日本は、今
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【227】 公務員歳費削減7.8%は2年間限定…って、ペテンじゃないか
2012.02.27     - ならば、消費税アップも2年間限定だろう - 
 
 
 「消費税を上げるならば、まずは歳費の無駄を削れ」という国民の声に応えるべく打ち出した『公務員歳費の削減』が、削減率7.8%という率は高いか低いかの議論は別にするとして、復興支援をうたい文句に2年間限定とはどういうことだ。
 「削減します」と高らかにうたい上げておいて、その見返りに消費税を恒久的に5%もアップし、「歳費削減は2年間だけ。3年目からは元に戻します」なんて、全くのペテンじゃないか。
 ならば、消費税アップも2年間限定にするのが、話の整合性が取れるというものだ。消費税を恒久的にアップするのならば、国の歳出削減の柱である公務員給与の削減も恒久的に行うのが当然だろう。
 同時に、
退職金規定も見直すべきである。国民の大多数が、勤続40年前後で1000万円もの退職金を手にするものは少ないというのに、公務員は2000万円超の退職金を手にしているのだ。渡りと称する天下りを繰り返す高級官僚は、何億という退職金を懐に入れる。『違法じゃない』なんて手前勝手な理屈が通るわけがない。退職金も、みんなかベースに準じて見直すべきだ。
 そして、もう一本の柱は「公務員の定数削減」。消費税のアップに伴って、14年度に5%、15年度に10%を削減してもらおう。


 もちろん、「議員定数の削減と歳費のカット」も忘れてはならない。 議員数は衆参議員の
数を半分にする
こと。歳費は80%とし、政務調査費は請求に対して支払うこととし、一律支給をやめること…でどうだろうか。
  



【226】 民心を失った政治 -総選挙で民意を問うしかない-   2012.01.24
 
 
 第180通常国会が召集された。内閣総理大臣野田佳彦は
施政方針演説で、消費税率引き上げを柱とする社会保障・税一体改革を掲げ、「『決められない政治』から脱却することを目指す」として実現への決意を表明、野党に協力を呼びかけた。
 消費税アップ第一というその方向の間違いは先日のこの項でも指摘した通りだが、今日の演説を聴いていて、民心を失った内閣が政治の方針を述べることには、ただ空しさを覚えるばかりであった。
 野田内閣がいかに改革を訴えようと、すでに民主党の政治は国民から見放されている。いかにあがいても、再び民主党が政権をとることは未来永劫ないだろう。だから、野田内閣の政策は継承されることはなく、いかに美辞麗句を並べても、実現されることのない画餅の政策を並べているに過ぎないのである。
 それでも、未来への指針は提言できると言うかも知れない。しかし、民心を失った政権は、たとえ正論であったとしても、その提言すら支持されることはない。もはや民主党政権は、「そんなことを言っていても、また、『やっぱりできません』と言うんだろう」と信頼されていないのだ。
 民主党にとっては、政権を失うことは目に見えているけれど、ここは争点となる政策を明確に掲げて、総選挙を実施するしかない。このままでは、何も決まらず何もできない死に体内閣が死骸を野ざらしにするだけの歳月が過ぎるだけだ。
 消費税、国政改革、産業振興策、憲法改正など、今の日本が解決していかなければならない課題を掲げ、主義主張と理念をもとに政界再編を見据えた新集団をもって、総選挙を実施することである。それこそが、野田首相が日本の未来に貢献できる唯一の道だろう。
 橋下大阪市長が率いる維新の会など、新しい政治のうねりも誕生している。既存の政党と、どのように融合し、政界地図を塗り替えていくのか。案外、そのあたりが憲法改正への最短距離にいるのかもしれない。しかし、橋下に保守本流かと聞けば、自ら否定することだろう。
 ここは、自民党・民主党・みんなの党の中で、憲法改正・再軍備を標榜するメンバーを招集し、アメリカの干渉(とそれに結託する国内勢力)を排除していける真性保守を形成することが求められる。
 野田首相が述べた「『決められない政治』からの脱却」とは、従来の自分のことを自分でできないこの国の仕組みを改めることであり、「日本の将来を拓く」とは日本の自主独立を実現する政治を目指すことである。決して、死に体政党の延命に固執することなく、未来を見据えたこの国の仕組みづくりに邁進してもらいたい。   




【日本は今 224】 増税という愚策・無策         2011.12.31
   
- 日本の財政を健全化するには、景気の浮揚 -


 民主党の税制調査会は29日深夜、社会保障と税の一体改革に伴う消費税率の引き上げについて、「2014年4月に8%、2015年10月に10%とする」ことで決着した。
 ただ、検討段階で民主党からは9名の離党者が出ている。採決時には自民党や公明党は反対するだろうし、更なる離党者が出ることも考えられるから、引き上げ法案が可決されるかどうかは極めて難しいと言わねばなるまい。

 

 この消費税引き上げについては、テレビ・新聞も、経済関係の有識者といわれる御仁たちも、おおむね賛成・容認の論調である。ギリシャ化を回避し、壊滅的な財政を健全化するためには、避けて通れない道だというのである。
 しかし、ホントにそうか。何としても税収を上げたい財務省のシナリオに乗っかって、国民を欺き、一時的な回避策を弄しているだけなのではないか。
 そもそも、赤字を生じさせた根本にメスを入れなくては、諸費税を上げても近いまたすぐに赤字を生じ、再度の税率アップを言わねばならなくなる。5%アップすれば健全財政が実現し、黒字予算が組めるという青写真を作成して国民に示すのが先だと思うのだが。

