バンコク・ゴルフ紀行 2009 その3

   


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3月15日(日) レムチャパン・インターナショナルCC

 今日のスタートは午前7時。タイでは朝まだ日が昇らないうちからスタートして、暑くならないうちにプレーを終えるのが、地元の人のプレースタイルだ。昼間の暑い時間帯に回っているのは、命知らずの観光客たちである。
 前夜はパタヤに泊まって正解だったというべきかも知れない。5時起床、ホテルの朝食はまだ空いていないので食べられなくて、ゴルフ場でおかゆ(カオトム)を食べた。
          エビを入れて…と頼んだら、美味しく仕立ててくれた →

 今日のレムチャパン国際CCは、最初にタイを訪れた1997年にプレーしている【参照】。ジャック・ニクラウス設計のバンカーが大きい、頭を使わなくてはならないコースだ。
 早朝スタートだから、今日は当然、Mountain(A)9ホール、Lake(B)9ホール、Valley(C)9ホールの3コース、全27ホールを回る予定である。
1番336Yパー4 【拡大】
 6時50分、マウンテン(A)コース1番336Yパー4へ…。まだコースは朝露に覆われて真っ白だ。
 今日は空振りしないように慎重にティショットをしたのだが、それでも空振りに近いトップ。ボールは力なく、朝露にまみれながらフェアウエイを150Yほど転げていった。
 でも、この1番は右手にウォーターハザード&バンカーが待ち受けているから、妙に当たってスライスするのは禁物…。ゴロで良かったというべきか。
 残りは190Y。4アイアンの当たりは薄く、15Yほどショートして、3オン2パットのボギー。出だしは、軽いボギーがいいのだ(苦笑)。

  大きな池&バンカー越えの2番164Yパー3 →

 6番アイアンのティショットを、トップして池に入れた。「おいおい、そんなショットをするようになったのかい」と、奥ちゃんが笑う。
 打ち直しも薄い当たりでバンカーに入り、2オン2パット+2ぺナでトリプルボギーだ。
 2番が終了したところで、すでに4オーバー。

 グリーン右に大きなバンカーが横たわっている3番422Yパー4では、セカンドの4アイアンのショットをそのバンカーに入れてボギー。
 4番502Yパー5で、右側に点在するバンカーを避けまくって、やっとパーが来た。
 5番397Yパー4は、池越えのティショットを打つと、池を越えたところからあとはグリーンサイドまで、左側にずーッとバンカーが続く。グリーンエッジからパターを使って2パットのパー。
 6番368Yパー4は、グリーン左の池が要注意…。注意しすぎて右のバンカーに入れ、3オン2パットのボギー。
 7番は196Yパー3。3アイアンで打って右へ外したものの、1mに寄せて1パットのパー。
 8番は右へ左へと曲がる517Yパー5。フェアウエイを横切る湿地が曲者だが、ちょっと当たりの出てきた章くん、3オン2バットの何ということのないパーだ。
 そして9番396Yパー4、セカンドを左のガードバンカーに入れて出ず。4オン2バットのダブルボギー。
 Mountain(A)9ホールのトータルは、3パー4ボギー1ダボ1トリの45。そのまま、Lake(B)9ホールへ向かった。

