ハワイ         10

見えた、ハワイの島! 何島かはわからない。
第1日目
 
 名古屋空港 ホノルル空港 (ハワイ島へ)コナ空港
 キングカメハメハ・ホテル
  ハプナGC 


 
ホノルル空港
 何島かはわからないけれど、眼下にハワイの島影が見えた。名古屋空港を発って8時間、章くんにとっては30年ぶりのハワイである。
 コンチネンタル904便は比較的空いていて、80席ほどの空席があった。名古屋空港で渡された章くんたちの席は、真ん中3席となっていたのを、ヤスヱが「窓際2席と通路を挟んで1席のほうが楽」と言い出して、出発間際に変更してもらったので、最後尾から2列目の席であった。どん詰まりだから周囲はガラガラで、かえって横になってハワイまで寝てこられたから、確かに楽チンであった。
 定刻、午前8時ホノルル空港着【拡大】。入国審査に長蛇の列ホノルル空港…、みんな日本人…、今週はきっと日本の総人口が少なくなっていることだろう。
 入国票を書いていないおじさんがいて、窓口でストップ。このおじさん、オール日本語で、この用紙に書けと渡された票を前にして、「面倒臭いホノルル空港の入国審査。 全部、日本人だ!のぉ。何て書くンや」とわめく。日本語の解る空港職員が来て、親切に教えていた。ハワイ旅行に英語は要らない。ここは、すでに日本である。
 ハワイ島へ渡るのには、ハワイアン航空に乗り換えねばならない。荷物も乗せ替えなければならないのが少し面倒だが、荷物預かりはすぐ近く。搭乗ゲートは別棟だから、人間はちょっと歩かねばならないけれど…。
 何か飲もうと、カフェに入った。「これが美味しいよ」とウエイトレスのおばさんが勧めてくれた「チチ」は、ショッキングピンク…、むっちゃ甘い。
 それぞれのコップにはミニチュアの唐傘が添えられていたのだが、「ジャパニーズのゲストだから…」とサービスしてくれたのだろうか。3人分25j15k。チップともで30ドル置いてきた。




コナ空港
 10時10分 ホノルル空港発。ハワイ島へ渡る飛行機は、乗るのに並ぶ、先着ハワイ島 コナ空港。 抜けるような空の青さだ!順だ。アメリカでは、国内便はバスみたいなもの。45分間で、ハワイ島コナ空港に着いた。【拡大】
 コナ空港はとても可愛い。空港の建物も茅葺屋根の平屋だ。空が抜けるように青い。
 まず、レンタカー「ダラー」の窓口を探す。コナ空港なんて小さいところだから、空港の片隅にあるんだろうと思って、空港のおじさんに聞くと、道路の向こうへ行けと言う。実は、道路の向こうではなくて、道路からシャトルバスに乗れと言っていたらしいのだが、道路の向こうに「ダラー」の看板が見えたものだからややこしい。
 その看板の建物は、昔、レンタカー各社の受付が並んでいたけれど、今は飲み物やさん。おいおい…「ダラーは?」と聞くと、また道路の向こうを指差して、向こうへ行けと言う。「また、戻れって言うンかい」と面喰っていると、ヤスヱが、「道路からバスに乗れと言っているみたいよ」と謎解き…。
 ヤスヱは5年ほど前から英会話を習っていて、国際交流ボランティアとかで、年に3〜4回ほど世界各国からの家庭人を受け入れたり、自分も出かけたりしている。章くんはヤスヱの英語をバカにしていたので、飲み物やのお兄ちゃんの英語を聞き取ったのに驚いた。事実、この旅を通して、ヤスヱは、出たとこ勝負の章くんよりも、よほど的確な対応をしてくれたのである。ヤスヱも、時には役に立つじゃァないか。
 滋子さんに荷物番を頼んで、やって来たダラーのバスに飛び乗り、章くんとヤスヱは営業所へ行って車を借りた。ツアーについているコンパクトタイプでは、トランクに3人分のキャディバッグが乗らない。ランクアップして、ちょっとデラックスな車を借りて、空港へ取って返した。
 道の左端に停めて荷物を積み込んでいたら、黒人の婦人警官のおばちゃんに、ここに停めてはいけないと叱られた。「僕らジャパニーズやから…、荷物積んだらすぐ行くから…」と頼み、ついでにトランクの開け方も教えてもらってサンキュー。 出発だ!
 