 公務員と議員の定数削減と給与の引き下げは、欠かせない必須条件だろう。国民全体の収入が低下し、生活が困窮しているのに、公務員や議員だけが昨年よりも多いボーナスを受け取っていて、消費税のアップを言い出すなど、国民感情をないがしろにした話である。
 野田首相は、それを承知で、情緒的な議論には目をつむって、子どもたちの世代へツケを回さないためにも、社会保障との一体化を前提とした消費税率アップを、不退転の決意で成し遂げると宣言している。「赤字予算を、俺が止めなきゃ誰が止める」」といった勢いで、だから消費税をアップするんだというのだが、財務省のシナリオに乗せられて走っているという胡散臭さを感じるのは僕だけだろうか。
 増税には、無駄遣いの削減…すなわち議員と公務員の研究・定数削減が必要条件であることは先に記したことだが、もうひとつ、景気浮揚の具体策を提示する必要がある。「景気は良くなるんです。増税分以上に収益を挙げることができるんです」という、説得力のある青写真を提示しなければ、この国に長年にわたって蔓延する閉塞感は払拭されない。


 増税が国家財政を救済する切り札だというのは、財務省的感覚であって、歴史的に見て正しくない。江戸時代の三大改革で景気の上昇につながったものはなく、武士の借金を棒引きにしたり、富を蓄えた町人の奢侈を戒めたりしたが、財政改革に対しては全て失敗であった。
 転じて、行政改革・規制緩和こそが新しい時代を開く道であることを証明しているのは、織田信長の関所通行税の廃止・規制を撤廃した楽市楽座の制である。巨大利権集団であった比叡山を初めとする宗教団体や金座・銀座・油座などの同業者組合といった古い時代の特権を取っ払い、新しい経済体制を構築していったことこそが、信長に天下を取らせた原動力であった。
 野田首相が財政健全化を目指すのならば、景気の浮揚こそが不可欠で、そのためにはこの国の旧体制を打破し改める必要があることに目覚めて欲しい。橋本内閣で消費税が2%引き上げられたことが失速の引き金となり、その後の20年間、日本の経済成長率はほぼ横ばいで、原因は全て政治の無策・愚作である。成長目覚しいアジア諸国は別にしても、欧米諸国ですらこの20年でほぼ2倍の経済成長を達成しているが、日本はせいぜい1.2倍でしかない。もし仮に西欧並みの経済成長が達成されていれば、現在の経済規模は2倍となっていて税収も40~50兆円は増えているのだから、借金を重ねることもなく、今頃は世界に冠たる健全財政の国であったことだろう。政治家や官僚が愚かだと取り返しのつかない事態を招いてしまう。
 今更愚痴っても仕方のないことだが、日本の1000兆円に膨れ上がった財政再建には、消費税のアップなど焼け石に水である。税率を1%上げて歳入は2兆5千億円増収になると試算されている。実際には景気の冷え込みがあるからもっと少なくなるだろうが、仮に2兆5千億円としても現在の歳入欠陥は毎年約40~50兆円である。消費税のアップで解決を図ろうとするならば20%以上の高税率をかけねばならないことになり、日本経済を瓦解せしめることになる。財政の健全化には、10兆円20兆円の規模で無駄を省くことと、産業の活性化を図り税収の増加を図ることが、何としても不可欠であることが理解されよう。
 しかし、電力会社体制の改変すらできない野田首相に、時代の変革者を期待することは無理なのだろう。ならば、消費税のアップはあきらめて、民主党政権の幕引きを準備することだ。それが、野田首相が国のために果たすことのできる、最善の策であろう。




【日本は今 221】 電力業界再編のチャンスなのに


 これだけの大事故を起こしておきながら、今もって東電体制にメスを入れることが出来ないとは、野田民主党内閣はいったい何をやっているのか。
 ことは東電の解体出直しだけでなく、地域独占の電力体制の見直し、送発電の分離、九電力会社以外の発電の活用など、日本の将来の電力供給体制を見据えて、やらなければならないことは山積している。
 それなのに、東電の責任は万死に値すると口先だけの追及で、抜本的な改革に果てもつけられない枝野経産相は、存在感などどこにもない。野田首相が、演説は上手いけれども口先だけで、実効ある政治は出来ないことも、これで証明されたということになる。
 しかし、ことをそこで終えることは出来まい。政権で出来ないのならば、超党派の「日本の電力を考える会議」なんてのをつくって、権限を持たせ、思い切った改革をさせることだ。
 以下に、電気料金の国際比較を示す。(エネ庁のデータより)
 (2001年) 単位:ドル/kWh、日本を(100) 家庭用・産業用
 日  本  0.188 (100) ・  0.127(100)
 アメリカ  0.085 ( 45) ・  0.05 ( 39)
 イギリス  0.101 ( 54) ・  0.051( 40)
 ドイツ   0.124 ( 66) ・  0.044( 35)
 フランス  0.098 ( 52) ・  0.035( 28)
 資料:IEA STATISTICS「ENERGY PRICES & TAXES, 4th Quarter 2003」
 とあって、日本の電力料金の高いことは一目瞭然である。韓国も、日本の半額ぐらいだ。これでは、日本企業の競争力にも影をさすし、外国企業は恐れをなして日本に進出するのに二の足を踏むことだろう。
 ことは、日本の将来がかかっている。現在の電力体制を見直す、今が絶好のチャンスなのだ。