 Lake(B)の9ホールは、コースの中央に位置していて、その名の通り池がらみのホールが多い。
 1番361Yパー4、ドライバーの当たりも出てきて、セカンドの残りは110ヤード。ピッチングウエッジをスリークゥオーターに打ったのだが、奥のエッジまで行ってしまった。これをパターで寄せて、まずは幸先良くパーの発進である。
 2番505Yパー5、池越えのティショットをクリアしたものの、右エッジから3パットしてボギー。
 3番407Yパー4、右のガードバンカーにつかまるも、50cmに寄せてパー。
 距離は短い4番348Yパー4、フェアウエイの左右のバンカーの間へ、ティショットはまずまずの当たり。100Yほど残ったセカンドをサンドウェゥッジを持ち、ここまで右に吹かせていたので左へ引っ張ったら、バンカーに入って目玉になった。
 バンカーショットが…出ない、次も出ない、『僕はバンカーショットは得意なんだが』と言い聞かせながら打っても、出ない。最近はゴルフをサボっているから、ひとつリズムを失うと、どんどん深みにはまってしまう。結局、このバンカーを脱出するのに4打を要し、このホール+4の8だ。
 5番191Yパー3、右バンカーへ入っ長けれど、ここは一発で出して(苦笑)、2オン2パットのボギー。
 6番428Yパー4、距離も長く、セカンドで大きな池を越えていかねばならない難ホールだ。ティショットで右のバンカーに入れた章くんは、セカンドを池の上に打っていくのを諦めて、左に刻んだ。3オン2パットのボギー。
 7番354Yパー4、ティグラウンドの前の大きな池に気をとられ、ティショットをスライスさせて右のフェアウエイバンカーに捕まってしまった。バンカーを多用するニクラウスの罠に、完全にはまっている。いや、池に気をとられてスライスを打つなんて、全くの初心者クラスのミスである。3オンに3パットしてダボ。

← 8番165Y池越打ち下ろしのパー3。

  
 エイッと6番アイアンで打ったら、グリーン奥まで突き抜けて行ってしまった。2オン2パットでボギー。

 9番506Yパー5、
  フェアウエイからクラブハウスを望む↓


 出だしはよかったのに、このコースここまで10オーバー。ややヤケクソ気味の池越えのティショット、スネークするホールに沿ってのセカンドと打ってサード地点へ来ると、フェアウエイの彼方にフラッグが立っている。『グリーンは案外近いな』とアドレスに入ったら、キャディのトゥィちゃんが「グリーンはもっと左」と叫んでいる。このフラッグはフェアウエイの方向を示していて(あまり意味はないと思うのだが)、グリーンは3打目地点からは見えないブラインドなのだ。
 トゥィちゃんの言う方向に95Yを打ったら、ナイスとは言えないけれど、グリーンの手前端っこに乗っていた。当然(!)3パットしてボギー。

 Lake(B)9ホールのトータルは11オーバーの47。Mountain(A)9H+Lake(B)9Hは92だ。


 一息入れようと、クラブハウスへ引き替えして軽く食事を取った。コースを見張らせるフロントテーブルで、タイラーメンとスイカジュース…。
 太陽は中天に差し掛かり、暑い盛りとなったけれど、あと9ホール…。ここで止めるわけにはいかない。いざ、Valley(C)9ホールへ出陣…、この9ホールはその名の通りクリークや谷越えが多いけれど、景観が特に美しいコースだという印象が残っている。コースの戦略性も一番面白いのではないかと思った。

 1番420Yパー4、180ヤードほど残ったセカンドは4番でエッジ。3パットしてボギー。 
 2番515Yパー5、池越えのティショットとクリーク越えのセカンドをクリアしたものの、右エッジからまたまた3パットしてボギー。

            2番のフェアウエイ →

 バンコク近辺のコースと違って、結構アンジュレーションのあるレイアウトである。前上がり、左足下がりなど、多彩なショットを要求される。

 3番397Yパー4は、ホールの右側に大きな池が横たわり、2度のクリーク越えが待ち受けている難しいホールだが、右のガードバンカーに入ったものの、そこから50cmに寄せてパー。
 4番424Yパー4、フェアウエイの中央に巨大なバンカーが口をあけているし、セカンドはまたまたクリークが待ち受けていて、グリーンはそのクリークを超えたところだ。ティショットは中央のバンカーを狙い、運を天に任せて打つしかない。章くんのボールはややフックして、左のラフに転がった。
 まだ200Y近くが残っているが、ボールはティアップしたように浮いている。3アイアンを一閃…糸を引くようなショットであったが、ボールはクリークに水しぶきを上げて飛び込んでいった。190Yを3アイアンで届かないのか…、いや、クリーク越えだから190Yのキャリーを打たなければならなかったのだ。そう思うと届かなかったのも無理はないかと、少し寂しい章くんであった。4オン2パットのダボ。
 5番195Yパー3、ここも3アイアンで打つとナイスオン。2パツトのパー。
 6番520Yパー5、7番414Yパー4は、珍しく池の絡まないホールだが、いずれも難しいバンカーを要するホールだ。6番は1パットのパー、しかし、7番でガードバンカーに捕まり、今度はこれをホームランしてダボにしてしまった。

