P.1          世界ゴルフ紀行トップへ


第5日目その2. スチュワートクリーク・ゴルフクラブ(Stewart Creek Golf Club


 「3人、今からスタートできますか?」とやってきたStewart Creek Golf Clubは、スリーシスターズ・リゾートエリアの中核をなすゴルフコースで、Silvertip Resortから10分ほど、カルガリーへ向かう道の途中にある。
 ここもSilver tipGCと同じように、最近(2000年)オーブンした新しいコースだが、2002年以降、Golf Digest誌が選ぶゴルフ場ランキングで、毎年4つ星コースに選出されている。
 受け付けのおじさんは、「シュア〜 OK(もちろんいいよ)、今3時20分だけれど、30分からはトワイライト料金だから、それでいこォー」と、とても親切だ。
 パワーカート・税込みのトワイライトプレーフィ105.93カナダjを支払うと、おじさん、「午後6時30分からのスタートだったら69$だStewart Creek Golf Clubよ」と教えてくれる。
「ええっ、6時30分からスタートする人、いるの? ホールアウトできるの?」と聞くと、
「最終組がスタートしていったら、わしらは閉めて帰るからね。あとは知らんけれど、今までホールアウトできずに、翌日、わしらが出勤してきてもまだ回っていたという人はいないよ」とおじさんは笑う。
 クラブをカートに積み込んで、ブ〜ンブ〜ンとエンジンを吹かし、ポールポジションで3時30分を待つ。3…2…1…、30分ジャスト。1番ホールへレッツゴー!
 ティグラウンドは5面、
Black Tee:  7195 yds / Par 72 / Rating 73.3、Blue Tee:  6831 yds / Par 72 / Rating 71.6
Gold Tee:  6375 yds / Par 72 / Rating 67.8、White Tee:  6026 yds / Par 72 / Rating 65.7
Red  Tee:  5292 yds / Par 72 / Rating 69.7(Red TeeのRatingはLadies)と分かれている。
 どのティグラウンドを使うのかで、昭ちゃんが抵抗する、「疲れてきているので、Whiteでどうですか?」と。
 「Blackとはいわないけれど、せめてBlueからだろう。Whiteって、日本男児の名折れじゃないか」と言う章くんに、「日本の男児も疲れてきているから…」と昭ちゃんはなお抵抗を続ける。短いコースならば、勝ち目があると考えているのだろうか。
 「奈津子はどこから打つの?」と聞くと、「Whiteから」と言っている。奈津子にWhiteから打たれては、昭ちゃんは同じところからというわけにはいかない。
 「じゃぁ、Goldから…」と言っている間に、章くん、Blue Teeからパッカーンと打ってしまった。
 1番(366YバーC)、右の林がせり出していて、ティショットは打ちにくい。特にフック打ちの章くんは、林すれすれに打ち出していかなくてはならない。狙いよりも心持ち左目に出た章くんのティショットはStewart Creek Golf Club、さらにフックして左のラフに転げた。
 残り150Y、得意の7アイアンでグリーンのフロントエッジ。手前のピン位置にも助けられて、2パットのパー。幸先の良いスタートだ。
 ところが、ここからあとのスコアーがまとまらない。2番(548YバーD)、4オンのボギー。3番(164YバーB)、6アイアンが乗らずにボギー。4番(453YバーC)、左側がずーっとトラブルの長いホール。残り210Yのセカンドを3アイアンで打って、グリーン左のバンカーへ。このバンカーショットが出ない。4オン2パットのダブルボギーだ。
 5番(415YバーC)、3オン2パットでボギー。6番(527YバーD)、グリーンの外からパターで寄せてやっとパー。7番(394YバーC)、3オンのボギー。8番(204YバーB)、乗らず2パットのボギー。9番(411YバーC)、やっと3オンのボギー。
 アウトは頑張る 昭ちゃん章くん、6ボギー1ダボの8オーバーで44。どうもピリッとしない。
 昭ちゃんは5ボギー2ダボ1トリの48。「疲れたぁ」と口では言っているが、まだ章くんにグロス勝ちすることを諦めてはいない。


← 昭ちゃんのショット。シングルの端くれらしい、どっしりとした
  良いスイングだ。このスイングをしていて、どうして大叩きする
  のか? ゴルフは頭のスポーツということか…。
  と…まで言われたら 頑張るしかないだろう、昭ちゃん!