 

【日本は今、222】 サッカー 対北朝鮮戦を見て   2011.11.16


 サッカー日本代表チームは、15日、平壌の金日成競技場で約5万人の北朝鮮大観衆が見守るなか、ワールドカップ(W杯)ブラジル大会アジア3次予選第5戦の対北朝鮮戦に臨んだ。日本の代表選手団が平壌で試合するのは22年ぶりだ。
 競技場は北朝鮮の観客で埋め尽くされ、試合前の日本の国歌演奏にはブーイングが浴びせられて、曲が聞こえないほど。「北朝鮮勝て」の人文字が描かれ、ピッチの周囲には多数の警官が配備されるものものしさのなか、試合開始のホイッスルが吹かれた。
 日本代表は雰囲気に呑まれたのか、当りも弱く、クロスプレーにいつもフィールドに倒れているのは日本選手…。ゴール前でのフリーキックさえも、チョコンと遠慮したようなキックしか出来ない。
 選手の北朝鮮への入国時から空港で4時間も待たされたり、抗議すると机を叩いて「黙れ!」と恫喝されたと聞く。およそ紳士的とはいえない、国際常識が通用しない相手だけれども、言っても判らない相手だからこそ体を張って「こいつにはとてもかなわない」と思い知らせることが必要であった。実力は、世界ランキングからして、アジアナンバーワンの日本のほうがはるかに上なのである。
 文明的でないものほど、強いものに弱いことは周知の事実だ。勝った北朝鮮は、「ほら見ろ。日本なんて、ちょっと本気を見せて(脅かして)やれば、すぐに尻尾を巻いて逃げて帰るのさ」と、民衆レベルも思ったことだろう。今後の外交にも、居丈高に臨んでくるに違いない。


 後半5分、北朝鮮のパク・ナムチョルが頭で日本ゴール右スミに流し込んで先制点!
 僕は、ここでテレビのチャンネルを他局に変えた。日本選手のプレーには、びびってしまってゴールしようという気迫が感じられず、この先、1点を取れるとは全く思えなかったからだ。


 負ければ強制収容所行きだから(笑)、必死の北朝鮮選手団の当りは厳しい。それに対して、ラフプレーを奨励するわけではないが、負けない当りを見せて試合を互角に運ぶ気迫は必要だろう。やられたら引っ込むのでなく、やり返してこそスポーツだろう。
 死んで来いとまでは言わないが、5万人の観客の熱狂的な応援に、素人目にも萎縮して勝てっこないなぁと思わされる試合をやるのでは、敵地に乗り込んで試合する必要はないだろう。
 堂々の試合をしてきたのならば、勝負は時の運であると健闘を称えることもできる。それをビビッたプレーをし、格下の北朝鮮に、「日本なんかに負けるかい」と言われて、おめおめ帰ってくるとはどういうことだ。


 もし10-0ぐらいコテンパにやっつけて、帰りのバスを群衆に囲まれたらどうするんだ…って?
 自衛隊を出動させて、即、救出に行くに決まっている…とは、自国民を拉致されているのがわかっているのに救出に行こうともしないのだから、今の政治ではとても言えないなぁ。まぁ、負けて来るのは、はじめからわかっていたってことか。
   


【日本は今、220】 今更、TPP議論なんて…?   2011.10.14
        - 日本の農業の問題点は、根源を解決すべき -


 TPP(環太平洋パートナーシップ協定・環太平洋戦略的経済連携協定)への参加の是非をめぐる議論が熱を帯びている。何を今頃言ってるんだ、FATにしろTPPにしろ、世界はその方向に動いている。長引く経済の低迷にビビっている日本人の思考は内向きになってきていて、今ある経済・生活レベルを防衛することのみにとらわれて、世界に打って出るという思考回路が失われてきているのだ。


 TPP反対は、特に農業関係者・農水省に「生産コストの高い日本の農業は、TPPによって海外から安い農作物が入ってくれば壊滅的な打撃を受ける」と反対が強固だ。例えば米は、現行778%という高い関税がかけられている。農水省が掲げる日中間の米価の差は4倍(中国の米は日本の米の4分の1の価格)というのだが、このデータは10年以上も前のもので、2009年の60キロの輸入価格では、中国米10500円に対し、日本が15000円である。まだ4割もの差があるというかもしれないがその差は大幅に縮まってきていて(昨今の円高で、更に圧縮されているはず)、現実に中国の富裕層は安全でおいしい日本の※を輸入し、買い求めている。


