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【199】 中国の狙いと日本の覚悟 -この国にどう立ち向かうか-  2010.10.30


 ベトナム・ハノイで開かれている東アジア首脳会議において、中国がセットされていた日中首脳会談を一方的にキャンセル…。日本側は、何とかその実現に漕ぎ着けたいと懸命だが、中国は「会談が実現しないのは、日本側に全ての責任がある」と相変わらず強硬である。


 日本のマスコミは、「日本を一方的に強く非難することで、反日感情が沸騰する国内の「ネット世論」向けに対日強硬姿勢を示す狙いがあるとみられる」と報じているが、見方が甘いんじゃないか。
 中国は、尖閣問題への対応を見てもわかるように、はっきりと東シナ海を自国の勢力圏に置こうという意図を持って、戦略的な対応に出ているとみるべきだろう。中国国内の反日デモは、中国政府が後ろで操っているヤラセであって(政府の黙認がなければ、一党独裁の中国でデモは行えない。無許可でやれば、全て反政府運動である。)、『中国国内世論が納得しないから、尖閣にせよ、春暁ガス田にしても、対日強硬姿勢を貫かねばならない』という理由付けのために行わせているのである。
 全ては中国の言いがかりであって、日本は毅然と言うべきことを言っていればいい。黙っていれば、そのことを認めたことになる。『尖閣は日本の領土だ』と言ったがために中国との仲がこじれるのならば、こじれさせることだ。こじれた向こうにこそ、真の解決策がある。
 

 今、日本のほとんどの民放テレビ局が、放送法で認める外国人株主枠20%を中国資本に買い占められているという事実をご存知だろうか。中国共産党が、わが国のテレビマスコミの大株主なのだ。NHKもトップのNo.1と2は、中国に市場を持つアサヒビールとトヨタ自動車の出身である。また、中国の国営放送「中国中央電子台」(CCTV)の日本支局は、NHKの建物内にあるのだ。
 新聞社の株の保有についても、同様の懸念がある。これでは、日本国民に、中国問題の真実を伝えることは無理というものだろう。
 テレビ・新聞の報道が、中国に有利な内容になることは無理からぬことを、ご理解いただけるだろうか。さらに言えば、中国問題でも、マスコミを信用するなということである。


 そして、中国に大きな市場を持つ経済界だが、彼らの腰が引けていることは情けない。国益よりも、企業の利益が優先するのだろうか。金銭を稼ぐためには、国家の正義をなげうてと言っている。日本を代表する企業のトップが言うべき言葉かどうか、今一度、大儀に照らして考えてほしい。きっと、あまりの恥ずかしさに、わが身を隠す穴を掘り始めることだろう。
 中国みたいな国に、企業経営を委ねていては、いずれ必ず大きなドンデン返しを覚悟しなければならないだろう。中国は、一党独裁、人治主義、判断は個人の裁量なのだから、コネと賄賂が横行している国である。治めているのは、国際法の解釈も、ましてや信義などというものは、勝ったものの元に付いてくると公言してはばからない中国共産党である。日本企業に対する原料供給制限・労働争議・営業停止・接収などは、朝飯前だと覚悟しておかねばならない。現に、中国に進出した台湾人実業家が独立派だったという理由で、設立した会社で労働争議を煽られ、倒産に追い込まれたという事実がある。中国でひと稼ぎをもくろむならば、いつでも裸に剥かれて放り出される覚悟を持って臨まねばならない。
 日本企業は、海外の生産拠点を、中国以外のタイやベトナム、またインドなどへ移し、政治的連携も視野に入れて、これらの国々と手を結ぶことを考えるべきである。中国バブルは、いずれはじける。


 そしてもうひとつ忘れてはならないことは、中国は1949年にチベットへ侵攻し、そこを押さえたのちインドとの間に中印国境紛争を起こしている。69年には、ソ連の防衛力の薄いウスリー川で中ソ国境紛争を起こし、79年にはベトナムに進出して中越戦争を戦っている。アメリカ軍がフィリピンから撤退したのを機に、今度は南シナ海の領有を主張し、海軍艦艇に実弾を使わせベトナムやフィリピンの監視船を追い払っている事実だ。いずれも領土(領海)の拡大と確定のための戦争であり、その延長線上に、尖閣問題があることを、日本政府も日本国民も肝に銘ずるべきである。
 中国は、外交的解決を図ることはしない。譲れば、踏み込んでくるだけである。菅政権のように、「静かなる外交の勝利」なんて負け犬の遠吠えを言っていては、尖閣列島は守れない。早晩、中国の軍艦が哨戒して、中国漁船がひしめく海となるだろう。
 日本国民は、覚悟を決めて立ち向かわなくてはならない。政治も経済も、何よりも国民が、ひとつの国家意思を明確に掲げて、『日本は譲らない』ことを中国と世界に知らしめることが求められている。




【198】 尖閣問題について -【雑記帳】より-   2010.10.29


 尖閣問題について、【雑記帳】に断片的に記したものを集めました。


10月29日(金) 腰を据えろ民主党  ちょっと、八つ当たり気味(苦笑)!


 中国にへつらい、翻弄される民主党政権の無様な姿については、もはや今更繰り返す必要もないが、党の「綱領」も定められない烏合の衆…、それぞれがいろんなところで好きなことを言っている混迷振り…、思いつきで政策を決めている(CO2の25%削減など)あやうさ…などなど、情けないことはこの上もない。
 事業仕分けは、その情けない党の一大パフォーマンスで、捻出できる金額の少なさは残念なところだが、公開の場で、国民の血税を無駄遣いする官僚たちを正義の執行人が滅多切りにする政治ショートして、国民受けするイベントと位置づけられている。
 ただ、個人的な嗜好で言わせてもらえれば、このショーを演出する民主党が、「蓮舫」なんて襟を立てた洋服を着て国会内を歩いている女性議員の人気にぶら下がっているのも、足腰が定まらない、みっともない話だと思う。自立しろ!


