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【162】 NHK とことん話そう税金のこと()  アンケートとそ回答全文



 下記が、NHKディレクターA氏から届いたアンケートと、それに対し私が記して8月23日に返信した、回答の全文である。
 税金の徴収と支出について、福祉国家の建設は近代国家の責務であること、経済成長を図っての増税収を達成すること、また過去には税金の徴収と支出に必ず不祥事が付いて回っているが、公正でなければ国民の納税意識を損ない、国家に対する信頼や誇りをも喪失すること、などを軸として回答している。お目通しいただいて、日本の税のあり方をもう一度考えるよすがとしていただければ幸いである。





【アンケート本文】

あなたのお考えに近い選択肢に○をつけ、
ご意見を自由にお書きください。Q1~Q9まで、合計7ページです。


Q1 国のサイフは500兆円にのぼる大赤字。一方、膨らむ医療費や年金の財源。
 あなたは日本の将来を考えた場合、増税についてどう考えますか?


① 増税する必要はない  ② 増税はやむを得ない


(なぜそう思うのか、ご意見やお考えなどを自由にお書き下さい)


② 増税はやむを得ないを選択しましたが、もちろん条件をつけた上での選択です。


 人間が築き上げる共同体は、相互扶助的な福祉社会を そのひとつの目標とするべきだと思います。現在の日本の福祉体制はまだ十分とはいえず、より手厚く充実した、いわゆる『揺り篭から墓場まで』の体制を完成するのが、近代国家としての責務です。そのためには、現在の財政規模では不足しますから、増税はやむをえません。


 人には、その人の責任ではない厄災が往々にして降りかかり、人生を不幸に陥れたりします。よしんば、その不幸がその人の責任によって生じたものであったとしても、不幸にあえぐ人を見捨てたり見殺しにすることは、近代国家が成立している以上、容認されることではないと思うのです。
 現在日本を覆う閉塞感や将来の見通しの暗さは、セーフティネットを構築しないままに新資本主義を推進し市場原理に任せたがために、勤労者人口の3分の1が非正規雇用労働者として、働いても賃金の満額が手にできず、貧困から抜け出せないワーキングプァといわれる集団を生み出したことに、一因があります。本来は手厚く施されるべき生活保護などの援助も、役所の窓口で、受付は申請の45%に留めよといった規制がかけられているという状況だと聞きます。
 国家がその務めを果たし、信頼される国家になるには、国民を守るための機能を保持・整備し運用しなくてはなりません。そのために使われる税金であると目的を定めて、国民の負担を相応のものにすることは、理解できることであろうと思います。


 もちろん、税金を使うには、使用計画の立案段階から立案者・使用者・管理監督者の責任が明らかになっていなくてはなりません。俗にお役所仕事といわれるものには、担当するものの責任があいまいであるものがほとんどです。失敗すれば、そのチームやセクション、担当者の責任が厳しく問われるのは当然でしょう。税金投入に際しても、そうした責任体制を整えて実施することが何よりも大切だと考えます。
 目的、使途、結果の検証と報告を明確にした、増税でなくてはなりません。そうすれば、国民の納得と協力が得られ、政策の実現も国民が支持する国家の建設も大きく推進すると思います。






国の借金と税収についてお聞きします             


Q2  私たちが負担している税金は、社会保障や教育、公共工事など公共サービスのために徴収されています。しかし税収だけでは国の歳出を賄えないため国債を発行し借金をすることで不足分を補っています。 その結果として国債の発行残高は540兆円、年間の税収の10倍近い借金があります。
 あなたは、国債を発行することで税収の不足を補うという財政運営について、どう考えますか?


     やむを得ない  ② やめるべき


(なぜそう思うのか、ご意見やお考えなどを自由にお書き下さい)


② やめるべき です。


 今、即座にやめてしまっては 財政が立ち行かないというのがやめられない理由でしょうが、現行のような総花的な税金投入はやめねばなりません。順次、項目ごとの削減を行いながら、10年後には赤字国債の発行を0にするという方向性を明示することが必要です。


 いずれ、景気がよくなって税収が増えれば赤字国債は解消するなどといった論議は、今の現実に責任を持たねばならない政治が口にする言葉ではありません。残念ながら、日本経済が劇的な復活を遂げる材料は、きわめて少ないのが現実です。景気回復への具体的な方策を責任を持って語れるのならばまだしも、いずれ良くなるであろうといった期待感だけで膨大な赤字国債を発行し続けて、借金を次の世代に負わせるなど、国の活力をそぎ、若者の意欲を減退させ、財政的にも国を破綻させることにつながりかねません。




Q3 財政の健全化を進めるために歳出削減が続けられてきました。公共事業費を3%削減したり、社会保障費の伸びを毎年2200億円抑制するなど削減の努力が行われてきた反面、地方で中小企業の倒産が相次いだり、後期高齢者医療制度の問題などが表面化しています。歳出削減についてどう考えていますか?