キング・カメハメハ・ホテル
 コナ空港を出て、19号線を南へ向かう。道の左右は、見渡す限り溶岩の荒野が広がり、その中をどこまでも果てしなく道路が続く。   【拡大】
 空港から10分少々。右手に家々が立ち並んでいる一角が見えてきた。章くんたちが泊まる「キング・カメハメハ・ホテル(以下、キンカメ)」がある、コナ・コーストの一角である。だいたいのところを、エイッと右に曲がり、ちょっと違うかなと左に曲がり、次を右に曲がったら、目指す「キンカメ」に突き当たった。海に出るところの曲がり角に建っているのだから、とにかく海を向いて走り、海辺に出たら南へ走ればよいのである。キンカメのロビー
 キンカメはコナの繁華街のど真ん中にある。もともとハワイ全島を平定したカメハメハ大王が居を構えていたという場所。ホテルの名まえも、大王にちなんだものであることはいうまでも無い。
 チェックインを終えて、それぞれの部屋が決まった。最上階の675〜677号室。滋子さんの675と章くんの677は海側の部屋で、いわゆるオーシャンビュー。ところがヤスヱの676号は反対側で、隣の棟と向かい合っていると言う。神様は、見るところを見ていらっしゃるなと章くんは納得であるが、滋子さんは「替わってあげようか」と心遣いを見せる。ヤスヱもさすがに「いいの、いいの」と言っていた。
 部屋へ荷物を片付けて、先ずはハワイ島でのツアーの申し込みに、入ってくるときに玄関脇で見た「Activity」の窓口へ出かけた。
 座っていた50才ぐらいのおばちゃんに、「Do you have a helicopter ride of Kilauea volcano?」(キラウエア火山見物のヘリコプターツアー世話してくれる?)と頼むと、「Did you want the reservation?」(予約するの?)とか聞くので、適当にYesとか Noとか言っていたら、こっちへ来いと言って、ホテル内にある「近鉄観光」の営業所へ連れて行ってくれた。こいつと英語で話していては、きっと後々に面倒を起こすと思ったのだろうか。プールからホテルを望む
 近鉄で、「明日、ヘリコプターツアー空いてるかな」と申し込むと、即座に運行会社へ電話をしてくれて「4日後、土曜日の12時15分しか空席がないといっています」との返事。12時から飛んでいては、それだけで1日が潰れてしまうことになるけれど、それしかないのならば仕方がない。一人365ドル、3人で1095ドルの申込金を払い、ついでに「もうひとつ、土曜日に予定していたコナCCのゴルフを、明日に取り直してよ」と頼んで、8時46分のスタートを取ってもらった。


ハプナGC http://www.hapunabeachprincehotel.com


 時計を見るともう2時前。今日のゴルフ「ハプナGC」を、午後2時のスタートで申し込んであるのだ。
 ゴルフウェアーに着替えて、先ほど空港から南下して来た19号線を、今度は北へすっ飛ばす。片側1車線のこの道の制限速度は55マイル(約88Km)/時。でも、みんな65〜70マイルで走っている。
 空港へ入る信号を越え、さらに北へ向かって走ったのだが、空港の信号のあとは30分間ほど1個の信号にも出くわさなかった。約90Km/hで30分間だから、45Kmの区間にひとつも信号がないのである。ようやく、マウナケァ山へ曲がる道の交差点に信号があったが、これほど信号がないと、何か落ち着かない。やっと赤信号で止まったときには、なぜかホッとした。


 ハプナGCへ着いたのは、2時30分を回っていた。玄関にバッグを下ろし、駐車場へ車を置いて戻っていくと、「すぐにスタートさせてくれるって」とヤスヱが呼んでいる。遅れたのを詫びて、何とか今からスタートさせてほしいと頼まなきゃと思っていたところ、さすがはヤスヱだ。何と言ったのかは知らないけれど、カートにバッグを積んでエンジンを吹かして待っていた。
ハプナGC ラフの長さは特筆物だ
【拡大】

 実は、このエントリーには、もうひとつクリアしなければならない問題があった。章くんがインターネットで申し込んだこのスタートは、いわゆるトワイライトという午後からのスタートで、料金もこのハプナの場合、普通が165ドルに対して105ドルとかなり安い。ただ、申し込み画面の受付のところに「マウナ・ケア・ビーチ・ホテル ゲスト オンリー、Show the room key(ホテルの部屋の鍵を提示せよ)」と書かれていて、キンカメに泊まっている章くんは、それでもさせてくれ〜とかなんとか頼み込まなくてはならないのかと思っていたのである。
 勿論、ヤスヱはそんなことは知らない。知らないものの強みで、ヤスヱは、「遅れたぁ。早よスタートさしてぇ」と駆け込んだのである。ヤスヱの迫力にぶったまげた係員は、料金はもう入金しているわけだから、とにかくバッグを積んだのだ。ヤスヱ、結構やるじゃないか!
 