 襟立てファッションは、日差しを避けるためにポロの選手がシャツの襟を立てたのが発祥だとか…。日も差さない国会内で、何で襟を立てる必要があるんだ。だいたい、襟立てには、ぶっとい金のネックレス、キンキラキンの時計、がに股歩きで、好きな歌手は北島三郎…という印象があるんだけれど。
 これは、蓮舫議員のファッションセンスを問題にしているのでも、ましてや人格を攻撃しているわけでもありませんから誤解のないように…。表現は自由です、ただし、襟立てには、国会内でのファッションショーと同じように、多くの国民にとっては違和感があることも事実かと思いますが…。




10月28日(木)
 尖閣島事件のビデオ 2


 政府が衆院予算委員会に提出した尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件のビデオは、約6分間に編集された要約版であるという。編集することに、何の意味があるというのか。とにかく中国のお怒りを買いたくない管・仙石内閣は、あたり障りのない部分を抜き出して編集してくるだろうが、それでも中国からは、『日本に都合の良いところばかりを取って編集した、捏造版だ』との声があがるに決まっている。だから、一切手を加えない、無修正のビデオを提出すべきだろう。それとも、中国に『捏造版だ』と主張する根拠を提供したいのか。
 民主党は、提出されたビデオ(DVD)を、予算委の理事ら限られた国会議員だけで視聴するよう主張しているらしい。その意味も、中国に対する配慮なのか。いったい、日本か中国か、どちらを向いて政治をしている政党なのか。
 無修正のビデオを一般に公開し、日本国民のみならず、世界の人々に、事の真相を知らしめるべきだろう。日本と中国のどちらが正当なのかの判断を仰ぐことだ。その場合、尖閣列島は古来から日本固有の領土であることを、世界に向けて知らしめておくことを忘れないように…。




10月27日(水) 尖閣島事件のビデオ


 政府は今日、横路衆院議長に尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件を撮影したビデオ提出した。その取り扱いについて、与党は衆参両院の予算委理事に限った公開を提案したが、自民党などは「国民に公開すべきだ」と主張している。
 中井洽衆院予算委員長は記者団に対し、「公開するためにビデオを取り寄せたわけではない」と述べ、全面公開に否定的な考えを示した。(読売新聞)


 じゃあ、何のために取り寄せたんだ。納得のいくように説明してみろ!




10月18日(月) 中国の反日デモへのコメント  -軽薄なコメンティター-



 朝、テレビを見るともなく見ていたら、テリー伊藤という司会者が中国で起こっている反日デモについて、「日本や日本国民が反応してはだめなんです。知らん振りしていれば、そのうちに沈静化していきますから」とコメントしていた。なんという無責任な発言をする司会者か(怒!)!
 こんな態度が、これまでの日本外交をいかに柔和にいがめてきたことか。テリー伊藤は、ちょっと強面(こわもて)で、芯のある発言をするコメンテーターだと思ってきたのだが、やっぱり日和見で、お笑い芸人の先走りであったのか。
 「言わなければならないことは、摩擦や対立を恐れずに言う」のが大切であることを、彼は学んでいない。言うことは勇気が要るし、誰も好んで喧嘩はしたくないだろう。しかし、言わなければ暗黙の了解をしたことになるという国際政治上のルールを、彼らはまだ知らない。
 耳障りの良い大人のルールをもっともらしく説く言動が、戦後日本をどれだけ歪め…どれだけ貶めてきたか…。その犯人が、ここにもいた!


10月2日(土)  問われる日本外交  - 今度は、北方領土 -


 タス通信によると、ロシア大統領府高官は10月1日、メドベージェフ露大統領の北方領土訪問は「直近の訪日の機会に合わせるのが適当だ」と一部記者団に述べ、11月に横浜で開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に出席のため、訪日する前後の北方領土訪問を検討していることを明らかにした(読売新聞)とある。
 中国の恫喝に近い対応に何らの有効な手を打てず、「日本『降参』」と評される(韓国日報)ほどの言いなりのまま、逮捕した船長を釈放した日本政府の弱腰かつ無策振りに、日本組み易しと見たのだろう、今度はロシアがあからさまな外交的圧力をかけてきた。先月27日、北京の人民大会堂で、中国の胡錦濤国家主席とロシアのメドベージェフ大統領との中露首脳会談が行われているから、当然、対日政策について協議しているだろうが、中露の協調によって、まさに「溺れる犬は打て(魯迅)」という、国際政治の現実を突きつけられたわけである。
 豊富な石油・天然ガス資源を背景に景気回復を遂げたロシアに、もはや北方領土を日本へ返還する意志がないことぐらい、誰にでも判ることである。今の日本には、取引材料がない。なぜ、ソ連崩壊時の混乱期に、経済協力の取引の中で返還実現への実効的な手立てを講じなかったのか、今になって悔やまれる。
 加えて、菅政権の子どもじみた国際外交を好機と見たロシアは、北方領土の支配を既成事実として確定しようとしている。外務省は、メドベージェフ露大統領の北方領土訪問を中止するよう要請しているというが、ロシア側は、「外部からのアドバイスは不適切で受け入れられない」と拒否するとともに「ロシア連邦の領土である」と強調している。
 日本としては、歴史的経緯を世界に発信し、日本固有の領土であることを証明して見せることが必要であろう。ロシアの占拠は不法であることを、世界に訴え、納得・指示を得ることだ。
 尖閣問題については、仏紙ル・モンドが「粗暴な大国の顔をさらした」と中国の態度を批判する社説を1面に掲げたり、東南アジア諸国にも中国の強圧的な恫喝を警戒する動きが出ているが、それを国際世論として高め、中国やロシアの自粛を促す材料に仕上げていくことが肝要だろう。


追記. テレビ(どこの放送局だったかは忘れた)を見ていたら、「今回の対中国外交についての世論調査結果を伝えていた。「不可」とするもの76%とあった。ということは、「可」とするものが24%もあったということか。約4分の1の人が、いずれ日本が中国の一部となっても、争いを起こすよりは良いと考えているのか? 「わからない」というものが、20%ぐらいはあったと思いたいが…。


9月30日(木) どーなってる、菅内閣?  