① 今後も続けるべき  ② やめるべき


(なぜそう思うのか、ご意見やお考えなどを自由にお書き下さい)


① 今後も続けるべき です。



 冗費は削減しなければなりません。歳入が不足している以上、歳費はその枠内に近づけるように、極力努力するべきです。政府は2011年度にプライマリーバランスの黒字化実現を目指しています。その数字・方法・時期についてはいろいろと疑問もありますが、大枠では是非とも実現していかなくてはならない目標だと想います。
しかし、一省庁の冗費削減が困難なため、全体の歳出削減を行うなどということは、設問の指摘にもあるように、地方で中小企業の倒産が相次いだり、後期高齢者医療制度の問題などが表面化して、社会的な歪みを生みます。
 全体的な歳費の節減は行っていかねばなりませんが、項目ごとに丁寧に厳しく見直していくべきであり、近代国家が目指すべき福祉の充実や、国の根幹である産業の育成などには、重点的に予算を割り当て、十分な効果を挙げていくことが必要です。






“増税”に関する議論についてお聞きします          



Q4- 増税論議のなかで、安定的な財源のひとつとして有力視されているのが消費税です。


 あなたは、消費税率の引き上げについてどう考えますか?


 ① 賛 成  ② 反 対


(なぜそう思うのか、ご意見やお考えなどを自由にお書き下さい)


 ① 賛 成 です。


 但し、年金特定財源として限定的な目的税に充てるのであって、歳入不足を補うとか、財政の健全化といった、不特定な目的ため消費税導入は認められません。
 今や年金問題は解決の目途が立たない問題です。厚労省や市町村などの年金の管理運用に責任を持たなければならないもが年金記録を紛失している以上、年金問題の解明は物理的技術的に不可能です。
 ならば、全額税方式にして、未加入者(払い込みしていない人)も含めて最低月額6万5千円程度を保障し、以下、納付期間に応じて支払いするという方式を採るしかありません。必要金額は30兆円、消費税12%ほどでしょう。富裕層は、過去にたくさんの掛け金を払ってきたというのは事実でしょうが、相互扶助としての年金制度の意味からも、年金支払いはなしとしてもよいと思います。


 財政再建のための増税などありえません。危機的状況にある財政を健全化するためといった議論は、国民を欺くためのものです。
世界中のどこを探しても、今の日本が経済危機を迎えているという議論は全くなく、日本の大借金=経済危機…は、増税のための日本政府のデマであり、国民を欺くものです。
 かつて、「国会解散と公定歩合の変更は嘘をついてもよいなどと嘯いた総理大臣も居ましたし、昨今は、環境問題のように、政府もマスコミも一緒になって国民を騙そうとしますので、経済数値も注意してみなければなりませんが、2005年6月末(ちょっと古い数値ですみません)で日本には795兆円の債務(租負債と呼ぶ)がありました。国民負担率といわれる、債務を名目GDPで割った数字は、この租債務795兆円を分子にして計算すると150%を越えていて、これだけを見ると先進主要国の中では突出して高く、財政は危機的な状況だと言わざるを得ませんでした。政府が財政危機を煽るために使い、アルゼンチンよりも危ないとマスコミが取り上げた数字はこれです。


 しかし、同じく2005年6月末、わが国は推計480兆円の金融資産を保有していました。以前、世界の格付け会社が日本国債を一斉に格下げしたとき、いみじくも財務省が反論したように、「日本は世界最大の貯蓄超過国であり、国債はほとんど国内で、極めて低い金利で安定的に消化されている。また、世界最大の経常収支黒字国であり、世界最大の外貨準備国」だったのです。(現在は、経常収支黒字も外貨準備国も第1位を中国に譲っていますが…。)
 つまり、795兆円―480兆円=315兆円が、日本の負債(租負債に対して、純負債と呼ぶ)であり、財務省の反論のように、世界の財政状況を見るには、この純負債を使うのが常識です。純負債で国民負担率をみてみると65~75%程度と、他の先進主要国並みで問題はありません。ただ、1995年当時の負担率が、16.9%と超優良国であったことを思うと、政治・財政のあり方を厳しく問い直す必要があると思われます。
 今、財政危機をいたずらに叫び、増税を実施しなければならない状況は全くないというべきです。財政危機=増税(=消費税10%)は、財政当局の陰謀でしかない。増税しなくても、正当な政策を実施していけば、財政の健全化は十分に可能だからです。






Q4- 増税をせずに財政を立て直す方法として経済成長を重視する考え方が浮上しています。経済成長を進めていけば個人や企業の所得と共に税収も増え、増税をしなくても財政を再建することができるというものです。あなたは財政を立て直すための方法として、どれが最も効果的だと思いますか?


 ①増税による財政再建  ②経済成長による財政再建  ③その他


(なぜそう思うのか、ご意見やお考えなどを自由にお書き下さい)


② 経済成長による財政再建


 消費税のアップなど、増税による財政健全化策は、江戸時代に享保の改革において徳川吉宗が行なった、四公六民から五公五民へ…検見法から定免法へ…など、増税策の結果に見られるように、基本的に市場の活性を促すものでなく、社会の発展に適応した方策であるとは言い難いと思います。この時期、日本の人口増加は停滞し、一揆の発生件数は増加しています。
 ただ、純負債ではないとはいうものの、租負債795兆円は、わが国にのしかかる重い足かせであることは事実です。諸政策を成功させて日本経済に活力をもたらし、景気の上昇によって税収の増加を図っていくことこそ、日本の明日に課せられた大きな課題です。現政権も、野党各党も、マスコミも、経済学者も…、増税などといった安易な詐術を掲げるのでなく、日本再生によって歳入を増やす、足腰の強い日本経済を確立する方向で、方策を掲げていくべきだと思います。