 このように、TPP反対論は、データも恣意的に古いものを出してくるし、また、議論のレベルも低すぎる。そもそも日本の農業の問題点は、狭い耕地にしがみつく効率の悪い生産体制、農協を軸とした新規参入を阻もうとする排他的利権体制、選挙の票田であることを期待しての補助金漬けの甘えた体質など、その構造的な欠陥こそが指摘されねばならないはずだ。
 日本の農業の壊滅は、TPP参加などという時点のものでなく、もう数十年前から、その根底が揺らいでいるのだ。それを、TPP反対派の言うように、今のままの関税を盾にした保護政策ばかりをとっていては、日本の農業の体質強化は将来にわたって実現せず、近い日に崩壊せざるを得まい。
 今、日本の農家は兼業農家が85%を越え、その収入の多くは近くに工場などに働きに行っている、兼業者の給与所得によっている。日本が貿易の自由化に踏み切らず、企業の国際競争力が低減し、工場の海外移転が続いたら、兼業農家も生活できなくなるのだ。非農業部門の生産性や所得が上がってこそ、農産物の消費も増えるというものだ。
 日本の農業を育てるためにはTPPやFTAに積極的に参加し、農地の共同経営や農業技術の革新を行い、安全で高品質な農作物を世界に輸出する農業を確立しなければならない。反対論は農業関係者や農水省に強く、また、山田前農水相・鹿野現農水相らはその先頭に立っているというが、この人たちは日本の農業が抱える真の問題点を考えたことがあるのか、また、農業問題を含む経済や、独善(ブロック経済)を廃しながら世界の安全問題をとのように発展させてきたのか考えたことがあるのか。民主党国会議員のうちの190人もがTPP参加反対の署名をしたと伝えられているが、その氏名を明らかにして、歴史の審判を受けさせるべきだろう。


 TPPは上に述べたように経済的利点も大きいが、環太平洋戦略的経済連携協定と訳されるとおり、太平洋を取り巻く自由主義の国々の安全保障の問題も包括している。ここで日本が躊躇するならば、先日のオバマ米大統領の演説に日本の名まえが一度も出てこなかったように、環太平洋における、そして世界における日本の重要性はますます低下することだろう。
 「愚劣な政治は国を滅ぼす」。言うまでもないことだが、今更TPP参加を議論しているなんて愚の骨頂である。広く世界に目を開いて、正しい日本の将来構想を作り上げてほしい。




【日本は今、219】 古賀茂明氏 通産省へ辞表を提出   2011.09.22
       - 民主党&枝野幸男新経産相に、国政改革へ意欲なし -


 古賀茂明氏が辞表を提出した。古賀氏は、2007年当時の渡辺喜美大臣(現・みんなの党党首)が取り組んだ公務員改革に際して、内閣官房に設置された国家公務員制度改革推進本部事務局審議官に就任し、「年功序列人事の廃止」「天下り規制の強化」「事務次官廃止」など急進的な公務員制度改革に取り組んできたが、2009年12月、唐突に内閣事務官の任を解かれ、経済産業省に戻ったところ、それ以降は仮置きの部署である「経済産業省大臣官房付」に長期間留め置かれるという、異例の人事措置に甘んじてきた。
 再三の辞職勧告や出向も断って、省内に留まっての改革に意欲を燃やしてきた同氏であったが、鉢呂前経産相のあとを継いだ枝野新経産相の、「古賀氏の人事については、従来の経産大臣および経産省の判断を踏襲する」との発表を受けて、改革派の同氏が腕を振るう場所は民主党政権下の経産省にはないと判断しての辞表提出である。


 古賀氏の人となりを、ウィキペディアから抜粋して、確認してみよう。


 崎県生まれ。その後東京に移り、麻布中学校・高等学校卒業。東京大学法学部に進学するが、麻布の校風と異なり東大法学部にはつまらない秀才が多いと感じ、次第に授業から足が遠のいて2年留年。もともと公務員になるつもりはなかったが、2年留年すると民間企業に 入るのは難しいと考え、公務員試験を受験し合格。1980年、大蔵省からも内定を受けていたが、東大法学部と同じく秀才が集まる雰囲気を感じたため、通産省を選んだという。
 通産省や後継の経産省では大臣官房会計課法令審査委員や本省筆頭局の筆頭課長である経済産業政策局経済産業政策課長を歴任するなど本流のエリートコースを歩んでいた。しかし、経済産業政策課長時代に当時の杉山秀二事務次官と産業構造審議会の部会新設をめぐり対立。若手官僚とともに事務次官室に乗り込み、財務省管轄の税制改革を経産省が扱うことは危険だと主張し部会新設に反対する杉山事務次官と数時間にわたり議論し、部会新設の同意を無理矢理得たことを契機に傍流に外される。次官室乗り込み事件の1年後の2005年に外局の中小企業庁に出され、その後中小企業基盤整備機構に出向となった。
 その2005年に大腸癌の手術を受け抗がん剤の投与を受けるようになる。この年、公務員改革に力を入れていた渡辺喜美行政改革担当内閣府特命担当大臣から、大臣補佐官就任の要請を受けたが、癌による体調悪化から辞退し、代わりに経産省の同僚だった原英史を紹介し、原が大臣補佐官に就任した。
 2007年には独立行政法人の産業技術総合研究所に飛ばされたものの、渡辺大臣が福田康夫首相の反対を押しきる形で2008年に霞ヶ関に復帰させ、内閣官房に設置された国家公務員制度改革推進本部事務局審議官に就任。当時の渡辺喜美行政改革担当相の下で、「年功序列人事の廃止」「天下り規制の強化」「事務次官廃止」など急進的な公務員制度改革に取り組んだ。


