証の必要があります。「三重県教育研究会」はその方法の一部であって、答えの全てではないことも事実だと思います。
 ただ、「三重県教育研究会」の結成は、教師育成に限らず、県全体の研究体制を整備するために必要であると思います。
 その理由は、@研究交流を全県的に行うことができるので、全体レべルの向上が図れます。かつて「三重県教育研究会」の活動が盛んであったころは、各教科の研究会が年間何回か開催され、全県の学校の先生達が一堂に会して学習する機会が何回も持たれていました。
 例えば、理科のシダ類については熊野の浜地先生の研究発表会を聴講したり、社会の地域学習には伊勢の橋本先生の学習グループに参加したりして、勉強していました。教師は、全県的なネットワークを持っていて、山間部の学校が臨海実習をしたいと思えば、鳥羽・志摩地区の知り合いの教師に電話して、詳しい資料を入手してもらったり、手配を頼んだりしていました。現在、一般の教師が違う地域の教師と交流したり意見の交換をしたりする研究組織はありません。
 また、三重県では以前のように全県的に名前の知られた先生が出ていません。研究体制が、全県的な広がりを持っていないからです。
 A教師の研究を保障し評価するためにも、「三重県教育研究会」は必要です。現在、一部の教師たちは、かつての、「三重県教育研究会」のころの研究と組織を維持して、自主的な研究組織としての「三重県小学校理科教育振興会(小理振)」とか「三重県社会科教育研究会(三社研)」とかの研究会を作っり、教科の研究を進めています。しかし、これらの教師の取り組みに対して、三重県からはなんらの支援も評価もされていません。毎年研修テーマを決めて各自の研究を持ち寄り、公開研究会を開催して一般教師の参加を呼びかけ、教科の研修を進めようとするこの取り組みは、
公的な支援体制のない現在、参加する教師は休日をそれに充て、研究の費用や交通費も自費で取り組んでいます。
 自主的な研究会だからそれで当然で、いやならやめればいい…と言われるかもしれませんが、事実、各研究会では会員は激減していますし、会員の手弁当での参加も限界があって、昨今では自分達の研究を発表する公開研究会も開けないところも多数出ています。一般企業で新しい技術の研究や商品の開発には、研究費を出し支援の体制が組まれるのが当然でしょう。好きでやっていることだからとか、いやならやめて…と言っていたら、その企業の将来はなく、倒産に至るかもしれません。三重県は、これらの教師の研修を保障し、その研究を評価する体制を作るべきではありませんか。



F(9/19)「三重県教育研究会」の結成を     (香林塾の先生の発言)


つらつら、考えまするに、
教育を実践する先生と教育をどうするかを考える先生が、同一人物であるところに無理があるように感じます。
担任を持っていらっしゃらない先生がおいでのように見受けます。
講習会や研究会をして、方策をお考えいただく先生は、担任を持っていらっしゃらない先生ではどうでしょう。
担任を持ち、生徒を指導しなければならない先生が、講習や研究会で、パワーの補強をしなければならないのは、保護者から見て、不安なことに写りかねません。
先生が一堂に会して、教育を論ずるのは、生徒の授業のないときにするのはいかがでしょう。
教育に関する「会議室」が、できた暁には、そこで論じたい項目だと感じています。





G(9/20)「三重県教育研究会」の結成を        (飯田 章の発言)
 

 教師の出張によって、授業に他の教師や管理職が回ったりする状態を、香林塾の先生は生徒に悪影響を及ぼすのではないかと危惧されています。確かに教組の執行委員などを務める教師は、午後は一週間に2〜3日ほど学校を留守にしたりする勤務体制が組まれたりしているところもあるようです。
 しかし、授業は専科の担当や時間調整の空き時間をもつ教師が補完して、きちんとした形の学習が行われています。父兄の方々も、学級担任が授業を抜けることを心配されているのでしょうが、専門的な技能を求められる音楽とか図工・家庭科などはむしろ専科の教師が担当したほうが効果のあがる場合が多いことも事実です。私見ですが、小学校も中高学年では、理科の授業で一度も理科室を使ったことがないとか、社会の見学学習に生徒を連れて行かない教師が増えている状況を聞くにつれ、理科・社会科なども実験知識が豊かで指導に習熟した教師が、教科担当として当たったほうが良いのではないかと思います。また、児童も中高学年になれば、多くの教師の人格に触れさせることも必要ではないでしょうか。
 「三重県教育研究会」の結成によって研修体制が整えられれば、負担が増えるのはむしろ勉強しなければならない教師です。このあたりに、教師自身から、結成への呼びかけが出ない理由があるのですが、しかし、自身の学力を高め、授業技術を磨き、信頼と敬愛を得られる教師になるためには、必要な努力ではないかと思います。 研究研修のための「三重県教育研究会」であることと同時に、そこには、教育の諸問題をともに考え解決していく場であること、教師の連帯を高めプロとしての意識の向上を育むこと、聖職者としての自覚を促し誇りを保持することなど、さまざまな目的があります。
 この会議室にも、「教育」が独立したテーマとして設けられるようです。改めてそちらで提案させていただき、みなさんの議論をいただきたいと思います。