 2011年に達成を目指すプライマリーバランスの黒字化は、年間3%の経済成長を前提としていますが、2007年度の成長率は1.6%でした。
 「いざなぎ越え」と政府が胸を張った長期好景気も、輸出関連と企業のリストラ効果がもたらしたものであって、庶民には逆の実感しかないものでした。北京オリンピック後の中国経済の陰りや、サブプライムローン問題が尾を引くアメリカ発の世界的不況、そして人口減少社会を迎えるわが国にとって、経済成長を前提として国家財政を再建・経営していこうとすることは、たいへん厳しい局面であるといわねばなりません。
 (プライマリーバランスの黒字化についてはさまざまな側面がありますが、その点はまた  別の機会に…
 しかし、増税による財政安定策は、社会に活力を持たせ、発展させるための起爆剤にはなりません(財政破綻の防止にはつながりますが、Q4-1で述べたように、日本はそこまで行ってはいません)。
 明確な見通しと立案・施行・結果に対する責任を示して、今、財政出動をかけることが必要でしょう。全てを引き受ける覚悟のリーダーが有能で意欲を持ったスタッフを集めてプロジェクトチームを組み、大企業の国際競争力の強化、中小企業の再生、
ベンチャービジネスの支援、そし農林水産業の振興などに、大きく踏み出すべきです。




税金の負担についてお聞きします             


Q5 近年、日本の税制は所得税の最高税率や法人税が引き下げられ高所得者や大企業の税負担が減る一方で、定率減税が廃止されたことなどによって家計の税負担は増えています。
 あなたは、税の負担のあり方についてどう思いますか?


とても不公平だと思う   不公平だがやむを得ない  ③ おおむね公平だと思う


(なぜそう思うのか、ご意見やお考えなどを自由にお書き下さい)


  とても不公平だと思う


 税金は、この国に住み、国家から保護を受けているものが、個人であっても法人であっても、等しく公平に負担し、分配されることが必要です。公平感がなくては、国民の税負担に対する義務感は減退し、納税意欲は喪失します。


 今、大企業優遇の税制の実情を、その一例として「
輸出戻し税」を取り上げて検証してみましょう。(資料は全国商工新聞より)
 日本の消費税やヨーロッパの付加価値税は、売上にただ5%を掛けるという税金ではなく、そこから仕入などに入っている消費税5%分を引き、納める税金を計算する方式(仕入税額控除方式)です。
 しかし、国内で売った場合には5%転嫁できますが、海外に売った場合には、買い手からは取れないということで、(海外売上高)×(ゼロ税率)=ゼロとなってしまうのです。結局、輸出販売に対する仕入に入っていた税金というのはすべて戻ってくる仕組みです。
 トヨタを例として、どれくらい戻ってくるのか見てみましょう。国内販売に対しては、(国内売上高-国内売上高に対する仕入高)×5%=374億円ほど納税額が出ます。ところが輸出戻し税の計算をすると、2665億円も戻ってきますから、そこから国内の納める分374億円を引いて、なお2291億円ほどがトヨタに還付されることになります。
 輸出上位10社(トヨタ・日産・ホンダ・ソニー・パナソニック・キャノン・東芝・マツダ・日立・三菱)になんと約1兆円、大企業全体では3兆円の輸出戻し税があると報告されています。


 税制度の不備であり、訂正を要する問題ですが、今日までこれに手が付けられていないというのがより深刻な問題です。昨今は、日本国民はデモや集団的に行動するエネルギーがなく、世論は訴求力を失っていますが、経団連などの経済界は大きな政治力を持って政治に介入しています。日本政治は、上の事例ひとつを見ても大企業にべったりな政治であり、こんなことを許していて、国民に増税をお願いすると言えるでしょうか。税制に対する基本的な考え方を改めるべきだと思います。




Q6 国の歳入は80兆円あまり。その内訳は国債の発行による借金(25兆円)を除くと、所得税(16兆円)法人税(16兆円)消費税(10兆円)の3つが主な税収の柱となっています。あなたは、これからの日本を考えたうえで、歳入の柱に据えるとしたら次のうちどの税金が最もふさわしいと思いますか?


 ① 個人の所得にかかる所得税


 ② 企業の所得にかかる法人税


 ③ モノを購入したりサービスを受けた際にかかる消費税


 ④ その他(揮発油税、相続税、酒税、関税、たばこ税 など)


(なぜそう思うのか、ご意見やお考えなどを自由にお書き下さい)


 ② 企業の所得にかかる法人税


 明治以来、日本は「殖産興業」で国を興してきたのであり、現在も興業立国の基盤は変わっていません。当然、国の税金の拠りどころは活発な経済活動であり、利益を上げた企業がその収益の中から税金を納め、国家の維持・運営に寄与していくのがあるべき姿です。
 大中小企業を問わず、企業の生産を上げるために、国家も必要な援助や努力はなすべきであって(許認可や統制を推奨しているわけではありません)、日本の企業の国際競争力や科学技術力・生産性の向上には、制度を整えて協力するべきです。


 ちょっと論点はずれますが、「地方の中小企業の倒産増加」や「地方のシャッター商店街」などについても、政治の責任は大きいと思います。時代に取り残されたり、自助努力の足らない企業・商店を救えとは言いませんが、技術の継承や後継者の育成に社会的なスポットライトを当てるだけで再生する中小企業は多くありますし、町並みを整備して人の流動を考えれば蘇生する商店街も多いのです。

 中小企業や地方の商店街に自分たちで意欲を持って企画立案しろというのも無理な話で、再生案を企画担当能力のある責任者が行い、地方行政が一体となって最後まで完成させる体制を整えれば、息を吹き返すところは多いと思われます。