 奈津子はここまで全ラウンドを白マークからプレーしてきているから、さすがに疲れているのか52。でも、「インを47で回ればいいのね」と、まだへこたれてはいない。


 このハーフ、1時間40分で回ってきている。前には誰もいないし、2台のカートで走り回ってラウンドしているから、結構叩いているとはいうものの、スイスイとホールをこなしてきているのだ。
 そのままインへ…。Stewart Creek Golf Club
 10番(376YバーC)、右前にある荒地さえ越えればどうってことはないホールだ。章くん、スタートホールは集中力の欠けたショットをして、チョロのようなトップをすることがある。ここは慎重にティショットを打って、セカンドの残りは130Y。9アイアンでナイスオンのパー。ここも出だしは好調だ。    
 11番(597YバーD)、ティグラウンドの前に大きな池、フェアウエイの中央300Y先に大きな木のある、長くて厄介なパー5。左目にティショットを打った章くんは、木を左から避けて打って、左のフェアウエイ・バンカーに入れてしまった。まだ、190Yほどある。出すことを優先に手にした4アイアンのあたりはまずまずだったけれど、20Yほどショート。ピンは奥で難しい。寄せきれずボギー。
 12番(185YバーB)、4アイアンで右に外してボギー。
 13番(409YバーC)、セカンドの残り180Yを4番でエッジへ。2パットでパー。
 14番(274YバーC)、短いホールだけれども、コースガイドを見ると170Y地点で右からの荒地がせり出してきていて、それを越えるには210Yのキャリーを打たねばならない。章くん、迷わず6アイアンを持ち荒地の手前へ。
 残り120YをPWで打って、ダフった。3オンのボギー。
 15番(414YバーC)、左のフェアウエイバンカーを越えるのには220Yのキャリーが要る。ちょっと右へ逃げて、右のセミラフ。残りは190Y、しかしグリーンの手前をクリークが横切っている。それを越えるには…、3アイアンだろう。ダフリやトップは許されない。
 ビシィ、ちょっとトップ目のボールは、クリークに沈んだ。カナダのフェアウエイの柔らかい芝生の上にあるボールを、長いクラブで打ち抜いていくことはやはり難しい。バッフィで打つべきだったか。4オンでダブルボギStewart Creek Golf Club 17番ーだ。
 16番(428YバーC)、セカンドが200Yほど残って、バフィで打ったけれど届かず、3オン2パットのボギー。
 なぜかセカンドで持つクラブが、長いクラブばかりだ。疲れてきていて、距離が出なくなっているのだろうか。
 17番(150YバーB)、7アイアンでかろうじて乗り、ピンも手前で、やっとパーが来た。


← さすがの奈津子も疲れ気味。グリーン左手前のピンを狙って
 左の池へ入れていた。



 18番(516YバーD)、第2打地点で右へドッグレッグ、グリーンの左には大きな池が待ち受けている。
 カッキーン、章くんのカナダ最後のティショットはやや右へ飛び出した。しかし、いつものようにクイッとドローして戻って来る元気はもうなかった。Stewart Creek Golf Club 18番
 右ドッグレッグのホールなのに、右ラフにボールを置いたのでは、次のショットは右の林が邪魔をして打てない。7アイアンで右の林ギリギリに打って、フェアウエイ左にボールを止めたものの、残りはまだ180Yほどある。しかし、章くんには得意の4アイアンでぴったりの距離だ。
 カナダ最後のショットになるはずであった第3打、ボールはグリーンにワンバウンドして奥のラフに入った。
 やや深い逆目のラフ。バンカーショットのように、普通のアプローチの2倍ほどの力でゴンッと打たねばならないところを、オーバーしたら池だから当然のようにショート…。4オンで下り8mのパットが残った。
 カナダの締めくくりは、パーでなくてはならない。繰り返して読んだラインはスライスだ。タッチを確かめて放ったパットは、軽くスライスを描いて、見事カップへ…、… いったん入って、クルッと縁を回り、また出てきてしまった。ちょっと強かったのだ。カナダ最後のパットという思いが、わずかに強くボールに伝わったのか…、ボギー。
 「すっごく、狙っていたわね。アドレスに入ってから打つまで、私も息を止めて見ていたけれど、あんまり長いアドレスだったので、窒息して死ぬところだったわ」と奈津子、肩で息をしている。
 その奈津子、息を乱して18番ホールを3パット、このインを48。アウトが52だから、惜しくも100になってしまった。18番のパットは、100を切るかどうかの大切なパットだったのだ。呼吸不全で3パットさせてしまって、申し訳のないことであった。
 昭ちゃんは、5ボギー1ダボで43。ン、章くんもこのインは5ボギー1ダボで43だ。昭ちゃん、日本へ帰ってから、「最後のハーフは、同じスコアだった。もう一日あったら、勝っていた」と土産話をして歩いている。1回のハーフ同スコアでこの調子だから、章くんとしてはたまったものではない。もちろん、残りのラウンド全敗については、触れない。
 その昭ちゃん、48・43で91。ハンディ9としては、まぁこんなものだろう。可もなく不可もなし…といったところか。
 章くん、44・43で87。ハンディ14としては、まぁこんなものだろう。ただ、初日の84が一番良くて、そのあとは87,89,88,87と高値安定している。80前半から、ひとつぐらいは70台がほしいところだが、最近の、年間30ラウンドで練習場へは滅多に行かないというサボり方からすれば、望むほうが無理というものだろうか。