 民主党の細野豪志前幹事長代理が29日北京入りした。日中関係の改善を探る目的とみられていて、首相周辺からは菅首相の親書も携えていると伝えられている。ところが、菅首相は29日、細野氏の中国訪問について、首相官邸で記者団に「全く承知していない」と述べた。一方、前原外相は首相官邸で記者団に「政府の判断ではない」としながらも、「数日前に、『行く』というのは聞いていた」と語り、政府が今回の訪中計画を知っていたことを認めた。(読売新聞)
 菅政権は、「外交は機密」をもてあそんでいるのか。見え見えのウソを、外交だから許されるのだと堂々と言っている。検察の船長釈放に政治介入は一切なかったという答弁も、国民に信じろというほうが無理だ(検察がそんな判断をできるはずがない)し、あるいは始めからウソであることは認知されることを前庭に行った処理であったのか。
 細野豪志が中国入りして、何ができるというのか? 中国で誰と会ったのかも言えないなどとしているが、言えない人と会っていたのか…というのはジョークとしても質が低いことは認めねばなるまい(苦笑)。
 この政権のやることは、小手先のごまかしだ。政治に芯がないし、日本をどうしたいのかという姿が見えない。これで、民主党の政治や政権をを信頼しろというのは無理な話である。
 尖閣問題でコメントする中国の明確さと迫力に比べて、菅・仙石の言葉の不明瞭さや態度の頼りなさを見れば、これじゃ日本の舵取りを任せられないと、誰もが思うだろう。



9月26日(日) 僕、日本を捨てるぞ! 


 中国船の拿捕事件をのに経緯を見るにつけ、僕は日本国民であることが嫌になった。こんな恥知らずな政府を擁する国の国民であることには耐えられない。
 領海侵犯した中国の漁船に海上保安庁の警備船が体当たりされ、それを捕まえたら恫喝されたので、縮み上がって釈放したという情けなさだ。日本の法律で裁けないのならば、尖閣列島が日本固有の領土だなんて主張は、ハナからなかったことになる。僕たちは、たいへんな政権を選択してしまったのかもしれない。
 いずれ近いうちに日本は中国の強い影響力の傘下に入るだろうから、こんな誇りのない政府の国には愛想をつかして、アメリカか、カナダか、スペイン、ポルトガルあたりの、情けない日本の姿を見なくて済むところへ移住しようと思う。冬場は、先日行ったタイのチェンマイあたりでもいいかな。
 では、今回のような中国のゴリ押しがまたあった場合には、どのように対応すればよいのか。今後の課題を挙げておく。
 ① まず、日本は原子力潜水艦を5~10隻建造して、世界の海に遊弋(ゆうよく)させることだ。もちろん核弾頭を積載してだが、「いや、積んでいません」と言っておけばよい。戦争をしろと言うのではない。戦争に備えるためと言うのでもない。攻められないためである。日本を攻めれば、その国も壊滅しますよという形を整えるのである。これで、いかなる事態になっても、日本に手出しする国はなくなる。
 ② 理不尽は、日本は断固許さないという態度を貫き通すこと。これで、日本に理不尽をふっかける国はなくなる。領海侵犯は必ず拿捕することを、知らしめることだ。
 ③ 原材料、資源、食料など、外国(特に理不尽を平気で押し通す中国)に依存する体質を改めること。工業の形態や国民生活のある部分を変えていかなくてはならないだろうけれど、それはみんなで耐えていかねばならない。(円は1ドル90円に戻してもらわなくては…なんて言っている経済界の誰かさん、頼るのは自力ですよ。) 売りたいというところから買えばよいし、買いたいと言うところに売ればよい。
 今のように中国のレアメタルがなければ産業が成り立たないなどというのは危機意識の欠如だろう。中国はこれがカードとなることを確認したのだから、今後はことあるごとに輸出ストップを繰り返しチラつかせることだろう。
 今回、中国が行ったレアメタルの禁輸については、WTO(世界貿易機関)に提訴すれば、日本の勝訴は間違いない。だから今、中国は禁輸の指示はしていないと国家としての関与は否定している。しかし、勝訴しても実際に入ってこなければ日本の関連産業はストップするのだから、産業構造の変換や技術革新が望まれるわけである。
 ④ 世界の国への発信を、より強化すること。今回も、中国の理不尽・横暴を日本はもっと世界へ発信し、世界世論を味方にするべきだった。大東亜戦争下の南京事件や慰安婦問題なども、日本は本腰を入れて「そんな事実はない」と説明すべきである。日本は情報戦においても、彼らの後塵を拝していることを猛省すべきである。
 今回のフジタの社員のように人質を取られたら、その理不尽さを声を大にして世界に訴えなければならない。それでも中国が返さないと言うのならば、返せと粘り強く交渉するしかない。もし万が一、不幸にして処刑されたりしたら、国家というものの非情さを呪いつつも受け入れるしかない。中国という無法国家へ立ち入ったのが、不幸だったのだとして…。
 

 章くんに、日本に居てほしければ、以上の4点を実行すること!
 (「いい機会だ、出てけ!」と言われそうだなぁ(苦笑))



【197】 民主党新政権、中国の恫喝に全面降伏           2010.09.24
  - やっぱり、やってくれたか…。世界が注視する中での、赤っ恥外交! -
  

 沖縄・尖閣諸島沖の日本領海内での中国漁船衝突事件で、那覇地検の鈴木亨次席検事は、公務執行妨害容疑で逮捕され、拘置中の中国人船長について、処分保留のまま釈放すると発表した。国民への影響や今後の日中関係も考慮して釈放を決定したと説明、決定については「福岡高検、最高検と協議して判断した」と述べた。(読売新聞)