 その後、政権は民主党へと移り、就任した仙谷由人行政刷新大臣は、当初は公務員改革への意欲を見せて古賀氏を補佐官に就かせ行政改革を続けさせるつもりでいたものの、そのような人事は財務省が認めないとの古川元久内閣府副大臣や松井孝治内閣官房副長官ら官僚出身議員からの進言を受け断念する。
 2009年12月、唐突に国家公務員制度改革推進本部の幹部全員が解任され、古賀も内閣事務官の任を解かれて、経済産業省に戻ったが、それ以降は仮置きの部署である「経済産業省大臣官房付」に長期間留め置かれる異例の人事措置が取られる。
 この間、数度にわたりマスコミを通じて政府の公務員制度改革案を批判し、広く名を知られるようになった。官僚批判の著書も出版し、ベストセラーになっている。
 2010年10月15日の参議院予算委員会に古賀氏はみんなの党の参考人招致を受けて出席し、政府の天下り対策や公務員制度改革を批判した。それに対し、内閣官房長官仙谷由人が「
上司として一言…、こういうやり方ははなはだ彼の将来を傷つけると思います」と発言し、「恫喝」であるとして話題になった。後日、鶴保庸介参議院決算委員長(自由民主党)が、決算委員会冒頭の挨拶で仙谷の言動について批判、仙谷は弁明に追われることになる。


 2011年6月、
7月15日までに辞職届を提出するよう海江田万里経済産業大臣及び松永文夫経済産業事務次官から通達されるが、これに応じなかった。同年7月には事実上の退職勧奨である民間出向の打診も受けたがこれも拒否した。
 しかし、今般の枝野幸男経産相の就任後に同省の立岡恒良官房長から「枝野大臣は辞める手続きを進めてくれと言っている」と連絡があったため、9月26日付で辞職することを明らかにした。ところが枝野経産相は「私が直接対応すべき事務次官級幹部官僚人事ではない。事務次官以下に任せる」との発言があったため、古賀氏は「これは民主党が提言した党主導で行う官僚人事のひとつであり、官僚である事務次官以下で決めるのはおかしい。辞表を撤回して再度(枝野に)大臣としての判断を求める」としていたが、枝野経産相は「
古賀氏の人事については、従来の経産大臣および経産省の判断を踏襲する」と発言、経産省官房長からも退職を促されたために、9月22日、同月26日付で辞職する内容の辞表を提出した。


 古賀氏の処遇は、政権の公務員改革を初めとする国政改革に対する意欲のバロメーターのひとつであった。高橋陽一(元・財務省)、岸博幸・原英史(元・経産省)など、改革を志す官僚たちは押しなべて省庁を追われてきた。政治の強力なバックアップがないからだ。彼らは、自分たちの所属する省庁や公務員の仕組みを変革して以降という取り組みを進めるわけだから、所属する省庁や公務員仲間からバッシングを受けることになる。
 それでも、改革は国政の最重要事項なのだから、それに邁進した優秀な官僚たちに対しては、将来にわたって政治が彼らの地位を保護していく義務がある。それを、政権や担当大臣が変われば使い捨てのような扱いでは、公務員の中から改革に努力・協力をしようとするものが出てくることは期待できなくなってしまう。改革に志のある彼らの力を引き出せないのは、政治がだらしないからだろう。
 その意味でも、古賀茂明氏の去就は注目されていた一件であった。民主党野田政権が、改革に本気なのかどうかを問う、大きな判断材料であった。古賀氏が重要なポストを与えられ、職務に邁進する姿を見ることができたならば、この国の将来にまだ希望が持てる材料を失わずにいられる思いを繋ぐことができたのだが…。
 何が増税だ! 国政改革に実効的な手段も示せない政権が、国民に負担を求めるなど、本末転倒した話である。やっぱり民主党の政権には、政治は任せて置けないと…そう思った。