 本題に戻って、企業活動が盛んになれば個人所得も増加し、物流やサービスも盛んになって、税収が上がるのは自明の理です。
 金融やサービス業を中心にして、経済が潤った国もありますが、経済基盤は脆弱です。所詮、金融などは虚業であって、国の経済を託するような存在ではありません。他の企業が栄えるための弁であって、自らが経済の根幹に座ろうなどとは本末転倒した話です。
 日本は、製造・科学技術を根幹に据えて、経済立国を図らなくてはなりません。税収を図るのもそれを基盤とすることが肝要で、それらの産業を育成するために、税金は投入されるべきです。


 ただ、先に指摘した輸出戻し税」のような、一部企業に恣意的に便宜を図るような税方策は許されません。日本にとって大切な輸出に対して、これを奨励補助する税金のあり方だという論議があるかもしれませんが、輸出だけに便宜が図られる税方式は、とても国民の納得を得られるものではありません。輸出を奨励するのならば、輸出戻し税」などとせずに「輸出奨励補助金」と銘打てばいい。その上で、今よりも抑えた妥当な金額で補助すればいいのでしょう。
 そうなれば、奨励補助しなければならない産業は輸出関連だけではなく、この「奨励補助金」も怪しいものになります。食の安全と自給率が大問題になっている現在ですから、当然、農林水産業には思い切った「奨励補助」が必要でしょうし、輸出はなくても大企業を支える中小企業への「奨励補助」も不可欠です。
 税金は、こうした公平感をクリアして投入されていかねばならないものだと思います。


 ただしかし、現状は日本経済にとって復活・発展ため材料はきわめて乏しいといわざるを得ません。ここでは、中長期的な展望と計画を持って、再生プロジェクトをスタートさせるべきです。
 今までも歴代の内閣は、経済復興や成長にさまざまな方策を講じてきましたが、内閣が変われば方針が改められ、先の計画や施策は変更されて、責任もあやふやにされるというのでは効果は望めません。結果が出なかったことへ言い訳にされるだけです。

 経済再生発展プログラムは、5年・10年計画を策定し、そのチームが一貫して担当していくこと。成果も責任も、その人たちが負う体制にするべきです。
 そのチームが取り組むべき課題は、大企業の国際競争力の強化、中小企業の再生、ベンチャー企業の起業援助と育成、農林水産業の活性化の補助…です。




税金の使い道についてお聞きします          


Q7
 世界一の高齢社会、疲弊する地方、揺らぐ公教育、日本が抱えている課題は山積みです。
現在、国の予算のなかで最も多く使われているのが社会保障で、続いて地方への交付金、公共事業文部科学となっています。
 あなたは、これからの日本の将来を考えたうえで、限られた税収のなかで優先して税金を使わなければならない分野はどこだと考えていますか?


 優先させたいものから①、②、③…と順番を書き入れて下さい。


  ( ① )社会保障   ( ③ )地方への配分   ( ⑤ )公共事業
  
( ② )文部科学   ( ④ )防衛
        その他【   】


 (:②社会保障 ①地方への配分 ⑤公共事業 ④文部科学 ⑥防衛
    ③その他【中小企業支援】)


(優先した方が良いと思う分野、優先しなくても良いと思う分野を選んだ理由をお書き下さい。
 また、優先して税金を使った方がいいと思う具体的な対策や施策がありましたら交えてお書き下さい。例:高齢化対策、少子化対策、新産業育成、道路建設の普及、義務教育の充実など )


( ① )社会保障  Q1で述べたように、近代国家の要諦は福祉体制の充実にあり、セーフティネットが十分でない社会は、人々の将来への希望が閉ざされてしまいがちです。社会保障の整備は、国家の責務として行われなければならないと思いますが、日本はまだまだ未完の部分が多すぎます。。


( ② )文部科学  国家百年の計は教育にあり。特に、人材を立国の基盤とし、科学技術を経国の基盤としなければならないわが国にとって、文部科学行政はきわめて重要です。


 文部科学行政について、教師の教育力を向上させることが必要不可欠です。民間企業並みの研修制度を確立し、教育技術や生徒指導に自他共に許すプロとしての技量を習得させて教壇に立たせるべきです。
 また、安倍前総理が唱えた「戦後レジュウムの総決算」に盛られた、戦後教育史観の見直しをするべきです。一時的に、中韓との摩擦は引き起こされるかもしれませんが、これらの国が騒ぐからといって逃げていてよい問題ではありません。わが国として、世界に発信するべく大東亜戦争の検証を行い、戦後教育を支配してきた東京裁判史観の誤謬性を、唯々諾々と戦後教育を受け入れてきた教師たちに学習させて、子ども達に日本のあるべき姿を教えるところから、教育の再生を行うべきです。


( ③ )地方への配分  日本再生には地方の活性化が喫緊の課題です。地方分権こそが地方を再生させる切り札だったのですが、掛け声ばかりで予算と権限の委譲は遅々として進んでいないのが現状です。
 地方交付税など、国が配分を決めるのでなく、最初から地方の懐へ入る税金として予算計上しておける仕組みを確立するべきでしょう。そうすれば、地方は国の顔色をうかがう必要はなくなりますし、自らの責任において計画立案から施策までを行うことができ、地方自治の意義が全うされることになります。


( ④ )防衛  中華人民共和国という中華思想に固まり、覇権主義を掲げ、防衛予算を毎年2桁伸ばしている国が隣に控えている以上、専守防衛の最低限以上の備えは不可欠です。現代では中共は日本に戦争など仕掛けてくるわけはないという議論と、日本が備えなくてもよいという議論とは別ものです。国家として、自国の防衛を自国でまかなえずに他国に依存することが、あるべき姿だといえるでしょうか。自国の防衛ができる体制を整えてこそ、国際社会で責任を果たす国家として存在が認められることを自覚すべきです。
 現状、日本の防衛力は一応整っているといえると思います。兵員の補充、機器の入れ替えなどへの手当ては行っていかねばなりません。