 昨日僕は、『 …。菅内閣は一丸となって日本の正当性を貫かねばならない。心配は、赤い官房長官と揶揄される仙石由人の腰砕けと、… 』と書いた。まさか、翌日にはその心配が的中するとは思いもせずに…。
 仙谷官房長官は記者会見で、ひたすら「地検の判断」を繰り返し、政治の介入を否定した。誰がそれを信じるというのか。ことは、検察が判断することではないし、また独自でできることではない。検察は法律の定めるところに乗っ取って厳しく是非を問うべきところであって、政治的要素を加味して罪状を加減してはならないことは、検察官自身がよく知っているはずである。もし、検察の判断が、法律に拠らずに、他の要素でなされるならば、これほど危険なことはない。同じ犯罪で、あるものは有罪、あるものは無罪だ。
 検察は、政府中枢から、検察サイドの判断ということでこの事件の幕を引いてくれ…と話を持ちかけられたのである。村木局長冤罪事件では、取調べに当った主任検事が証拠品を改竄するという大失態を犯した検察は、上層部への責任追及は免れないところであった。それを、「責任が最高検まで及ばないようにするから、ここは検察の判断ということで…」という取り引きだったのだろう。これからの検察への責任追及を見ていれば、ことの筋書きは見えてくる。責任の追及は大阪高検までで、しかも当人たちの職歴や将来には何の痛痒もない、軽微なものになるはずだ。


 昨日は、『この問題は躍進する中国が周りの権益を取り込んでいこうとする動きに、日本はどのように対抗していくかと、世界が注視している。特に、尖閣列島と同じような海洋領有権を中国との間に抱えている国々は東南アジアにも多くあって、その国々も日本の対応を熱く見守っている。』とも書いたが、「中国人船長の釈放を決めたことについて、海外のメディアも24日、次々に速報した。いずれも大きく取り上げており、国際社会も展開を注目していたことを印象づけた」(日本経済新聞)と報じられている通り、日本は世界各国の失笑を買っている。
 韓国のメディアは、「日本、中国に降参宣言」「圧力に弱い日本外交」と嘲り笑って報じているとおり、東南アジアの各国も、この日本の醜態には軽蔑以外の何ものも示しえまい。昨日、前原外相との会談で、「尖閣は日米安保の適用範囲」と明言した米国クリントン長官も唖然としているのではないだろうか。手を取り合って、極東の安全保障を構築していく相手ではないことを、改めて確認した思いで居ることだろう。


 菅首相は国連出席という不在中…。未熟者内閣の新政権で、仙石内閣と言われるほどの存在感を示している、官房長官の仙石由人の判断と裁量でなされたことだろうが、日本を背負う覚悟のない、歴史観もない、政治的能力すらない、ただ調整だけで政界を渡ってきた男に、ことの成り行きとはいえ、権力を集中させたのが不幸であった。未熟者の寄せ集めの新所帯ゆえの不幸であった。
 こうした案件に直面すると、覚悟のないものは思考停止になるのだろう。ましてや相手の要求がエスカレートし、恫喝されると、とにかく事件の幕引きをすることばかりしか考えられずに、ただオロオロと頭を下げて、相手のいいなりになってしまう。そのことが、どれほど日本の誇りを傷つけ、世界の国々に軽蔑され、国の将来に禍根を残すかは、全く考えが及ばないのだろう。ただひたすら、目の前から厄介ごとが一刻でも早く消え去るように、そのための処理策しか考えられないのだ。
 このままでは、「菅 直人ではやっぱり無理か」と国民は見放すだろう。小沢切りで、支持率をV字回復させた菅内閣である、ここは仙石切りで国民の納得を得るか? 罷免する材料は、表立ってはないか…。だったら、「辞めてくれるか」と言ってみたらどうだろう?
 今の菅に仙石を切れるわけもないからもちろん冗談だが、エスカレートする中国の要求に一番アタフタしていたのは、首相の菅 直人だったともいう。だとすれば、「あとのことは、お任せしますから、よろしくお願いします」と言って、国連総会行きの飛行機に乗ったのか。
 もう、中国漁船が伊勢湾に入ってきて伊勢えびを獲っていても、捕まえることはできないなぁ!
海上保安庁は、こんな政府のもとでは、アホ臭くて真面目に仕事はできないだろう。
 これにて幕引きと考えているのならば大間違いだ。腰が抜けている民主党新政権の正体を見抜いた中国は、さらに要求を出してくるだろう。民主党政権のうちに、尖閣列島は中国領になるね。やっぱりこの国は、政治家がアホやから救われない。



 余談ながら…、今、猪狩俊郎著「激突!」を読んでいる。猪狩俊郎は、新井将敬元衆議院議員や竹内藤男元茨城県知事の収賄疑獄事件で検察と対峙し、暴力団がらみの事件に毅然と対したヤメ検弁護士である。今年8月下旬、訪問先のフィリピンのホテルの一室で死亡した。大量の睡眠薬を飲み、手首を切った死を、マニラ警察署は自殺と断定したが、扱った多くの事件が暴力団関係であったことから、他殺説もささやかれている。
 この本の一節に、オリエント・コーポレーション社の社員が顧客情報を持ち出し、暴力団に渡したという事件が書かれている。暴力団はその名簿をオリコに持ち込み、「会社の管理が甘いんじゃないのか」と脅しをかけてきて、相談を受けた猪狩は、暴力団と交渉する。さまざまな脅しや嫌がらせにひるむことなく粘り強く話し合いを重ね、「3億円で買い取れ」と言う相手の言葉を引き出した彼は、オリコに断固相手の要求を拒絶させると同時に直ちに恐喝で刑事告訴させ、情報を持ち出した社員を含め、暴力団の関係者全員を実刑に追い込んだ。
 『この事件をきっかけとして、オリエントコーポレーションは暴力団など反社会的勢力に対して毅然と対峙し、容赦なく法的措置を取る会社として裏社会から恐れられ、内部的には不祥事・違法行為に手を染めたものは容赦なく懲戒解雇にするという企業姿勢を確立させたことで知られる存在となった』と書いている。
 この部分の暴力団を…失礼ながら中国と置き換えれば、今回の事件と構図がよく似ていて、こうした相手にはどのように対処しなければならないかも、自ずと解るというものである。この手の連中は、一度味をしめたら必ずまた同じ手口を繰り返すことも、忘れてはなるまい。




