バンコク・ゴルフ紀行 2007 その4
                     その1     


第4日目 13日(火)  アルパインGC


 今日も5時30分起床。今日のコースは、タイ随一との評判も高いアルパインGC 7時30分のスタートだ。今夜帰国する純子ちゃんと野末さんは、お昼12時までに部屋を空けなくてはならないので、ホテルを出る前にチェックアウトして、荷物を章くんの部屋に運び込む。
 

 6時、朝食。6時30分、チャンくんが迎えに来てくれた。
 アルパインまで約45分、バンコクの朝は早い。すでにたくさんの車やオートバイが行き交う道を、チャン君の車が疾走する。


 ← ようやく明けたバンコクの町を
  極彩色のバスが行く。


 






  横に並んだバスのボディには「どらえもん」の絵が…。
   チャンくんに「知ってるか?」と聞くと、「ドゥラ
   イエモンだろう。娘もファンだ」と言っていた。 → 


  






← オートバイの2人乗りで学校へ

         













     7時30分、アルパインGCへ到着 →


 この建物はアルパインGCのクラブハウスではなく、アルパイン・エリアの入り口である。タイでは、リゾートエリアや住宅団地、工場、学校などを塀や柵で囲み、出入りは警備員の居るゲートを通らねばならないようにして、セキュリティを図っている。まぁ、そこはタイ…。先年、サンフランシスコの高級住宅地で見たような厳重な塀が設けられているわけでなく、学校へ行く子たちがどこでも乗り越えていくような塀だけれど…。
アルパインのクラブハウス

← クラブハウス 【拡大】


 アルパインGCは完全メンバーシップ制を敷いていて、会員の同伴でないと回れない。章くんたちは、梨花ゴルフの紹介で、リュウさんというH'cp5が同伴してくれた。
 2000年のジョニーウォーカーカップでは、タイガーウッズが25アンダーで優勝。アジア大会など多くの国際大会を開催している、タイ随一との評判の高いコースだ。


 青マークから6579ヤード、1番は382Yとそれほど長くはないが、ティショットで180Yほど打たないと、前の池が越えない。  
 
品数豊富なプロショップ
 














   
  1番。グリーエッジから2パットに収めて
  パー。 幸先の良いスタートだ。
【拡大】→ 



  


← 7番507Yパー5。章くん、3オン2パットのパー。
 タイガーはここで2オン1パットのイーグル。もちろん
 バックティからだから555Yだ。


  








   池やクリークの水際もしっかりと
  した石組みが施され、グレードの
  高さを思わされる。 【拡大】 →


  

  




← アルパインの文字が、生垣に
  しつらえられている。【拡大】


  








     
     
       ティグラウンドから
         グリーンまで続くバンカー →




  


 ほとんどのホールに池が絡む、戦略的なコースであった。ただ、整いすぎたたたずまいが、難関好きの章くんにはちょっと不満である。
 章くん、40・44の84。後半息切れして、池へ入れてしまった。

  
コースを望むラウンジ











 ラウンド中にサンドウィッチだバナナだと摘んだので、お腹は空いていない。ラウンジでスイカジュースを飲み、チャンくんの迎えを待った。
 

 ホテルへ帰り着いたのが午後2時30分。キャディバッグを部屋に運び、純子ちゃんと野末さんは荷物をまとめて、いつでも運び出せるよう準備完了だ、
 3時過ぎ、マッサージ店へ。2時間の全身マッサージを堪能したあと、夕食にスリウォンの(本物の)「ソンブーン」に向かった。


 バンコクナビによれば、ソンブーンは現在の「プ・パッポン・カリー」を初めて出した店だとか。もともとタイの家庭料理にあったプ・パッポン・カリーは蟹をカレー粉で炒めただけのものだったのを、卵などを加えてふんわりとした味に仕上げて店に出したところ大評判を呼んだとある。
 そのプ・パッポン・カリーは、なるほどふんわりとした皆んなに親しまれる味であった。トムヤンクンにもたっぷりのココナッツミルクが入れられて、辛さを抑えている。エビのフライガーリックソースがけ、白身魚の蒸し焼きレモン&ジンジャーソース、野菜炒め(チャーハンにかけると絶品)などなど、純子ちゃんと野末さんを送る晩餐会は満腹の4500Bt。
 