【日本は今、218】 
野田内閣(ぼくちゃんの水槽内閣)スタート  2011.08.05


 9月2日、皇居での認証式を終えて、「野田内閣」が正式にスタートした。野田首相は「適材適所」を強調して「実務型内閣」と評価しているが、党内融和に配慮した結果のポストばら撒き内閣である感は否めない。実務に徹すれば党内各派のバランスに欠け、バランスを図ろうとすれば仕事の出来ない内閣になる。この内閣は、言うまでもなくバランス重視の内閣である。
 自らを泥にまみれる「ドジョウ」と称しているのにちなんで、記者から「ドジョウ内閣か」と問われると、「仕事をした結果で皆様から名前をつけてもらえば…」と言っていたが、スタート時点での命名を試みると、初入閣が多数を占める素人集団なので「ぼくちゃん」と冠をつけて『ぼくちゃんの水槽内閣』と呼ばせてもらおう。親方のドジョウを筆頭に、金魚あり、ボラあり、タコあり、かまぼこも泳いでいるような水槽のようだからである。
 野田首相は、早速に「国家の運営は官僚の皆様の協力なくしては進みません」と、官僚に擦り寄っている。方針は政治が決める、その方針に従って官僚は仕事をしてほしい…というのがあるべき姿だ。財務相を務めて、官僚の狡知なしたたかさと権力の強大さを目の当たりにした野田佳彦には、もはや政治主導の気概はない。政治的後退の第一歩である。
 新内閣の仕事に期待が持てないのは、民主党にそもそも人材が居ないからだろう。安住財務相は小型野田佳彦財務相で、基本的に財務省の言うがままだろう。公務員改革などどこ吹く風の増税路線を突っ走ることは間違いない。
 鉢呂経産相…、社会党出身者であることが致命的だ。社会主義者を経産相にしてどうするんだ。原発廃止に突き進もうとするだろうし、官庁が強大な許認可を盾にして規制を行う全体主義経済を推し進めようとするだろう。日本経済の停滞・衰退が目に見えるようである。
 一川防衛相は、すでに自分がいかに防衛大臣に適していないかを自覚したようである。「私は防衛問題には素人で、これこそが究極のシビリアンコントロール」なんて公言している男に、日米同盟の根幹である普天間問題を解決できるとは思えない。防衛がわからない男に、アメリカを初め世界各国が防衛問題を語るはずもない。野田内閣の言う適材適所とは、この程度のものなのだ。
 内閣の目玉というべきか、仕分けで名を売った村田蓮舫の公務員制度改革担当特命大臣への就任だが、蓮舫に公務員制度の改革はてきない。そもそも、彼女が担当した「仕分け」は、「次世代スーパーコンピュータ開発について「世界一になる理由は何があるんでしょうか?2位じゃダメなんでしょうか?」とピントのずれた発言をし、予算削減を決定するという無軌道振りであった。
 しかしその結果は、「中止・凍結」と決定された事業の半分以上が、そのまま継続して存続・建設されている。例えば
、事業仕分けで「凍結」となった埼玉県朝霞市の国家公務員宿舎の建設事業が再開されている。事業費は105億円、建設再開を決めたときの財務相は野田首相その人である。凍結とされた事業が、大震災復興財源のため増税が検討されている最中に復活するなど、言語道断ではないか。それ以前に、事業仕分けなんて、何の拘束力も持たない政治ショーに過ぎないということだったのだ。民主党の政治なんて、ほとんどみんながこの程度のものだ。
 蓮舫特命相が、公務員改革をホントに実行しようというのならば、かつて自民党政権下において渡辺喜美行革担当相が行ったように、「改革基本法」といった法律を国会に提出して成立させ、法の縛りをもとに制度の改革を行う姿勢を示すことだ。それならば、彼女の政治に賭ける信条を信用することにしよう。
 

 新内閣の支持率は65%で、内閣発足直後の調査(1978年の大平内閣以降)としては5番目に高く(小泉内閣87%、鳩山内閣75%、細川内閣72%、安倍内閣70%)、不支持率は19%だった。もっとも、菅内閣ですら発足時には64%だったけれど…。
内閣を支持する理由では、「これまでの内閣よりよい」48%が最も多かったことからも、「前政権に比べれば…」「民主党政権よ、ここらでしっかりしてくれ」という期待値である。
 ぼくちゃんの水槽内閣』は、これからの仕事の積み上げによって『水族館内閣』になり、大海原に泳ぎ出す『大洋内閣』になることができるか?。今の民主党に根ざす限り、見果てぬ夢になると思うが、どうだろうか。



【日本は今、217】 民主党代表選 3題     2011.09.01


          8月29日(月) 民主党新代表に 野田佳彦
          8月26日(金) 親小沢 vs 脱小沢の戦い
              -小沢頼りという誤った選択は、自らの政治生命を絶つ-

          8月21日(日) 民主党党首選 小沢詣で


8月29日(月) 民主党新代表に 野田佳彦


 事実上日本の総理大臣を選ぶ民主党代表選(両院議員総会)は、党所属国会議員398人(衆院292人、参院106人)が投票権を有し、1回目の投票では投票総数395票に対し、海江田氏143票、野田氏102票、前原氏74票、鹿野氏52票、馬淵氏24票で、過半数に届いた候補はいなかった。
 海江田、野田両氏による決選投票の結果、野田氏が215票を獲得し、177票の海江田氏を破った。
 野田佳彦氏は30日の衆参両院本会議で首相指名を受けて、第95代62人目の首相に就任し、その後、野田内閣が発足する見通しである。


 この代表選を通して見えてきたことは、第1に小沢・鳩山の影響力の低下である。もはや小鳩は民主党を左右する勢力たり得ない。首の据わらない鳩ポッポについていく子分鳩は、エサのおこぼれに預かろうという駄鳩ばかりだ。幹事長ポストを振りかざして新人議員を寄せ集めた小沢の子分たちは、人材と呼ぶには程遠い集団であり、次の選挙では泡と消え去る、役立たずたちである。小沢が右を向けといえば右を向き、海江田と書けいえば海江田と書く、理念もビジョンも共有しない子どもたちだ。それを束ねることで、数は力だと空しく吼える小沢一郎という男の虚構も、浮き彫りにされたということだ。
 第2に、民主党は「党の綱領」を早急に作成しなくてはならない。重要政策…、例えば国の安全保障にしても、核になる綱領がなく、党首や執行部によって全面変換を臆面もなくするのだから、どこからも信用されないのは無理もない。
 第3に、民主党の議員はもっと勉強することだ。先の総選挙で予想外の大量当選者を出してしまい、素人がいっぱい国会議員バッジをつけているという事実はある。ならば、党が公式の勉強会を開き、議員たちに受講させることだ。テストもして、一定の点数を取らなかったら、補習授業を行うことも必要だろう。政治家が勉強すること、それが政治主導の第一歩だろう。危機的な原子力行政、TPPを抱える農業問題、待ったのきかない国民年金、破綻している医療行政、低下し続けている教育、… どれをとっても、民主党に任せようと思わないし、民主党が解決できると思えない。