【196】 腹を据えろ、日本外交               2010.09.23
   - 試される、民主党政権の覚悟と能力 -


 尖閣諸島(中国名・釣魚島)沖の日本領海内で起きた中国漁船衝突事件は、中国漁船船長の逮捕拘留に対して、中国は激しい反発を見せ、即時返還を求める度重なる政府広報官のメッセージ、丹羽中国大使を休日深夜を含む5回呼び出しての抗議、東シナ海のガス田「白樺」の開発交渉の延期通告と中国独自の開発推進、省エネ家電やハイブリッド車(HV)の部品に不可欠なレアアース(希土類)の日本向け輸出の停止通告、その他の報復措置を次々と打ち出している。そして、日本(奈良市)で開催したアジア太平洋経済協力会議(APEC)では張西龍中国家観光局副司長が、また、国連総会では温家宝首相までもが、「日中関係は深刻な問題に直面し、責任はすべて日本側にある。事態の解決は、船長の無条件即時釈放のみ」と国際会議の場で発言し、事件は世界各国が注目する事態となった。
 さらに今日、中国は、河北省石家荘市で日本人4人が同省内の軍事管理区域に侵入し、不法に「軍事目標」をビデオ撮影していたとして、国家安全当局が4人の身柄を拘束し取り調べていると発表した。読売新聞によれば、この取調べは中国人船長の拘置が延長されたことに対する報復の可能性があるという。
 ことここに至っては、日本は腹を決めることだ。これまでも、日本の領海内で起こったことだから、「日本の法律に従って粛々と処理する」態度を貫いてきたが(ただ、先日の仙石由人官房長官の『政府高官級のトップ会談によって解決を』という提案はお粗末に過ぎる)、これからは国家間の戦いを交える覚悟を辞さないことだ。
 戦い…といっても、武力衝突を前面に出して外交交渉を行えというわけではない。講談社+α新書「自衛隊はどこまで強いのか」(田母神俊雄・潮匡人)によると、「今はまだ勝てるけれど、5年後には逆転する」とあるから、今のうちに…というのは冗談としても、大使の召還…といった事態になっても辞さないという覚悟を示して、これからの事態に臨むことが肝要である。中国がこの時期に強硬すぎる態度を崩さないのは、鳩山前政権の迷走で日米関係がギクシャクしていることをチャンスとし、民主党新政権の覚悟と能力を試そうとしているからである。
 今日のテレビで、中国からの団体客が何千人もキャンセルになったというホテルの社長が、「大きな日本の国益のためには、我慢して乗り越えなければならないことでしょう」と語っていたが、まさに今、日本は一体となって、日本の国益と誇りを守る戦いに臨まなければならない。


 尖閣列島の領有については、日本政府が尖閣諸島の領有状況を1885年から1895年まで10年をかけて調査し、世界情勢を考慮しつつ、いずれの国にも属していないことを慎重に確認したうえで、1895年1月14日の閣議で決定して沖縄県に編入としている(現在は石垣市に属する)。国際的にも日本の領土と認められ、日本人の入植も行われてきた。 アホウドリの羽毛の採取や海鳥の剥製の製作、そして鰹節の製造などが行われたが、鰹節工場は閉鎖され、1940年に無人島となった。
 無人島になってからも日本の実効支配は継続している。第二次世界大戦後は一時連合国(実質的にはアメリカ合衆国)の管理下に置かれたが1972年に沖縄県の一部として日本に返還されている。
 中国および台湾は、尖閣諸島を実効支配していないものの、1895年4月17日に締結された下関条約(馬関条約)は侵略戦争によって強引に結ばれたものであるなどとして領有権を主張し、台湾省宜蘭県に属するとの立場をとっている。しかし、日本が自国の領土であると主張した時期(1月14日)と下関条約が結ばれた時期(4月17日)は明らかにずれていて、中国および台湾の主張は成立しない。


 中国こそ、周辺地域を無法に侵略してきている。チベット・新疆ウイグル自治区・内モンゴルなどの地区を、国際慣行を無視して理不尽に領土としてきたことを忘れてはならない。例えばチベットは、清朝の時代には同盟国としての対等外交をしていたのに、1950年から1951年にかけて中国人民解放軍は突如としてチベットへ侵入した。中国側はこれを「西蔵(西チベット)和平解放」と呼んで、正当性を持たせようとしている。
 中国の侵攻は、常に要求を小出しにし、相手が強い反発をしなければそれをエスカレートさせ、その要求事項を既成事実化していくやり方だ。国際政治はほとんどがそんなものだといえばそうなのだろうが、お人よしの日本は譲れば相手も理解を示すと今なお思っているのではないか。
 先に書いたように、この問題は躍進する中国が周りの権益を取り込んでいこうとする動きに、日本はどのように対抗していくかと、世界が注視している。特に、尖閣列島と同じような海洋領有権を中国との間に抱えている国々は東南アジアにも多くあって、その国々も日本の対応を熱く見守っている。
 韓国は、東シナ海での中国漁船の取り締まりに厳しい態度で臨んでいて、近年、年間5000人もの中国漁民を領海侵犯・不法漁業で逮捕し、200~400万円の保釈金を徴収している。韓国海洋保安部は、「これからも断固取り締まる」との態度を崩していない。一貫したその態度に、中国政府は抗議の声もあげていない。法律は韓国の正当性を認めていて、抗議することに何の意味も無いからである。
 しかし、日本は強硬な態度を示せばすぐに折れることを、彼らは今までの経験から知っている。日本固有の領土でありながらロシアに実効支配されている北方4島はロ敗戦以来、そして、竹島も1952年の李承晩(当時の韓国大統領)による一方的な領有宣言以来、彼らによって実質占拠されている。北方4島の返還はすでに65年の間、何の進展もなくロシア領になってしまおうとしているし、竹島は韓国の一方的な領有宣言によって、日本の領土であると言いながらここで操業してきた日本漁船328隻が拿捕され、日本漁民44人が殺傷され、3929人が抑留されてきたのである。
 稚拙な外交は、いかに国民を悲惨な境遇に落とすかを如実に示す実例である。今日までの日本外交は、いたずらに国益を損ね、国と国民の誇りを貶めるものであった。政治家や外交に携わる者たちの能力・覚悟が足らなかったといってしまえばそれまでだが、国民の意識も、屈しない外交を支えるものとは言い難いところがあったことも事実だろう。
 中国は中華思想(中国こそ世界の中心であって、周辺地域は野蛮な属国だとする思想)を何千年も保有し、国家を形成してきた。だから、周辺の国々に対する論理は理不尽である。中国が現在、東南アジアの国々と揉めている南シナ海の西沙・南沙・東沙・中沙諸島の領有権問題も、1992年、突然に大陸棚は自国の領土の延長と一方的に主張し、領有権を宣言したのである。反発したASEAN諸国は抵抗したものの、時には軍艦をも出動させて中国漁船の出漁を守り、今ではそれを既成事実化しようとしている。だから、日本の今回の対応は、ASEAN諸国にとっても他人事ではなく、日本がこの問題を毅然とした態度で処理すれば、西欧列強の勢力を阻止してアジアに希望をもたらした日露戦争以来の快挙として、彼らに勇気を与えることとなる。
 菅内閣は一丸となって日本の正当性を貫かねばならない。(心配は、赤い官房長官と揶揄される仙石由人の腰砕けと、反日の旗を振ったことのある岡崎国家公安委員長だが、岡田・前原・枝野らも育ってきている(と信じたい)から、横路迷路に入ることはないと信じたい。)
 と同時に、国民のみんなにも、今こそ戦後教育の呪縛から脱却して、一致団結して中国の横暴に屈しない日本を形成していく決意を持ってもらいたい。『和を以って貴しと為す』ことは確かに美徳だけれど、理不尽を許すことは不徳であることに気づいて欲しい。中華の横暴を正し、国際政治の秩序を構築し、アジアの国々とともに歩んでいくことこそが、日本のあるべき姿なのだから、その実現に力を尽くしてほしいと思うのである。