( ⑤ )公共事業  今、日本のインフラは一応いきとどいているとみることができて、地方の下水道施設などの課題はあるものの、従来ほどの投資は必要ないと思われます。


 議論がかまびすしかった高速道路は10年間59兆円が今年度の予算案とガソリン税の暫定税率を続けるための税制関連法案の根拠ですが、未完成部分が全て必要とは思えません。日本を周回する道路網は最低限認めるとしても、あとの多くは一般道路の整備で十分です。


 昨今は箱物を造ることが控えられることになり、予算総額が削られて、地方の土建業者やその関連の倒産が相次いでいることも事実です。ただ、この多くは、これまで自民党の選挙の集票マシンとして機能してきた土建業界が、予算を回してもらって利益を享受してきたという図式がある以上、淘汰されてしかるべきことなのでしょう。地方の不況のひとつの現象かもしれませんが、日本再生のために援助しなければならない対象とは言いがたいと思います。


● 
優先して税金を使った方がいいと思う具体的な対策や施策 … 論じることが多すぎますので、ここでは省略させていただきます。




Q8 あなたは、国民の税負担と政府が行う公共サービスについて、どう考えますか?


 ① 税の負担は高いかわりに手厚い公共サービスを行うべき


 ② 税負担は軽いかわりに公共サービスは必要最小限でよい


(なぜそう思うのか、ご意見やお考えなどを自由にお書き下さい)


 ② 税負担は軽いかわりに公共サービスは必要最小限でよい


 政府の「公共サービス改革基本方針」(平成19年12月)の理念については、基本的に賛成です。民間にできることは民間に任せ、競争原理を導入して発注・入札などを適正に行い、収支の明細を明らかにして経費の軽減を図ることなど、当然過ぎることです。

 公共サービスという言葉の定義が、直接国民と接する現業だけでなく、独立法人や各種政府系機構・機関を含めての話ならば、9
割方削減したところで、行政サービスには何らの問題も生じないといえるでしょう。ないよりはあったほうがよい、それなりの役割を果たしている…といった組織・団体は、なくてもよいということです。これらの独法・機構・機関は、規模の縮小を手始めに人員を補充せず、5年後を目途にして全て廃止することを明確に謳うべきです。


 ただ、福祉にかかわる、国民生活の保護・援助に関する公共サービスについては、これまでも述べてきたとおり、手厚いという部分に違和感がありますが、少なくとも憲法に定められた「文化的な最低限度の生活」を保障する必要があると思います。どの程度を「最低限度の」というかといったところに議論の分かれるところがありますが、現行の生活保護(月額135,000円程度)を最低限度の基準とすればよいと思います。


 十分なセーフティネットを備えたうえで、自己責任型社会を築くべきです。救済があるのならば自己責任ではないではないかと考える向きもあるかもしれませんが、国が「文化的な最低限度の生活」を保障する仕組みを整えておくこと(セーフティネットの構築)と、国民が事業を起こしたり職業を選択したりして自らの夢を実現しようとすること(自己責任型社会)とは、何ら矛盾しません。夢の実現に成功すれば大きな喜びが得られ、失敗すれば最低限度の生活が待っているということです。


 少子化対策を声高に叫びながら、産婦人科医・施設の不足を招いていたり、保育所の絶対数はなお不足したまま、女性が安心して子供を産める環境を整えようとはしていないですね。
 医師不足は以前から指摘されていたことなのに、先日のテレビ出演で丹羽元厚生大臣は、「医師を増やすのは、すぐというわけにはいかない」などと怠慢なことを言っている始末…。あなたが厚生大臣をやっていたときにすでに指摘されていた問題でしょうと、テレビに向かって叫んでしまいました。


 公共サービスは必要最小限でいい。本当に必要なところへ、きちんと的確に…。現状は無駄が多すぎます。行政改革をしっかりと進めてください。




Q9 税に関するあなたのご意見やお考えを自由にお書き下さい。
   具体的な体験などがあれば、それも交えてお書き下さい。



① 日本再生のために、適正で効果的な財政出動は不可欠です。真に必要で効果的な投融資は、明確な見通しと厳正な責任のもと、思い切って行わなければなりません。
 ただ、支出しやすい金の順序は『①税金 ②会社の経費 ③個人の金』と言われてきたように、国庫金は投資効果の明確な見通しや、誰が立案して支出するのか、結果責任は誰が取るかなどを示さずに垂れ流されてきました。
 Q1でも書きましたが、この支出を行えば、何年の間にこれだけの効果が挙がるということを、担当チームや責任者を明確にして示すべきです。結果責任を問われては誰も行うものがいなくなる…というのであれば、やめればいい。そして、できるところ、できる人にやらせればいい。民間会社は、みんなそうやって仕事をしているのです。