 野田新首相が、財務省寄りで、財源不足を増税でまかなおうとする発想しかないのではないかという懸念もある。「経済成長なくして、増収なし」なのに、このデフレ不況の真っ只中で増税すれば、日本企業の足腰は砕かれ、外国企業は逃げ出す。
 ただ、しばらくはお手並み拝見を決め込もう。東電解体、発送電分離…といった、思い切った有効な手立てを講じる政治ができるかどうか。
 東日本大震災からやがて6ヶ月…。何にもしてこなかった前政権の後を受けて、早急の収拾が求められている。今までのどの内閣よりも、時間の余裕はない。


  
8月26日(金)   親小沢 vs 脱小沢の戦い
       -小沢頼りという誤った選択は、自らの政治生命を絶つ-


 やっと菅直人が、国会内で開かれた党両院議員総会で退陣を正式表明した。この顔を見なくてすむのかと思うだけでも、体調がもどる(笑)。
 その後継を決める民主党代表選は「27日告示、29日投開票」の日程で行われるようだが、党内最大勢力を率いる小沢一郎元代表は今夜、国会内で鳩山前首相と会談し、すでに立候補を表明した前原誠司前外相に対抗するため、鳩山グループの海江田万里経済産業相を支持することを決めた。選挙戦は26日夜までに計5人が名乗りをあげ、「脱小沢」と「親小沢」の対立を軸に展開する見通しとなった。
 まだ民主党はこんな次元の代表選をやっているのかとあきれるし、小沢一郎の力に頼ろうという動きがあるのが不思議だ。小沢一郎は、刑事被告人であり、党員資格停止処分を受けている身であり、何よりも国民からすでに見放されている存在である。そのご威光にすがっていくことは、自らの首を絞めることだと、なぜ気づかないのだろう。
 代表選は、第一回目の投票では1位海江田・2位前原となるも、過半数を制するものがいなくて、決選投票で反小沢連合が結集し、僅差でもって前原代表の誕生という図式であろうと思っている(願っている(笑))。
 章くんの描く理想の展開が実現することが望ましいが、それにしても海江田は終わったなぁ。万が一代表選に勝ったとしても、その後の言動には小沢の影が付きまとうし、国会運営においても小鳩の操り人形では、野党の理解は得られず、菅政権以上のねじれ苦難の道が待っている。初めから国民の支持はないも同然で、政治生命は尽きたというしかない。せっかく男泣きしたのに…。


  
8月21日(日) 民主党党首選 小沢詣で


 民主党党首選に向けて、170票余を握る、党員資格停止中の小沢一郎のご機嫌をとろうという動きがあると報じられている。
 野田、海江田、鹿野らの候補者は、「小沢氏の党員停止資格は再考すべきだ」などと述べているとか。票が欲しいばかりに、邪(よこしま)な権力者に擦り寄ろうとする、醜い姿だ! 「どんな手を使っても、当選しなきゃ話にならない」というのが彼らの政治哲学かもしれないが、正義と民意に逆らう選択は、たとえそれで政権を取ろうとも、それらの候補者の姿に卑しい我欲が見え透いていて、人々の支持は得られない。
 この時点で、野田、海江田、鹿野には、民主党党首…即ち日本の総理になる資格はない!


 その点、前原誠司は、「小沢氏の処分は、現執行部が決めたことだから守らなくてはならない」と、その主張はブレていない。政治を行うものには、必要欠くべからざる姿勢である。
 僕は、特に前原のファンというわけでもないが、今、総理を任せるのはこの男しかいないと思っている。



【日本は今、216】 「脱原発」は間違い!       2011.08.20


 福島原発事故にショックを受けている国民の気持ちを見透かしたかのように、支持率回復を狙った菅首相の「脱原発」発言が飛び出した。
 この時期、やっぱり原発は恐ろしい、だから自然エネルギーに転換すべきだというのだろうが、果たしてそうか。これから何十年もかけて原発を廃炉にし、その間新しいエネルギーを生み出していくことに、日本は耐えられるだろうか。
 研究費や設備に投資をし、高コストの発電を続けていくことに、国民は高い電気料金を払っていく覚悟が出来るかもしれない。しかし、日本の経済は耐えていけるだろうか。ただでさえも低迷する不況にあえぎ、無策の政治に翻弄されて、存続さえも危うい日本企業が、高い電気代の負担を要求されるエネルギーの変換に応じられるとは思えない。日本を捨てて外国へ出ていくことを余儀なく選択する企業も多いことだろうし、その体力すらなく、廃業に追い込まれる企業も出てくることだろう。菅首相の「脱原発」発言があった翌日の閣僚懇談会では、閣僚から強い異論が呈され、首相は「私個人の考え」と釈明するお粗末さであったことが、この事情を如実に物語っている。
 また、ソフトバンクの孫社長は、「全国の休耕田にソーラーパネルを設置すればよい」と言っているが、田畑はパネルなどよりももっと貴重な国家的財産である。食料自給率40%の日本が、農業政策の根幹を見直す議論をせずに、休耕田を潰せなどという議論をしていることが浅はかであろう。


