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蕎麦どころ「空木(うつぎ)」 −伊賀市諸木−  2011.07.02


 ゴルフのあと、青山リゾートを越えて、伊賀市諸木の蕎麦どころ「空木」まで走って行った。
 ゴルフは午後のスループレーだから、お風呂に入って上がってきたのが午後6時過ぎ。店は7時までだったとか聞いていたので電話を入れると、「到着まで、開けて待っています」と嬉しいお言葉。6時50分ごろに到着した。
 このお店はもともと白山町の大三駅近くにあったのだが、冷涼な気候、清冽な水など、蕎麦作りにより適した環境を求めて、伊賀市の山の中へ古民家を見つけて引っ越したという本格派である。もとあった店からは25Km、津市内からだと45Kmの山中へ行ってしまったのだ。津からだと1時間はかかる。それでも「そば」というと、「空木」と言ってしまう。
 

 県道670号沿いにあるこの店、道の横を流れる小川を渡って入るのだが、その橋にかかっている「空木」と書いた手書きの看板を見過ごしてしまいそうになる。
 「おっと危ない」と見つけて橋を渡ると、右手の民家が目指す蕎麦屋である。軒に「そば」と染め抜いた暖簾がかかっている。
 「遅くなりました」と玄関を入っていくと、店には3名1組の先客がいた。ご主人、「予想外に早かったですね」と褒めてくれた。


 ここへ来たら、まず「そばがき」を頼まなくてはならない。引き立ての蕎麦粉に熱湯を加えるか、水を加えて加熱し、すぐにかき混ぜることで粘りを出して塊状としたもので、
子どもでも簡単に作れるので、蕎麦の産地では昔からおやつとして定番だったとか。餅のようなもちもち感とそばの風味があり、箸で少しずつちぎりながら、そばつゆ、わさび醤油で食べる。
 水を加えて加熱することで、蕎麦粉のでんぷんを糊化(アルファ化)させることにより、消化吸収がよく蕎麦の栄養を効率よくとることができるため、健康食としても見直されているとか


 次なるお勧めの逸品は「十割そば」(じゅうわりそば・じゅわりそば、生粉打ち蕎麦)。十割そばは、肥料・農薬・食品添加物・着色料・保存料などを一切使わず、そば粉100%で作られた「そば」のことをいう。
 一般に売られている蕎麦は、そば粉が30%入っていれば「蕎麦」と認められる。ふつう、蕎麦屋で出される蕎麦は「ニ八そば」と呼ばれ、小麦粉が2割、そば粉が8割で作られている。
 キンジロウくんと2人で、「そばがき」2つ、「十割そば」1枚、「二八のざるそば」1枚を頼み、腹いっぱいになった。
 そのほかにお勧めは「田舎蕎麦(いなかそば)」。蕎麦殻を挽き込んだ、黒っぽい蕎麦粉により製造されたもの。蕎麦の香りが強く、あまりつゆをつけずに食べる。長野県・愛知県・近畿などの山村でよく食べられる。つなぎに山芋などを使う。
 いつの間にか、窓の外は夜の闇に包まれていた。もう、客は章くんたちだけである。ご主人、横に座って話し込む。「ここはきれいな水がふんだんに使えるのが有り難いです。都会の蕎麦屋は良い水を買っていますが、茹で上げるときの水までは買ったものを使ってはいません。その点、ここでは良い水を使い放題です」。「ふもとよりも5〜6℃、気温は低いですね。日が陰るのも早いですし、冬は野菜が凍って傷みます」。「蕎麦を作るには、もってこいの環境ですよ」と話は尽きない。
 暗くなると、途中の道は漆黒の闇の中である。帰りは、青山工業団地へ出て、国道165号を青山峠越えで帰ってきた。

                  
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