② 日本の国民皆保険制度はセーフティネットとしても大きな役割を果たしていて、世界に冠たる制度だと思われますが、年金、雇用保険…など、国民が強制的に支払わされる費用は結構多額に上ります。いずれ自分のために戻ってくるとは言われても、一旦は国庫に収納され運用され、政府の意図によって還元される(であろう)お金ですから、これらも一種の税金で、現状、日本国民はかなりな額のお金を政府に納入しています。
 社保庁の年金問題、政府高官の汚職・天下り、政治家の利権、談合、癒着…など、残念ながらおよそ税金の動くところ、不祥事が起こらなかったという例がありません。
 税金の徴収と支出は、国民に明確に示し、その納得を得て行わなくてはならないと思います。そこに不正や不公平感があれば、国民の納税意識が減退するのは当然のことです。


 今年4月にガソリンの暫定税率をめぐって、与野党の攻防がありました。日本経済が閉塞状態にあえぎ、国民は日用品の値上げラッシュに音をあげている現状を顧みれば、ガソリン価格の引き下げは、喫緊の政治課題でありました。

 長年の間、政権の座に胡坐をかいてきた政府・自民党は、ここで暫定税率を廃止して、ガソリン価格を引き下げることが、国民の政治に対する信頼を得る道だといった政治センスは、もはや失なっていたのでしょう。半世紀以上も政権を持ち続け、国費をほしいままに垂れ流してきた面々の耳には、全国民の4分の3が暫定税率の廃止を求めているのに、その声は届かず、それを聞こうとする姿勢さえ失われていました。

 政府・与党が、国民の圧倒的な叫びを押し切ってまで、暫定法案を10年延長などという暴挙に出て死守しようとした背景には何があるかを論じるのは、このアンケートの本題ではないようですが、少なくとも政府は国民に、「税金は(一部の利益や利権のためでなく)、自分たちのために使われている」ということを実感させていく必要があります。国家が国民を守らずして、何ための国家でしょうか。そのことを如実に考えさせられた事例でありました。


 税金を徴収し支出するものが不正・不祥事を繰り返し、血税が一部のものの利益・利権のために恣意的に徴収され支出されていては、国民の納税意欲が減退するどころか、国家に対する信頼や誇りを喪失してしまいます。税金を預かる政治の責任とは、かくも重いものであることに思いを致すべきだと思います。




 このアンケートの回答を集計し何が多かったかなどを発表するなど、統計的に利用することはありません。
 記入して頂いたご意見は個人情報に配慮したうえで、「日本の、これから」の番組中やホームページで紹介させて頂く
ことがあります。その際、趣旨を変えない範囲で要約等をさせて頂くことがあります。
   
                                       


                                        以 上






【160】 NHK とことん話そう税金のこと()        2008.08.27


 - 必見! 9月6日放送 NHK「日本の、これから」とことん話そう税金こと -


 7月の下旬、毎日170通ほど舞い込む僕の受信箱に、『NHK「日本の、これから」税金アンケート』なる表題を見つけた。


 受信メールはその9割が迷惑メールなので、いつも表題を流し見しながら削除を繰り返しているから、ひょっとしてメールをいただいたいても知らずに削除してしまった方もあるかもしれない。返信がなければ、しつこくご連絡をお願いいたします…とこの場を借りて失礼をお詫びすると
ともにお願いを繰り返しておく次第だが、上記のメールはふと目に留まった。


 開けてみると、『 …略… 現在、9月放送の「とことん話そう税金のこと(仮)」の準備にあたり、全国の方のご意見を伺っております。ホームページを拝見しまして、この問題に関心がおありかと思いメールいたしました。お忙しいとは思いますが、もしよろしければアンケートにお答えいただき、ご意見をお寄せいただけますでしょうか。 …略… 』という内容の、NHKディレクターA氏からのメールであった。


 アンケート形式になっていて、各設問に答えながらさらに自分の意見も書き加えていくという形をとり、項目ごとに論点がはっきりする工夫がなされていた。
 つらつらと返信を書き、8月23日に送信したのだが、A氏の希望返信期限8月第1週からはかなり遅れたので、あまり役に立たなかったかもしれない。
 内容を今ここに掲載すると番組の進行に支障があるかとも思い、その掲載は番組終了後に行うつもりだが、「 ① 国民のために使うべき税金が、少しも国民の方を向いていない現状、 
② 540兆円にぼる赤字国債を掲げて日本の財政は危機にあると増税を目論む政府の嘘、③ 税金のあるところ必ず不正があった、日本の役所・公務員・政治家の体質を正せ
 」を
軸として提言している。
 皆さんもNHK「日本の税を考える」をぜひ視聴して、税金のあり方を考えていただきたいと思っている。




【159】 国歌斉唱 ・ 国旗掲揚                  2008.08.16


 北京オリンピックがたけなわで、連日、熱戦の模様が伝えられています。日本人選手の活躍も目覚しく、北島選手の2冠2連覇、評価は分かれるかもしれませんが柔道の内柴・谷本・上野・石井の「金」、今日も女子レスリングで吉田沙保里が優勝しました。やはり、日本の選手が登場すると応援しますし、勝つと一緒になって喜んでいます。


 優勝者の栄誉を称える表彰式には、国歌が吹奏され、国旗が掲揚されますが、表彰台に登った選手はもちろん、役員も会場の観客もみんなが起立して、どこの国のものであっても、流れる国歌、掲揚される国旗に敬意を表します。
 国歌や国旗とは、国家の歴史・文化・存在を象徴し、国民の意思を集約したものです。だからこそ、国歌・国旗に対する尊敬の念は世界共通のものです。それぞれの国民は自国の国歌や国旗が、先人のあくなき努力の結晶としてここに存在することを知っているからこそ、脱帽・起立して仰ぎ見るのです。
 それぞれの国家の歴史は決して平坦ではなく、血塗られた時代もあったことでしょうし、訂正し糊塗せざるを得ない事象も1度や2度ではなかったと思います。しかしそれでも、世界の人々は自国の国歌に思いを込め、国旗に民族の誇りを投影させて、団結の証…生きることへのよすが…としてきたのです。