 「脱原発」は、間違いである。大事なことは、日本の技術力をもって、二度と事故の起こらない安全な、国民にも地域の住民にも安心してもらい、世界に対してその技術を提供(輸出)していけるような原発を完成することだ。
 そのためには、福島原発の事故原因を徹底的に究明することが肝要であるが、この事故は、素人が考えても人災であって、まず、貞観地震による14~15メートルの津波の記録を無視して建てられていることが間違いだ。交流電源が喪失しても大丈夫だという、原子力安全保安院の指針も許されない大ミスだった。そして、事故の処理よりも原発の再稼動を優先させた東電の対応も根本的な失態で、爆発・放射能漏れを食い止めることを最優先して処理に当たっていれば、今日のような惨事は招いていない。
 すなわち、東京電力・経済産業省・保安院は癒着し、学界までもが東電からの研究費によって「原子力ムラ」を形成していて、原子力行政が安全に対して真摯な取り組みをしてこなかったことが指摘される。電力会社は、地域独占という体制によって、莫大な利益を保証されている。それによって、政界・経済界・学界に、隠然たる力を保持している。この体質を変えねば、今回の事故に対する本当の反省はなされず、原発の安全は確保されない。
 かつて国鉄は毎年2兆円の赤字を垂れ流して国費を食いつぶしていたが、分割民営されてからは7000億円の税金を納めるようになった。日本航空は再生会社になっても、飛行機は飛んでいる。東電を潰しても、電気はストップしない。
 福島原発の事故は東電の官僚体質がもたらした人災なのだから、東電は破産させて新会社を作り、全国の電力会社も発送電分離を進めるべきである。どこの電力会社からも全国の地域に電気を送れるようにして、電力会社にも競争原理を導入し、国民は安い会社から電気を買うようにするべきだ。企業の自家発電を、危機管理の面からも大いに推奨すべきだろう。コストのかかる経営をしていても電力料金を上げればよいというような体制を、一刻も早く改めなければならない。


 繰り返すが、「脱原発」は、間違いである。やらなければならないことは、日本は技術力を結集して、地震にも津波にも、二度と事故の起こらない原発を完成することだ。そして、真の原子力安全体制を確立し、世界にその技術を提供すること…、言い換えれば、世界の原子炉を安全な日本製にすることを考えるべきである。


8月17日(水) 民主党代表選 -前原は出馬するか-


 理不尽にも菅直人が突きつけた辞任三法案が(法案自身の正当性は別にして)成立する見通しとなり、歴代首相ワースト5以内には確実にランクされるであろう(ワースト1とか3とかランキングするべきところだが、直前に鳩山、その前が麻生、福田と並んでいるので、つい躊躇してしまった)菅首相が、やっと辞任する運びとなった。
 一向に進まない大震災の復興、原発事故の収拾、さらには大震災に勝るとも劣らない国難と言うべき円高と、喫緊の課題には手も足も出ず、「エネルギー再生法案」なんて極楽トンボなことに血眼を上げている政権には、一刻も早い退陣を願うしかない。
 これにともない、民主党の次の代表戦に向けての動きが活発化している。本命といわれる野田佳彦財務大臣に対して、対抗馬は大勢いて海江田万里経産大臣、鹿野道彦農水大臣、馬渕澄夫前国交大臣、仙石元官房長官など、わけのわからん連中までもが「推薦いただけることはありがたい」などと、身内の2~3人が出ろ出ろと言っているだけなのに出馬をにおわしている。
 野田佳彦は、財務省に取り込まれすぎていて、その政策では日本は後退するだけである。増税・大連立…なんて、前時代の政策しか語れないこの男に期待することは何もない。本命といわれているが、他に人材がいない民主党だからまだマシだというだけで、本気で彼を担ごうとしているものは、ごく少数であるというのが本当のところだろう。
 海江田万里は、本会議で泣いたことをマイナス評価されているが、国民は好感を持って受け止めていると思う。菅政権などという泥舟の、しかも経産相なんて貧乏くじの矢面に立たされ、一生懸命にやるほど後ろから矢を射られて、無念の涙を流した心情にはみんな同情している。「あんなアホのために、なんで…」と誰でも思うだろう。菅直人は原発再開にゴーサインを出しておきながら、海江田が「再開を承認します」と言ったとたん、「ストレステストを行い、完全に安全が確認できるまでは…」なんて世間におもねることばかりを考えて、平気で裏切る始末であった。海江田は、自分のために泣いたんじゃない、菅政権の情けなさに泣いたのだ。ただ、党内の支持基盤は脆弱である。
 馬渕は子沢山…、だから実直だ(大阪の橋下知事も、同様の意味で実直だ)。2005年の構造計算書偽造問題を追求して名を上げ、2010年前原国交大臣の後を受けて副大臣から昇格したが、11年内閣改造で退任。経済産業副大臣を打診されるも、これを拒否している。まあ、今回出馬すれば、負けてもともとの顔見世興行だろう。
 あと、鹿野、仙石、樽床なんて、コメントにも値しない。


 前原誠司…、出馬するだろう。今の民主党代表は、即ち内閣総理大臣である。民主党は、この先、選挙に勝つことはないだろうから、二度と民主党政権が成立することはない。政界が再編されて、いつかまた前原に首相の座がめぐってくるかもしれないが、それは先の話で、その保証もない。
 しかし、今、代表選に勝てば、前原政権が出来るのである。2年後の次の衆議院選挙まで、前原内閣を組閣して実績を示し、(民主党はもう終わっているから、その再生なんてことは考えずに)新しい政界図を作ればいい。そのキャスティングボードを握れるとなれば、遣り甲斐のあるポストではないか。



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