 「あぁ、終わったなぁ」。何ンか気が抜けたようで、ちょっと足取りが重い。カート置き場へ戻っていくと、もう誰もいない。どこかで人の話し声がするので、どこかに誰かは居るのだろうけれど、別に用もないので呼ぶこともなく、章くんたちはカートを置き、バッグを担いで車に戻った。


 午後7時、まだまだ明るい。あとはカルガリーに戻り、ホテルへ入るだけ。このまま真っ直ぐに「トランスカナダハイウェイ」を走っていくのも芸がないからと、章くんたちは、ちょっと山間の道へ足を伸ばしてみることにした。キャンモアから742号線を南下し、40号線に合流してカナナスキスを通ってカナディアン・ハイウエイへ戻る、1時間ほどのドライブを楽しみながら、カルガリーへ向かおうというわけだ。742号線沿い
 742号線は舗装のない砂利道が多くて、行き交う車があると砂煙で前がかすむ。でもその煙が晴れると、左右にはカナディアン・ロッキーの山々がまた顔を見せる。
 ロッキーは海面下にあった地層が、強大な力で押し上げられて大山脈を造ったもの。このあたりも激しく褶曲した灰色の岩山が、特異な景観を見せている。


← 途中のレイク・スプレイの湖畔でひと休み
  
カナナスキスの道端

 湖畔の草むらに、
 色とりどりの野草が可愛い→



 やがて道路は40号線に合流する。左へ曲がってカナディアン・ハイウエイ方向を向くと、ほどなく初日にゴルフをしたカナナスキス・リゾートだ。一帯はピーター・ローヒード州立公園エリア、どこまでも続く舗装道路が延びているが、車の影はまばらだ。


 カナナスキスという地名は、昔、この地に居たインデアンの名前だとか。1800年代の中ごろ、この地を探検したイギリス人ジョン・バリザーの案内人で、そのときに他の部族の襲撃を受けて、バリザーたちを守るために戦い、命を落とした。彼の名前を記して、今、この地をカナナスキスと呼んだと伝えられているが、一説にカナナスキスはクリー族インディアン語で「流れ(る川)の出会い」という意味だとも聞いた。




← カナナスキスを抜ける40号線 


 道は「トランス・カナダ・ハイウエイ」へ合流…。
 章くんたちはロッキーの山々に別れを告げて、
カルガリーへ向かう。


 ビルや街灯に明かりが点るころ、カルガリーの町に入った。今まで、ロッキーの山中で過ごしてきた章くんたちにとって、カルガリーは目くるめくような大都会だ。
 人口約80万人、カナダ石油鉱業の中心地で市内には石油会社のオフィスビルが並ぶ。カナダからメキシコまで通じる「Canamex」高速道路網と、カナダを東西に横断する「トランスカナダハイウェイ」の交差点に当たる交通の要衝であり、カナディアン・ロッキーへの玄関口として訪れる観光客も多い。
 さて、食事だ。お目当ては、ガイドブックにあったキャナリー ロウ -CANNERY ROW-」。開業20年になる、オープンキッチンの落ち着いた雰囲気のレストランで、クレオールとケイジャンのテイストを加えたシーフードが人気だ。お勧めのチキンとエビ・キャナリー・ロウの受付嬢ロブスターなどの盛り合わせ、ジャンバラヤ(肉・野菜などの炊き込みご飯)なども頼んでご機嫌…。


 さすがは人気の店、順番待ちの客が見せの外まで溢れている。
 受付の女の子が 超美人。順番が来ると、この子に名前を呼ん
 でもらう。
  思わず、「Please. please. please. take a picture with me?
 together, please」と横へ並んで、戸惑う彼女と一緒にパチリ →