【195】 どうしても納得のいかない 民主党代表選への小沢立候補   2010.08.28
         - 2ヵ月半前の引責辞任は 何だったのか-


 民主党代表選に小沢前幹事長が立候補し、菅首相が東京都内の中小企業を視察して、円高対策に取り組む姿勢を強調したのに対して、党の最大の支援組織である連合や全国郵便局長会などの幹部と会い、党員・サポーター票などの支持固めを訴えた。
 公務に縛られる菅首相の選挙運動に対して、小沢陣営は得意のドブ板を拡大した全国行脚で票を稼ごうとしている。選挙の通らしい作戦である。
 それにしても、小沢立候補には国民の8割が賛成できないとしており、最近の世論調査でも菅首相67%・小沢首相14%という数字が示しているように、今回の代表選への小沢立候補には民意は強い反対の意思を表している。それを押しての立候補とは、どういう説明が成り立つのか。
 その小沢立候補に、鳩山前首相が「小沢氏は政権交代を導き、私を首相へと導いた。その恩には恩返しするべきだ」として、『鳩の恩返し』と揶揄されながら、支持を表明している。
、鳩山前首相はつい2ヵ月半ほど前、「政治とカネで政治不信を招いた責任を取って辞任する。ついては、同様の責任を小沢幹事長にもお取りいただきたい」と迫って、ダブル辞任をした鳩山・小沢のご両人である。この80日ほどで、辞任しなければならなかった責任はクリアされたと考えているのだろうか。
 もし、選挙は数…! 小鳩連合で菅には勝てるから、総理の座を手にすればあとはこちらのもの…と考えての立候補ならば、国民と日本という国に対する冒涜だといわねばなるまい。
 今回の代表選は、所属国会議員・所属地方議員・党員・サポーター投票によるポイント制で争われる。民主党の代表選挙規則に定められている選出方法は、
となるが、現時点の党員サポーターがどのようであるのか、僕にはわからないので、申し訳ないのだが当落の予想は立てられない。
 ただ、国会議員の票が小沢候補に過半数流れたら、民主党はどうしようもなく堕落した党だと言わねばなるまい。引責辞任した原因が何ら解決されていない元幹事長を、国民の大多数の反対を無視し、自分たちの論理だけで担ぎ上げる身勝手さ…。未だ財源も示しえず、円高株安の喫緊の課題克服に具体策もない、この無責任きわまる政治に輪を賭けて、権力闘争だけを目的にして政治的空白を省みずに代表選にウツツを抜かす身勝手さ…。小沢立候補に、何の理(ことわり)があるというのか。
 全国の党員・リポーターが参加する代表戦だから、そこには権力闘争に歯止めをかける理性が働くものと期待するところだが、先日、旧社会党系の赤松グループがいち早く小沢支持を表明したように、組合や連合などの社会主義・全体主義勢力が小沢ファッショ体質と利益的接近を図れば、締め付けの組織選挙で票の掘り起こしを図ることだろう。今日の小沢前幹事長の連合や全国郵便局長会などの訪問は、その意図が明らかである。
 小沢サイドからは、圧倒的に不人気の世論調査に対して、「小沢さんは誤解されている。首相になって実績を示せば評価される」とか、「この難局だからこそ豪腕が必要」などと言った、独りよがりのコメントが聞こえてくる。国民が聞く耳を持っていると思っての発言だろうか。国民は、それほどバカじゃない。どんな政治を行うかは、3ヶ月前にとくと見せてもらっている。こんな国民を馬鹿にしたコメントをしている国会議員は、次の選挙では落選することだろう。
 川内博史民主党衆議院議員は、「小沢首相が誕生したら、普天間は海外への移転が実現する」などと、小鳩時代に当事者に幻想を抱かせ、国民を大混乱に陥れた政策を、また臆面も無く唱えている。


 小鳩グループで民主党の国会議員の4割ほどを占める。その他の議員の取り込みを行って、国会議員票では小沢有利となるのだろうが、無記名投票だから隠れ反小沢に期待したいし、先に書いたように、党員サポーターがどのようであるのか僕にはわからないので、当落の予想は立てられないけれど、何の根拠もない感触として、民主党の良識にも期待して、菅首相の再選となるような気がするのだが…。