 旅行社の担当員が8時30分にパレス・ホテルまで、2人を迎えに来てくれる。7時30分、食事を終えて通りでタクシーを拾う。2〜3台のタクシーが「200Btくれ(通常は70〜80B)」とか「パレス方面は渋滞がひどいのでいやだ」などと言う。
 4〜5台目で「バンコク・パレス OK」のタクシーを拾えた。運転手は女の人だ。これがまた、運転がうまい。車の間を縫ってスイスイと走る。が、このタクシーに掲示してある許可証には、男の人の顔写真が載っている。「お父さんが酔っ払って寝てしまったから、『私が稼いでくるわ』って言って、奥さんが代わりに乗ってるんじゃないの」と純子ちゃんが笑う。
 そういえばタイの女性はよく働く、その分、男はグータラだけれども…。家族に夕食を食べさせたあと、自慢の手料理を下げて屋台で売って日銭を稼ぐお母さんなんかザラだとか。酒を飲んでしまって「今夜はもう働きたくな〜い」と言う亭主に代わってハンドルを握る奥さん…って、物語としてはいいけれど、現実はタクシーを借りて個人が営業するタイの業界の仕組みとか勤務状態などを考えれば、タクシーを所有する会社がウンと言うはずはなく、きわめて難しい話だろう。
渋滞する車の窓からパチリ!
道の傍らに、大サイバービジ
ョンが立てられていた。   

 そんなことを考えているうちに、大渋滞にはまって車は全く動かなくなってしまった。ママさん運転手は車線を変えたりしながら少しでも前に出ようと努力してくれるが、バンコクの渋滞は運ちゃんの技量でどうこうできるものではない。
 8時25分…、約束の30分まであと5分となったが、バンコク・パレスはまだ遠い。章くんは、「ここはタイ…、10分や20分の遅れはマイペンライ(気にしない。何とかなるさ)。それに飛行機のフライトは11時55分だから、最悪、自分で行けば充分間に合うよ」と思っていたけれど、タイ初めての2人は心配だったことだろう。
 章くん、初日にガイドしてくれたトゥ〜さんのケイタイ番号を教えてもらっていたのを思い出した。野末さんにその番号を渡して、彼女に電話を入れ、「ちょっと遅れる」とバンコクパレスへ迎えに来てくれる担当員に連絡してもらった。
 ホテルへ戻ったのは8時40分。部屋から荷物を持って降りてくると、担当の男の子が見つけてくれた。「待たせたね」と言うと、「ほかのホテルへも迎えに回りますが、そちらも30分ほど遅れると連絡がありました」と笑っていた。やっぱり、ここはタイだ…。


 「お疲れ様」…、王宮のキンキラキンやアルパインの池に消えたボールの思い出を胸に、7万円のロブスターを胃袋にして、2人は帰っていった。




第5日目 14日(水)  スパップルックGC


 今日のゴルフ場は、吉井さんにエントリーしてもらった「スパップルックGC」。バンコク市内から40分ほどの距離で、午前6時45分のスタートだ。
 吉井さんが、5時45分にタクシーに乗ってホテルへ迎えに来てくれた。ホテルのレストランは6時からしか始まらないので、朝食バイキングは食べられない。
 今日のタクシーの運転手さんは、丸顔の若い女の子だ。名前はム〜ちゃん、吉井さんのマンションの近くのホテルで駐車していたのを、見つけてきたんだと言っていた。
 実は、今日から3日間、章くんたちはこのム〜ちゃんにお世話になることになる。というのは、片道400Btほどの今日のゴルフ場なのだが、プレー終了が12時過ぎなのでそれまで待っていて、1200Btで往復の送迎をしてもらうように頼んだのである。