 日本では、今年3月、大阪の公立中学校の卒業式で、国歌斉唱の際に起立していた卒業生が170人中わずか1人、3年の担任・副担任計11人のうち副担任2人だけだった(座っていた9人は斉唱もしなかった)という事例が報告されています。
 日本という国に、誇りを持つなという教育なのでしょうか。侵略戦争を行った日本の象徴であった国歌と国旗には、敬意を表す必要はないと…。
 僕は、学校の先生にはたくさんの知り合いがあって、教育界の実情や教師の置かれている状況などについては、通常以上に理解をしているつもりです。多くの教師の教育に対する真摯な努力や子供たちに対する思いには、感動すら覚えることが多々あります。
 ただ、歴史認識については、戦後の教育を唯々諾々と受け継いでいるだけで、彼らは勉強不足です。もはや、東京裁判の違法性は世界の常識なのですから、東京裁判史観に基づいた戦後教育の誤りを、今、糺さなければなりません。心ある人たちは、学習会・勉強会を立ち上げて、誇りある日本の歩んできた道を見つめ直し、子供たちに語るべきでしょう。
 日教組…、この集団だけは許容の範囲を超えています。もう、30年も前から、僕は日教組の偏向と独善性を指摘し続けてきました。彼らの狂乱によって、日本の教育はいかに歪められてきたことか。今こそ国民は、国歌斉唱・国旗掲揚に起立するなと教えるこの集団の狂気と正対し、その偏向を正していく必要があります。


 高校野球でも国際大会でも、日本人は、自国の国歌国旗に対しても…、他国の国歌国旗に対しても…、直立し敬礼するという義務感に欠けているところがあると思われます。外国では、幼い子供も率先して立ち上がり、国歌を斉唱して、キラキラする目で国旗を見上げています。日本の子供たちは、多くが国歌「君が代」を歌えないと聞きました。学校で教えないからです。
 自分の国を敬愛できない国民を育ててどうするのですか。中韓のように、愛国心を育てるために、他国を誹謗中傷しろとは言いません。それは卑怯で、恥ずべき行為だと教えるべきです。
 そのうえで、日本は大和民族が長い年月をかけて、農耕稲作社会を築き、日本語を醸成して高い文化を創出しながらも、幾多の混乱と統一と誤謬と是正を繰り返してきました。そして今、高度な科学技術文明を構築し、世界の先進国のひとつとして、平和な国際社会をつくるために努力していることを教えるべきです。
 少なくとも子供たちに、日本の優れた点を(もちろん欠点も率直に)語り、日本人に生まれたことを喜ぶことを味わわせるべきだと思います。欠点を率直に語ったとしても、今の日本は誇りに思える国であることは、誰にも異論のないところであろうとも思います。偏向教育を施さない限り…。




【158】 終戦記念日  -大東亜戦争の検証を-     2008.08.15


 63回目の終戦記念日でした。不戦の誓いも新たに、各地で日本の国と国民を守るために戦って死んだ戦没者の慰霊式が行われました。 


 しかし、日本は 日本ために戦って命を落とした戦没者の慰霊をするにも 他の国への配慮をしなければならない国ですから、戦後63年を経た今も、慰霊の方法ひとつにしてもすんなりとはいかないのは誠に残念なことです。追悼式でも、河野衆議院議長が無宗教の慰霊施設を新しく造れと繰り返したりしています。
 この人たちにしてみれば、日本の大東亜戦争は侵略戦争であって、日本は犯罪を犯した国家なのでしょうね。だから、周囲の国から何も言われない形を作ろうというわけです。犯罪の意識がなければ 他国から何も言われる筋合いのものではないと堂々と慰霊すれば良いのですから。
 でも、施設を別に造れば解決する問題でしょうか。日本が戦った大東亜戦争そのものが犯罪だとするのならば、どんな施設を造ったところで、その戦争で亡くなった人は犯罪者なのですから、慰霊すれば抗議の声が上がるでしょうし、日本国民は永久に犯罪者としての祖先を抱いていかねばならないことになります。
 大東亜戦争の検証を行い、歴史の判定に正面から臨むことを、避けてはいけないのではないでしょうか。日本はなぜ開戦し、それぞれの局地戦をどう戦い、いかに負けたか。かの戦争がもたらしたもの、敗戦が残したものは何であったのか。日本としての見解を、世界に示すべきではありませんか。
 それとも、もう示しているのでしょうか、「日本は戦争犯罪国家であった」と…。


 今年、この終戦記念日に靖国神社へ参拝した人は約15万2000人…。今日 靖国参拝を果たした閣僚は、18閣僚中、保岡法相、太田農相、野田消費者相の3人…。
 2年前のこの日には、5年間続いた小泉参拝に後押しされて、約25万8000人もの参拝者が詰めかけたですが、昨年は一気に約16万5000人へと落ち込んでいます。ときの政権の姿勢とは、かくも人心に影響を与えるものなのですね。
 「お友達の嫌がることをする必要はない」(福田首相)という感覚で、戦没者の慰霊に向かう内閣総理大臣…、国民もそれに反発することもないのですから、靖国問題は触らないのが日本流政治の『大人』の選択ですかね。