 その後の民主党の前途は多難だ。まず、現在の円高・株安への無策に見られるように、大きな課題に具体的な政策を実行できるスタッフが居ない。ブレーンも議論は百出しても、腹を決めて責任を取る覚悟で政策を立案実行できる人材が見あたらない。まだ、素人集団の迷走は続き、国民の批判にさらされることだろう。
 そして、この代表選の結果を受けて、党は分裂…、政界再編の洗礼を受けねばならないだろう。自民党の中の理念の近いグループ、野党の中で強調できる勢力と、基本政策の刷りあわせをしっかり行い、日本の明日を拓く政権を樹立して欲しい。そのためには、やはり人間をしっかりと見極めることだろう。



【193】 朝鮮併合100年 反省とお詫びの首相談話      2010.08.08
    - 菅 直人も、亡国総理大臣であった -


 菅内閣は、韓国併合100年にあたり、1995年のアジア諸国に対する植民地支配に関する村山談話を踏襲し、「韓国への植民地支配について、痛切な反省と心からのお詫びを表明する」との閣議決定を行い、首相談話として発表した。
 この内閣も、歴史を学ばず、国際政治の現実を知らず、ただ謝れば相手は許すと考えている幼稚な集団であったのか。
 

 簡単に、朝鮮併合に至る道筋を振り返っておこう。


 『 朝鮮半島は、紀元前108年、漢の武帝によって衛氏朝鮮が滅ぼされて、漢の支配下に入った。約400年後の313年、高句麗が楽浪郡支庁を攻め、漢の支配を中国本土へ追い返しているが、三韓(1~2C)、三国(3~4C)、統一新羅(8~9C)などの時代を経て、10世紀以降に朝鮮を統一した高麗は、「962年 北宋に朝貢」、「1126年 金に臣礼」、「1259年 元に服属(文永・弘安の役では元軍の先鋒として日本に来襲)」、「1369年 明に朝貢」と、ほとんどの期間、中国の王朝に臣属してきた。
 その後、1392年、高麗の武将李成桂太祖(女真族ともいわれる)が恭譲王を廃して、自ら高麗王に即位して成立した李氏朝鮮は、翌1393年に明から権知朝鮮国事(朝鮮王代理、実質的な朝鮮王の意味)に封ぜられ、国号を朝鮮国と改めた。
 太宗の治世の1401年には、明から正式に朝鮮国王として冊封を受けた。だから、1592・97年に豊臣秀吉の出兵を受けたときは(文禄・慶長の役)、明軍の支援をあおいでいる。
 1637年 満州に興った清に服属し、以後、1895(明治28)年、アジアの安定のために朝鮮の独立を求めた日清戦争に日本が勝利するまで、清を宗主国と仰いで属国としての道を歩むこととなる。
 日清戦争で日本が勝利したことにより、日本と清国との間で結ばれた下関条約は、朝鮮に清王朝を中心とした冊封体制からの離脱と独立をもたらし、朝鮮は500年に及ぶ中国王朝の支配から、名実共に独立することになったのである。これにより朝鮮は1897年に国号を大韓帝国(だいかんていこく)、君主の号を皇帝と改めた。


 こうして独立を達成した韓国であったが、長年に渡り自国の経営に携わってこなかったこの国に自主独立の気力は無く、この後も清・ロシア・日本への依存を繰り返し、その迷走振りは新たな東アジアの火種となった。
 清に起こった義和団事件が満州を席捲したのに対して、ロシアは1900年7月から露満国境を越えて軍隊を送り、10月にはほぼ全満洲を制圧した。満州での露軍の行動は横暴を極め、「江東六十四屯虐殺事件(黒竜江東岸の満洲人村落64カ村を襲撃して民間人6000人を虐殺)」をはじめとする惨劇を繰り返している。この満洲占拠が、のちの日露戦争への原因のひとつとなるのだが、ここでは朝鮮問題に話を絞ることにして先を急ぐ。
 ロシアの勢力拡大を警戒するイギリスは日英同盟の締結を日本に提案し,1902(明治35)年1月、同盟が締結された。
 1903(明治36)年7月、ロシアは竜岩浦(鴨緑江河口)を軍事占領し、韓国を圧迫して竜岩浦租借条約を締結させ、ロシア軍を駐留させる。
 1904(明治37)年1月、日露関係が逼迫していく中で、すでに韓国政府に政治や軍事の顧問を送り込んでいたロシアは、韓国政府に「厳正中立」を宣言させる。日露が開戦したとき、日本軍の朝鮮半島進軍を封じておくための処置であった。
 (このころ、韓国政府はロシアの実質支配を受けていたのであって、日露戦争にもし日本が勝利していなかったら、朝鮮はロシアの衛星国のひとつとして、『コリアンスタン』となっていたことだろう。この点は、歴史のイフだから、()つきで記しておくことにする。)
 2月、日本が対露開戦の当初に旅順港・仁川沖などで勝利するや、韓国は親日に一変し、「日韓議定書」締結の運びとなって、韓国は日本の保護下に入ることになった。
 日本の保護下に入ることについて、ルーズベルト米大統領は「韓国は自分を守ることはできないから仕方がない」と書いているし、ランズダウン英外相は「韓国はひとりで立ち行く能力なきがゆえに、日本の管理と保護の下に入らねばならない」と書いている。米国の外交史家タイラー・ゼンネットは「長い間、海上に遺棄され、航海に脅威を与える舟のような韓国が、今、港に引き入れられ、しっかり固定された」と記述しているが、このように世界の認識は、韓国の日本による保護は東亜政局の安定にとってやむを得ぬ結論であると見ていたのである。

 1910(明治43)年8月、「韓国併合条約」が締結され、第一次日韓議定書が結ばれて以来6年6ヶ月の間、日本の保護下にあった韓国は、正式に日本に併合されることになった。』


 以上が、日本が韓国併合に至る、簡単な歴史的経緯である。10世紀以降、ずっと中国王朝に臣礼してきた朝鮮は、日清戦争に日本が勝ったことによって、やっと中国王朝の支配から離れて、「独立国」となったのである。
 しかし、その後も独立独歩で国を建てていくことができなかった(長年、属国であった習慣から、独立国としての国家経営とはどういうものかを知らなかった)朝鮮は、政府や軍にロシアの介入を許していく。もし、日露戦争に日本が勝たなかったら、朝鮮はソ連邦の中のいち共和国コリアンスタンとなっていたであろうことは、先に指摘したとおりである。
 独り立ちできず、清の勢力に頼ったり、ロシアの力を引き入れたりする朝鮮は、東アジアの火種であった。例えば朝鮮がロシアの支配を受ければ、日本の国防はたいへんに緊張したものとなる。朝鮮という国を維持するためにも、日本は朝鮮の併合を決意したのである。