 まだ真っ暗な高速道路をタクシーが行く。タイのタクシーのスピードにはいつも冷や冷やするのだが、女の子の運転は無鉄砲に飛ばさないのがいい。左手に、スワンナプーム新空港の灯りが輝いている。
 ゴルフ場の近くに着いたのだが、幹線道路からゴルフ場があるエリアへ曲がる道が分らない。吉井さんも2ヶ月ほど前に来たけれどもしっかり覚えていないと言い、そのときのスコアカードの裏に記されている地図をム〜ちゃんに見せている。そのときには、ボルボ自動車の看板のところを左折したと言って、ム〜ちゃんに「ボルボだ、ボルボ…」と叫んでいる。そう叫びながら、章くんには「この子にボルボと言っても、自動車会社の看板だとは知らんでしょうね」と笑いながら言っている。
 ム〜ちゃんこそ災難で、かなりの距離を行ったり来たりしていた。後ろの席では、「タイはタクシー代が安いからいいけれど、こんなに迷いまくったら、日本では怒らんならんとこですよ」「日本のタクシー代は高いからねー」などと言っているが、今日は請負いだから客の負担はなくて、ム〜ちゃんは走るほどガソリンを消費することになって気の毒だ。このところ、タイでもガソリン代が跳ね上がっていると言う。
 実は、高速道路を早くに降りすぎて、手前の地域をさまよっていたのだ。ム〜ちゃんが、道を行く人に尋ねて分かった。
 さまよっているうちにようやく夜が明けて、周囲の景色が見えてきた。ボルボの看板もよく見えた。
  


← ゴルフのエリアへ曲がったら
 最新の高層ビルが…。
  最近、開校した大学だという。




 真新しい
  学生寮 →






  6時40分、到着。スタートまでに5分しかない…というところだが、そこはタイである。




← 真ん中の丸いサークルがフロント。
 女の子が一人居て、1800Btを支払う。


  










  スタート時間は遠っくに過ぎているけれど、朝食抜きで
  きたから、タイ名物「おかゆ」とコーヒー  
   

  


 ここのレストランは何とか言う中華の有名店が入っていて、テーブルの上に、「味にご不満の場合は、代金はいただきません」と書いた案内書が置いてある。
 バンコクの高級店(?)で値切りまくった章くんが来るのを知らなかったのだろうか。
 「このおかゆ、食えたモンじゃないぞ」と言おうと思ったのだけれど、みんな食べてから気づいた。いくら国際的野良猫の章くんでも、みんな平らげてから「こんなもの、食えるかぁ」とは言い難い。
   



 早朝、誰も居ないコースが朝もやの中に浮かぶ。
 ピート・ダイ設計の戦略性豊かなコース…。すでにスタートして行った人も居たのだが、人影は見えない。



      1番522Yパー5の
          ティグラウンド→




  









← 章くんのキャディ プラちゃん
  今日は吉井さんと歩いてのラウンドなので
  ブラちゃんも手引きカートを引いていく。


  


← 9番 438Yパー4 【拡大】





     フェアウエイの落ち葉を
      ↓    吹き飛ばす車

















 ラウンド中の吉井さんの話…、「先日、バンコクのアマタ・スプリングCCで、尾崎直道が主将を努めるアジア勢VS欧州の対抗戦(第2回大会ロイヤル・トロフィー、1月14〜17日)があったので応援に行ったのですが、全然歯が立たず。ダレン・クラークと一緒に回っていた選手なんか、ドライバーの飛距離も50ヤードぐらい離されていましたよ」と名前も覚えてもらっていない。
 排他的な古い体質で、膨張してきた日本経済にタダ乗っかって肥大してきた日本男子プロツアー。安易なコースでプライベートコンペのような試合を繰り返し、バケツの中の飼料を分け合ってきたゴルフには、もはや何の魅力もない。低迷する日本男子ツアーを象徴するような話であった。


 


← 16番 146Yパー3
   ピート・ダイらしい、アイランドグリーンである。

  








    
 アイランドグリーンを
 ホールアウト後 うしろから →






  




 章くん、アウトは8番501Yパー5でアプローチをミスしてトリプルの8を打った。「幾つやったっけ」と聞く章くんに、キャディのプラちゃんは「5オン3パットの8」ときっぱり答え、スコアカードに「8」と書き込む。アウトは45。
 インは17・18番をダボ・ダボとして42。ちょっとへばったか、トータルは87.
 前回、ニギリをもらった吉井さんに、「8つ、どうぞ」とお粋にハンディを出して同グロスだった。