← 8番グリーン(Cコース2番ティーグラウンドから)

 8番156Yパー3、7番アイアンでナイスオン、バーディ逃しのパー。
 9番415Yパー4、池越えだけれど真っ直ぐ打っていけばいいホールである。セカンドは右のガードバンカーに入れないように…と打って左に外し、寄せきれずボギー。
 Valley(C)9ホールのトータルは4パー3ボギー2ダブルボギーで7オーバーの43。

 レムチャパンの成績は(サボっているのだから成績を言う資格はないことは判っているけれど)、
Mountain(A)9H 45、 Lake(B)9H 47、 Valley(C)9H 43 であった。18ホールの平均は90ということか。前回(1997年)はBlackティからMountain(A)41、Lake(B)40、今日はBlueティだったのだから、確実に力は落ちている。いやいや練習もしないからだ、練習すれば…と、なおサボっていることを口実にしようとしていることも、未練と言うべきか(苦笑)。
 

 シャワーへ入って食事…。ここレムチャパンのレストランはタイ・洋・日・中華のメニューをそろえていて、味もよいとの評判である。

   今日のお薦め、「パッタイ(タイ風焼きそば)」     →
    パッは「炒める」タイは「タイ(国名)」、米粉でつくった
    麺はべとつかない。ピリッとした辛さがゴルフの後の気分を
    引き締めてくれる。


 タクシーを呼んでもらって、バンコクへ戻る。パタヤのタクシーの運ちゃんは、「オリエンタル・バンコク・ホテル」の所在地を知らないみたいだ。奥ちゃんが、「右、左…」と教えている。

 午後5時前、ホテル着。奥ちゃんも一緒に降りて、章くんの部屋に荷物を置き、一緒に「オーサーズ・ラウンジ」へ出かけた。

← 昼間のロビー。大きな花が活けてあった。

 「オーサーズ・ラウンジ」とは、サマセット・モームなどオリエンタル・バンコクを定宿とした作家たちが宿泊したスゥイート(彼らの名前を冠した部屋があるその一角をオーサーズ・ウイングという)にあるティラウンジだ。午後6時までは、アフターヌーン・ティタイムである。



    植民地時代を模したハイセンスなインテリア →

 章くんが宿泊しているタワー棟からは、中庭を歩いていってもいいし、ジム・トンプソン・シルク店などが並ぶ廊下を通っていってもいい。
 「いちど、ここでお茶してみたかったんだ」と奥ちゃん、結構ミーハーだ。 
アフタヌーン・ティ 
550バーツ、予約不要



 その奥ちゃん、紅茶をオーダー。章くんは、この時間からではちょっと重いかと思いながらも、「アフタヌーン・ティー・セット」を頼んだ。
 ピアノの生演奏が流れる中、白い籐の椅子や花柄のソファーに座って、緑色濃い庭を眺めながら、イギリス風アフタヌーンティーを満喫する、優雅なひと時である。
 芥川賞作家の辻 仁成「サヨナライツカ」に、このオーサーズ・ラウンジが描かれていたことを思い出した。、立場や体裁を気にしない奔放な愛欲に身を委ねる真山沓子を抱えて、東垣内豊はこのウイングの階段を上る。日本で待つ婚約者光子との結婚を控えながら…。