 さて、日本は併合した韓国を植民地として支配し、搾取したのだろうか。いや、当時の韓国は搾取するほどの何ものも持ってはいなかったというのがホントのところで、日本は保護下にある韓国に対して、持ち出しで、国の形を整え、インフラを整備し、産業を興して、人々の生活を安定・向上させていったのである。
 例えば、濫鋳(らんちゅう)を繰り返して世界最悪と言われていた韓国通貨を、元大蔵省主税局長の目賀田種太郎を派遣し、良貨・良い偽造貨・悪い偽造貨・悪すぎる偽造貨の4つに分類できるとさえ言われていた朝鮮通貨を、非常な決意と苦心で健全化させている。また、当時、釜山から京城までしか開通していなかった鉄道を、鴨緑江を挟んで中国丹東市と向かい合う国境の街である新義州まで延長敷設してもいる。
 併合前の1880年ごろには藁葺き屋根の平屋建てが連なるソウルの南大門通りが、1935年ごろには近代ビルが立ち並び市電が走る街に整備されている。黄文雄氏(台湾人)の「日韓併合の真実」にもあるように、併合前の朝鮮とその後の朝鮮を比較してみれば、日本が朝鮮の近代化に果たしてきた役割は、大きな称賛をもって評価されるものだろう。
 ただ、歴史は、見方や立場によって、その評価を大きく変えることも事実である。初代朝鮮総督の伊藤博文は日本では明治の元勲であり、朝鮮では植民地支配の元凶である。(朝鮮は日本内地と同等の法律が適用され、人々の権利も守られる併合であって、現地人の人権も無く、法律も適用されないような植民地ではないのだが、日本の政治家も『植民地支配』と表現しているものがいるのは、不勉強すぎる。)その伊藤博文をハルビン駅で暗殺した大韓帝国の民族運動家安重根は韓国ではヒーローであり、日本ではテロリストである。
 韓国で行ってきた日本のさまざまな施策は、韓国の近代化に大きな役割を果たしたことは事実だろうし、清の属国でありロシアの実質支配を受けていた韓国は、日本の併合を経ずして独立は実現しなかったことも事実である。戦後の国づくりも、OECD加盟以来の経済成長も、日本の援助・協力があったからこそである。
 民族の誇りの問題だから、韓国民が日本への依存を認めたくない気持ちも理解できるが、上に記した歴史認識の違いを前庭としたとしても、韓国の今日の隆盛に日本の果たした役割が大きいことは、世界が認める事実なのである。
 韓国にこの事実を突きつけて感謝を言わせろなどと言うつもりはない。ただ、日本の政治家たちは謝罪を繰り返す必要がないことを、歴史の事実を学習することから認識せよというのである。
 ハングル文字を普及させたのも日本…、創氏改正は強制したものではない…、大量の日本への移住は強制でなく、朝鮮半島では生活苦にあえいで自主的に渡日した人たちが大部分だった…、慰安婦は職業的専従者がほとんどで組織的な強制連行は無かった…なども、近年、数多くの証拠と共に検証されている歴史の事実であるが、これを言い出すとまた歴史認識の違いを延々と論じなければならないので、ここでは、韓国は日本に依存して近代化した国家であることは世界が認めていることを確認しておくに留める。


 次に、歴史は、第2次世界大戦前の世界は帝国主義全盛の時代であって、資源と市場を求めて列強はアジアやアフリカや中南米へ進出したことも教えている。(日本は韓国を植民地とはしていないが)植民地支配は、当時、列強においては当然の行為であったのだ。
 それでも、搾取して迷惑をかけたことは謝るべきだ…と主張するのなら、それは国際政治の現実を知らない、口当たりの良い甘言を弄して、人々を惑わすものでしかない。そんなことを言うのならば、勢力拡大のために権謀術策を駆使した者たちはみんな謝らなくてはならない。アレキサンダー大王も、ユリウス・カエサル(シーザー)も、秦の始皇帝も、元のチンギスハーンも、武田信玄・上杉謙信・織田信長・豊臣秀吉・徳川家康も、そして、その子孫たちも…。しかし、時代は戦国の世だったのである。
 帝国主義を背景に植民地支配を広げていった国のどこが、被植民地に謝罪しているだろうか。植民地支配すらしていない日本が、なぜ謝らなくてはならないのか。それよりも、宗主国として、今なお指導力を残している国も多い。それこそが、国際政治のあるべき姿というものである。
 
 
 今回の菅内閣の談話は、旧社会党の残滓(ざんし)である仙石由人官房長官と、政治的理念のないままにタダ耳障りの良い言葉を並べる鳩山由紀夫前総理の発案によって作成されたというから、この内容となったのもむべなるかなというところだが、1993年の何の根拠もなく慰安婦問題を謝罪した河野談話、1995年のアジア諸国に対する植民地に関する村山談話…などと同じく、とにかく迷惑をこうむった人が居るのだから謝っておこうというのは、政治家として最も避けなければならない姿勢である。
 なぜならば、謝罪するということは、日本は近隣諸国とその住民に対して迷惑をかけた犯罪国家であると公言していることであり、日本国民は(青少年は特に)自国を卑下して、将来に誇りを持つことができないことになる。
 誇りを持てない国に対して、愛国心を持てというのも無理なことだろう。日本国民は世界に誇る足跡を残してきていて、優秀かつ勤勉であり、驚異の繁栄を築いてきた…と言ったとしても、虚しいだけである。
 いわれのない謝罪はしてはならない。言うのはタダ…ではない。ましてや、一国の総理大臣たるものが謝罪談話を発するというのは、将来にわたって重大な影響を及ぼすことを肝に銘じるべきである。



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