H(9/21)「三重県教育研究会」の結成を     (香林塾の先生の発言)


教育に関する「会議室」の開設を言い出したものとして、
飯田 さんが、ご興味を示していただいたことに、感謝します。
素朴な疑問、素人っぽい質問を、おくめんもなく、投げかけていこうと思っています。
その疑問に、真摯にお考えいただき、ここ「三重県民e-デモクラシー」の行く道を見たような気がします。
落ち着いた雰囲気で、地に足が着いた議論をしたいと思っています。
「三重県教育研究会」のような、仕組みも必要かと思います。
その反面、先生方が、日頃、校内で、切磋琢磨される仕組みも必要かと感じています。
隣のクラスの先生と、ご相談されるとか、互いに協力されるとか、こんなことが少ないのが、今の学校のように感じます。
目立たず、何事もないように、過ごすのが、最高とお考えの先生もみえるようです。
「三重県教育研究会」のような、仕組みが、一律に改革方法を打ち出さなければ、改革できないのも、どこか変かなあと感じています。



I(9.27)「三重県教育研究会」の結成を 


  
教職員の自主的な研究や研修に対する支援について(県教委 落合英次氏)

三重県教育委員会事務局 研修分野 研修企画調整チームの落合英次です。
「三重県教育研究会」の結成や「教員育成」のテーマで議論が行われていますが、現在、県教育委員会が実施している教職員の自主的な研究や研修に対する支援事業についての概要を説明します。
 現在、三重県教育委員会事務局研修分野(三重県総合教育センター)において、県内の小中学校および県立学校の教職員のグループによる自主的・主体的な教育研究活動に対して、所要経費の一部を補助する事業を実施しています。具体的には、3人以上の教職員のグループが勤務時間外において、「教育課程の編成および実践に関する」または「教科又は領域(総合的な学習の時間を含む)の内容及び指導方法等に関する」研究調査、研究協議に基づく実践的活動に対して、その活動に要した経費の半額(5万円を上限)を補助するものです。
  また、個人やグループを問わず、教職員が自主的に取り組んでいる様々な授業実践や研究成果等の共有化を図るために、それらの教育研究活動をインターネット上に登録する「みえまなびネット」(http://manabi.mpec.jp)を開設しています。これはいわば教育実践のための「ネットワーク図書館」であり、教職員が授業実践に関わるヒントやノウハウをいつでも登録し、また、いつでも閲覧できるようになっています。さらに、「みえまなびネット」教育実践共有化プロジェクト発表会を年に1回開催し、教育研究活動に関わる実践事例や研究成果を発表することにより、「みえまなびネット」への登録を促進させるとともに、研究協議をとおして成果等の共有化を図っています。
 三重県教育委員会においてはこれらの事業をとおして、教職員の自主的・主体的な教育実践や研究活動を支援しています。



J(9.27)「三重県教育研究会」の結成を 


「検証 三重の国づくり」のまとめ(関連分)
(エディター石川幸憲氏 抜粋)


◆ 最後に、教師の育成を問う声があがった。全県的な教師の研究組織をつくることで、教師の質の向上を目指すべきではないか、との問題提起が投稿者からあった。だが、教育委員会をはじめとして県サイドからの発言は皆無であった。
 
 このように振り返ってみると、県職員の積極的な参加が刺激的でかつ有意義な話し合いの必要条件であることが明白になった。この2ヶ月間に投稿された様々な意見は、来年度の施策や事業見直し作業のなかで活用されてゆくという前提でこの会議室がオープンされたわけだから、今後の県サイドの取り組みに注目してみたい。
ふるさと三重県
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