 この国のために命をかけようという人は、ますます居なくなりますね。




【158】 福田改造内閣スタート -改造内閣支持率の怪-   2008.08.02


 福田改造内閣がスタートした。閣僚17人中13人が交代した大幅改造である。景気減速や物価高騰を受け、経済政策を重視した改造であろうことは、経済関係閣僚に財務相…伊吹文明自民党幹事長、経済産業相…二階俊博党総務会長、経済財政担当相…与謝野馨前官房長官といった顔ぶれを揃えたことからも推察されるが、新資本主義下で構造改革にもがく日本の新機軸を打ち出すことが出来るか…、国民の側からは旧態依然とした顔ぶれ過ぎて期待が持てない。
 例えば、二階新経産相は人も知る媚中派代議士、前回の経産相(第3次小泉改造内閣)在任中には、東シナ海の春曉ガス田の開発問題で中国側に対して一言の発言もせずに手も足も出なかった。それどころか、麻生外務大臣(当時)が中国によるガス田開発強行に断固対応するという姿勢を示すと、「この日本の対応にこそ問題がある」、「強硬に対応するなら勝手にやればいい」と述べる始末…。
 新幹線の中国への輸出に関しては、「日本は、中国から文化を教わり、その延長線上に今日の日本の繁栄がある。その中から、たまたま新幹線の技術を開発した。(…中略…)この技術が中国の発展にもしお役にたつならば、どうぞひとつお使いください。積極的に協力します」と発言している。
 WTO総会決裂など、中国を初め台頭する国々との交渉が重要課題となっている今日、二階経産相でこの難局が乗り切れるのだろうか。まず、無理だろう。
 さらに替えるべきは、渡辺改革担当相に立ちふさがり、霞ヶ関官僚の擁護代弁者であると目され、内閣支持率を大きく下げる方向へと貢献した町村官房長官であったろうと思うのだが…、伊吹財務相、二階新経産相、谷垣禎一国交相、さらに古賀誠選対委員長、そして熱心な消費税立アップ論者の与謝野馨経済財政担当相が加われば、改革逆行派・増税派の揃い踏みと受け止められても仕方ないところだ。


 世論は麻生幹事長誕生を好感している。確かに、低迷する経済や打開策を提示できない政治など、閉塞感が蔓延する中で、彼の明るそうなキャラクターはひとつの救いなのかもしれない。ただ、彼の著書「とてつもない日本」を読んでも、日本の可能性をひたすら信じる姿勢は貫かれていて、だから日本は大丈夫なのだとは書かれているが、自らの政治理念を読み取ることが出来ない。だから日本をどのような方法でどうしようとしているか…が見えない。
 漫画で知識を得たと言っているけれど、それこそ大丈夫か? 先日、僕も喫茶店で、横山光輝著の漫画「三国志」を見たのだが、氏が20年の歳月を費やしたというだけあって、筋書きも流れもしっかりと描かれていると思った。しかし、家に帰ってから宮城谷昌光の小説で同じ箇所を読み返してみたら、格調高い万言を労し、登場する人物の考えや心情などについて語られていて、奥深く入り込むことが出来たように思った。麻生太郎の危うさは、対人間についての対応は非凡なもを持っているけれども、内面のない政治思索なのではないか。


 さて、注目の行政改革担当相は茂木敏充…と続けたいところだが、今日の目的は福田改造内閣についてのコメントではない。新聞各紙の内閣支持率についてである。


 本日付で各紙が発表した福田改造内閣の支持率は、下の表の通りだ。


紙 名   支 持 率   前回支持率 不支持率  前回不支持率 備   考    
                                                  
朝日新聞 24% 24% 55% 58% 変わらなかった
毎日JP 25% 22% (データなし) (データなし) 3ポイントの微増
サンケイ 31% 26% (データなし) (データなし) やや回復
東京新聞 31% 26% 48% 53% 4.7ポイント上昇した
読売新聞 41% (データなし) 47% (データなし) 評価は好転した


 各紙とも、今回の内閣改造は、低迷を続けてきた支持率の大幅アップにはつながらなかったとする結果が示されているのだが、気になるのは、ひとり読売だけが他の4紙と大きく異なる数字を掲げ、支持率41%を掲載している点である。
 もともと調査の方法などによって、ある程度ばらつきが見られることはあったけれども、読売は支持率が他の4紙から10%以上もかけ離れ、支持・不支持率が接近している数字を掲げるというのは、意図的な数字であると勘ぐられても仕方がないのではないか。あるいは、調査方法に問題があったのか、いずれにせよ支持率をかさ上げして、新発足する改造内閣へのエールとしたい思惑があるのだろうが、自らの意図のままに数字を操っては、読売新聞の紙面に対する信頼性が揺らいでしまう。
 渡辺恒雄が主幹兼社主を努めている限り、仕方のないことなのかもしれないが、ひとり読売の社内事情としてせいぜい新聞の売れ行きとジャイアンツの人気が低迷するぐらいのことならば目をつぷっていてもいいのだが、日本の世論を操作しかねない意図が垣間見えるようなことになれば、放置しておくわけにはいかない。
 読売内部では彼自身は裸の王様であるとしても、その進退に助言を与える友人知人は数多いはずである。テレビでも、親しいことを公言している政治評論家なる人も居るのだから、「このままでは、俺たちの恥になる」と描き口説いて、彼自身に花道を飾らせてはいかがなもだろう。


 この支持率、改造後すぐに表われる数字は直感的な人気投票のようなもので、それほどの意味はない。むしろ、これから10・11月ごろにかけての推移をじっくりと見つめていきたい。


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