 食事のあと、ダウンタウンを歩いてみた。とてつもなく大きくて広いショッピングモールなどもあったけれど、カルガリーの店の閉店時間は早い。多くの店が、既に「CLOSED」の看板カルガリーは大都会を掲げていた。
 とあるビルの一角に「PUB」があった。カルガリーの今日は昼間が20℃、夜は6℃…。戸外の寒さにも後押しされて中に入ってみるととても暗くて、ぼんやりと赤い電球が不思議な雰囲気をかもしている。西部開拓時代のパブって、こんな感じだったのだろうか。
 でも、禁煙だ。開拓時代に「No,smokimg!」なんて言ったら、「シャラーップ」… パーン! …と、撃ち殺されていたことだろう。


 今夜の宿は「デルタ カルガリー エアポート」。カルガリー空港内にあるホテルだ。荷物を部屋に運び込み、やっと休憩。
 夜中にレンタカーを返しに行ったら、営業所は閉まっていて人影はなし。所定の場所に車を止めて、キーを入口横の棚に置いてあった封筒に入れて、ポストの中へ放り込んできた。


 「ファンタスチックで素敵な旅だったわね。冬はタイ、夏はカナダにしよォー」と、部屋に戻ってコーヒーを飲みながら、少女奈津子。




第6・7日  カルガリー空港 〜 バンクーバー 〜 日付変更線 〜 関西空港


 朝食のあと、昨夜キーをポストに入れてきたレンタカーは、ポストに手を突っ込んでキーを奪った誰かに乗っていかれたのではないだろうかと心配になって、営業所へ寄ってみた。借り出したときの書類を見せると、一瞥した窓口の黒人の女の子、真っ白い歯を見せて、「オーケー、サー」で終わり。行く必要はなかったみたい。
 カルガリー空港発10時00分 バンクーバへ10時25分に着いた。エッ、25分間しかかかっていない…って? 帰りは早いのかと思ってはいけない。広いカナダでは、国内の都市間でも時差があるのだ。カルガリーとバンクーバーでは1時間。だから1時間25分…、往きよりも15分多くかかっている。


 バンクーバー発11時30分、AC39便はカナダに別れを告げて、一路大阪へ。
 ラウンドを振り返ったり、ウツラウツラしている間に日付変更線を越えて、日本時間16時20分に関西国際空港へ到着した。10時間50分、往きよりも1時間20分遅い。
 西行きは偏西風に向かって飛ぶので時間がかかるというのだが、地球の自転に逆行するのだから、むしろ有利ではないのかと、いつも思うのだけれど…。


 帰りの飛行機の中で旅行メモを整理していて、章くん、カナダjが高くなっていることを改めて感じた。6年前にカナダを訪れたときは、9日間7ラウンドで一人当たりの費用は304,485円。当時の為替レートは1カナダj=74円だったから、かなりの割安感があったけれど、今回は103円と40%も上がっている。
 3人ということで割高だったし、宿もいつものような1泊ン千円といったモーテルでなくて、平均1部屋230カナダjほどのホテルに泊っている(しかも3人で2部屋とっている)こともあったり、ゴルフのプレーフィも世界にその名を知られたバンフ・スプリングスGCは200カナダj、シルバーチップは160カナダjといった高額だ。
 (バンフ・スプリングスGCはインターネットで直接申し込むと200カナダj。、予約代行業者のTee Time.com(http://www.teetimescanada.com/index.php)に頼むと189カナダjだった)
また来てねと手を振るエルクちゃん さらに、ヘリコプターツアーなど、今回の旅行はちょっと贅沢をしたかなというところもあって、後日に清算した一人当たりの費用は、346,510円(6日間5ラウンド)。旅行会社などの案内を見ると、このシーズンは6日間2ラウンドで398,000円とあり、しかも観光は別料金だ。そう考えると、まずまずのお値打ち旅行だったかなと思うのだけれど、いつもの貧乏旅行のメンバーに言わせれば、「まだまた甘〜い!」ということになるかも知れない。


←「また来てね、待ってるよ」と手を振る
 バンフ・スプリングス17番のエルクちゃんたち



 この日、大阪は午前中に雨が降ったとのことで、空港の温度計は29℃。帰宅してからも、夜は22℃と涼しかった。
 でも翌日は晴れて、また33℃…。残暑はまだまだきびしい。
                                       


  P.1      世界ゴルフ紀行トップへ  タイランド 2007 へ
カナディアン・ロッキー・ゴルフ紀行 2006 P.2