 ← 章くんから巻き上げたニギリで うまそうにビールを飲む
 吉井さん。



 アヒルの肉、豆腐の揚げ物、そしてここでもプ・パッポン・カリーを頼んだ。文句をつけてタダにするには、それぞれの料理とも平凡な味で、けちのつけようがない品々であった。


 食事を終えて玄関前に出て行くと、すぐに駐車場から赤いタクシーが動き出した。キャディバッグはすでに積み込んでくれてある。


← タクシーの天井には交通安全の神様が祭ってある。

  










  











← 達人の運転は、サンダル履きだ。




 吉井さんにバレス・ホテルまで送ってもらって、「では、明日、午前5時45分に…」と別れた。また明日も、ゴルフに付き合ってもらうのだ。


 マッサージで2時間、今日もしっかりと揉んでもらったあと、ヤスヱに頼まれた買い物もかねてシーロムへ出かけた。最寄のBTS(高架鉄道)の駅まで歩いて電車で行こうかとも考えたのだが、20〜30分かかるということだから、せっかくのマッサージが帳消しになりそうだったので、タクシーを拾った。
 サラディーン駅横で降りてタニヤ通りへ歩き、「ジム・トンプソンの店」はこの辺だったよなぁと探して歩いた。
 

  学校帰りにたこ焼きのようなものを買っている
  女子高校生たち。 タイの女の子たちは、
  いつでも、どこでも 何か食べている。  →



 タニヤ通りで座っているおじさんに、「ジムトンプソン…?、ジムトンプソン…?」と聞いてみると、おじさん、何も答えずに近くに居た女の子を呼んだ。
 「あっ、ジムトンプソンね。そこ右へ曲がって、3本目の交差点の右角よ」。タニヤの女の子は、日本語が上手だ。でも、なぜ章くんが日本人だと解るのだろう。

  

 ジム・トンプソンの店は、相変わらずの賑わいである。客は半分が日本人、韓国・中国人が3割、欧米が2割といったところか。
 でも、ヤスヱの言う、象がデザインされた、ン万円のバッグなんて置いてない。象さんが描かれているバッグは、せいぜい2000バーツぐらいの布製のズタ袋だ。こんな袋を10個も買っていっても荷物になるだけだからと、章くん、ヤスヱに見せるのに1個だけ買って、あとは使い込むことに決めた。



 タイシルクのスカーフやハンカチを5〜6点買って店を出ると、表は日が暮れてすっかり夜になっていた。町には、今夜もせわしない喧騒が行き交っている。


     タイの神様。各店や個人の家にも祭られている →


 ちょっとおなかが空いた章くん、道端のショッピングセンターの1階にあるレストランに入った。ウインドゥに並べられていたパンとケーキがとてもおいしそうに見えたからである。パン好きの章くん、このところおいしいパンを食べていないので、食指が動いたのだ。
   ↑ 帆立貝のマリネ

   シーフードの
    トマトソース仕立て→

パンは自由に取って金を払う。


 道路側のオープンテラスに座って、パンをかじり、コーヒーをすする。目の前の歩道を、学校帰りの女子高生…、キングズイエローのポロシャツを着た一団…、これから店開きだろうか、おばさんが屋台を押して…行き過ぎる。
 人々の行き交いが走馬灯のように流れ、時間がゆっくりと過ぎていく。
 
 
 食事を済ませて、町をぶらついてみた。


     寝てる! バンコクでは、商店でも屋台でも
       店番の子たちの多くは、いたってのん気だ →


 客としてはうるさく付きまとわれなくていいのだが、みんな、ものを食べているか、おしゃべりしているか、この子のように寝ている。しかし、この人通りで、ぐっすり寝ているのもすごい。


  






← バス停で、バスを待つ人々。


 バンコクのバスは、ほとんどが2車線目に止まる。しかも、前にバスが止まっていたりすると、バス停よりもはるか後方で乗り降りさせている。客は車の行きかう中を、バスまで走る。


 



 先ほど2時間のマッサージを済ませてきたのに、「足つぼマッサージ 1時間250Bt」の看板を見て、またフラリと入ってしまった。50分間、足の裏やふくらはぎをぐりぐりと揉んでくれ、残りの10分で首と肩を揉んでくれる。これで、明日のショットは完璧だろう。チップ50Bt。


          足の裏は健康のバロメータ…らしい →




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