 午後6時過ぎ、奥ちゃんと一緒に街へ出かけた。『やっぱりバンコクへ来たからには、パッポン、タニヤへ出かけなきゃ』と、タクシーに乗ったわけだ。今から街をぶらつくから、奥ちゃんのクラブは章くんの部屋に置いたまま…。明日、章くんがタクシーに乗るとき、自分のクラブとともに持っていけばいい。
 タクシーの中で、昨年の冬から住み始めた奥ちゃんのバンコク・ロングステイの様子を聞いてみた。奥ちゃんは、日本人居住者が多く住むスクムビット地区にあるコンドミニアムの11階、4LDKの部屋にひとりで住んでいる。スカイトレイン(BTB)のプロンポン駅からすぐで、日本の食材を多く扱う「フジスーパー」のほか、日本料理店、日本版レンタルビデオ店などが近くにある。
 部屋の掃除やベッドメーキングなどはホテル同様のサービスが受けられるし、キッチン、冷蔵庫、電子レンジ、テレビ、ステレオ、ビデオなどが完備、ケーブルテレビ(NHK受信)、インターネット回線も引かれている。家賃は2万5千Bt(約7万円)だとか。
 タイでの日常の食事はこぎれいなレストランで180Bt(約500円)、ローカルレストランや屋台ならば100Btでもおつりが来る。病院は日本の大学医学部を卒業した医師(日卒医)がたくさんいて、日本語が通じる病院がバンコク市内には5つ以上ある。基本の生活費は、月額20万円ほど。あと、ゴルフや飲み代に、ン万円を要するといっていた。
 「ビザの切り替えに、3ヶ月に1回は国外に出なくちゃならないのだろう」と聞くと、1998年8月からノンイミグラントビザという、滞在可能期間が1年でタイ国内での延長も可能なビザが発給されているのだそうだ。タイ国内の銀行に80万Bt以上の銀行預金残高があることが条件だとか。
 こうして奥ちゃんは、今やすっかりタイの住人だ。優しく親切な人々の中で、気楽なバンコク・ロングステイ生活を満喫している。
 たくさんの夜店が並ぶハッボン通りは、相変わらずの賑わいである。章くん、例によって店の子が1枚800Btだと言うゴルフシャツを2枚500バーツで買ってきた。例年よりも高い買い物をしたみたいだ。
 少し歩いて繁華街を過ぎたところ、ルンピニー公園のすぐ裏手にある、知る人ぞ知る「源利(ウォンリー)大飯店」に入って食事にした。
 店先に並んでいる新鮮な魚介類を選んで、好みの調理法を依頼する。店内には大きな写真パネルが飾られているから、それを指差して注文してもよい。

焼いてもらった有頭エビ
トム・ヤン・クン
エビと春雨の土鍋
プー・パッポン・カリー

 この源利大飯店に来たら、避けて通れないのが、定番料理のトム・ヤム・クンだ。本格的な味付けで、タイに来たんだという充実感が味わえる。辛さはお好みで注文できるから、辛いのが苦手な人はそう言えばいいが、せっかくの本格的なタイ料理を味わうことができるのだから、辛く酸っぱいこの味を楽しんではどうだろう。
ソムタム(パパイヤサラダ)

 店先に並んでいたエビくんはまず焼きエビ、そして春雨と一緒に煮てもらった。カニくんはご存知プー・パッポン・カリーで、白飯を取ってまぶして食べた。プー・パッポン・カリーの食べ方は、これが一番旨いと章くんは気に入っている。

 源利大飯店という中国語の店名から、味は中華風かと思いきや、バリバリのタイ料理である。旨い、辛い、そして安い…、上の料理にソムタム(パパイヤサラダ)、ビール、ウーロン茶で2人前合計1100Bt(約3000円)。


 明日は5時には起きなくてはならない。今朝は早かったし、これからタニヤのクラブへ繰り出そうかという元気は、最早やない。「じゃぁ、明日また」と奥ちゃんと別れ、章くん、満腹のお腹を抱えてタクシーに乗り込み、「オリエンタル・ホテル」と告げた。


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