 
アウト
 ハブナGCは1992年のオープン。アーノルド・パーマー設計、ラフのすごい、たいへんなハプナGC どこを向いてもラフばっかり難関コースである。
 1番。どっちへ向いて打つのかが解らない。ティグラウンドの周りは全てラフで、しかもそのラフは刈ってない草原だ。コース図を調べ、フルバック(黒)からバックティ(青)を結んだ線を延長して、こっちの方向と見定める。バックからだと、とにかく100ヤードほど打たなきゃ、フェアウエイには届かない。チョロ厳禁…!
 しかも、ハワイの風は半端じゃない。章くん、フェアウエイ右に向かって打ったボールが、左のバンカーへ入った。


 滋子さんとヤスヱのお二人は、コースの景観に仰天している。それでも滋子さんは大和なでしこ…、粛々とティアップして、パシュッとフェアウエイへ。ヤスヱはロングヒッターである。フロントティからだが、章くんが入れたバンカーの左のセミラフへ打ってきた。
 章くん、バンカーから7番でフロントエッジへ。アプローチを奥のピンへ思い切って打ったけれども、全然足らずに2パットのボギー。滋子さん4オン2パットの6。ヤスヱ3オン3パットの6。ハプナGC あの住宅の庭先へ売っていく
 腰… 痛くない。車の運転時には少し重いけれど、ゴルフをしていると全く元気。佐藤先生から、消炎鎮静の塗り薬を5本貰ってきて、朝晩塗っていることも功を奏しているのだろうが、このハワイの暖かさと、何よりも10日間遊びまくれるという開放感が、極楽トンボの章くんを元気にしているのだ。
 こうしてスタートしたハワイのゴルフは、章くんのアウトが39…。実は、章くん、これまでの海外ゴルフで「70台」を出したことがない。時差や遠征の疲れもあるのだろうが、海外へ出かけるときには、まずトーナメントなどを開催する有名なコースをピックアップして行くので、当然、難しいコースばかりとなる。しかも、バックティからのゴルフだから、ぺブルビーチのミドルホールなんか、セカンドのほとんどにウッドクラブを持っていた。スコットランドやアイルランドのコースは、曲げたら全て膝や腰まであるラフに入るから、すぐにダボとかトリ…。グリーンへ落ちたボールが、跳ねてコロンとラフに入ったら、いくつ叩くか判らないのである。


イン 70台のチャンス
 このハプナのアウト39は海外初の70台へのチャンス、インを40以内で上がればよいわけだ。10番をボギーでスタートしたものの、あとは14番までパー。残り4ホールで、3つボギーを叩くことが許される。と思ったら、15番ボギー、16番は3パットのボギー、17番もボギーと来て、後がなくなってしまった。
 18番は442ヤードのパー4。セカンドが打ち下ろしだけれど190ヤードが残り、しかもグリーンは高い砲台のアイランドグリーンである。力んだ3アイアンのショットはダフってショート。アプローチを5mに乗せて、迫り来る夕闇の中でかすかに見えるカップに向かって放った渾身のパーパットは、ボール1個右を通過してボギー。
 上がりの4ボールを全てボギーとする、痛恨の41で計80! 夢の70台への挑戦は、また明日以降に持ち越されたのである。                  【拡大】
ハプナGC 夕闇の中、点在するホールの向こうに 海が見える。

 滋子さんとヤスヱは、このコース、ストロークが続かない。曲げたりチョロしたらロスト…、持って行ったボールの大半を失って、途中からボール拾いに目的を変えた様子である。
 章くんたちの後ろから、もう一組が回ってきた。案の定、日本人の3人組だ。章くんが18番で5mのパーパットを外したのが、カップがかすかに見える頃であったから、彼らはセカンド地点からグリーンが見えなかったことだろう。玄関でバッグを積むときに顔を合わせたので、「ホールアウト出来ましたか」と声を掛けたら、「ええ、なんとか」と笑っていた。


レストラン「Beach Dog」
 日本を出てから、飛行機の中で仮眠して、今日のゴルフだ。章くんにしてみれば、いつもの日程であるが、慣れない滋子さんやヤスヱにとっては、かなりのハードスケジュールであったことだろう。しかも、その第一戦が強風下のヘビーラフのコースとあっては、クタクタのはずである。
 帰り道、「私、寝るかも知れないよ」と、ヤスヱが珍しく弱音を吐く。「ナビが寝て、どうするンや。運転手も寝るぞ」と脅すものの、滋子さんやヤスヱは疲れたことだろう…、寝ても仕方がないな…と思っていたら、助手席でヤスヱは上まぶたを指で支えて、目を開けている。面白いような、可哀相なような…。
 家々に明かりが点ったコナ・コーストに戻ったのは、午後7時を過ぎていた。キンカメの駐車場に車を停めたあと、部屋へは寄らずに夕食を食べに出た。とにかく夕食を済ませて、後は部屋でゆっくり…という算段である。
 その点、キンカメは、ホテルを出ればレストランやアウトレッBeach Dog  この写真は 後日の昼間に撮ったものトなどがすぐ前に並んでいるので、たいへん便利だ。ホテルのすぐ前の交差点にあるレストラン「Beach Dog」に上がった。靴を脱ぐわけではないハワイのレストランで「上がった」というのは、この界隈の店は1階が物販店で、2階がレストランという形式が多く、2階へ上がったからで、階段脇に置かれたメニューを見て、客は階段を上るのである。
 章くんはシュリンプ(小エビ)&ロブスター、滋子さんは「野菜を食べないと体調が悪い」と野菜サラダとフライドチキン、ヤスヱは「肉を食べないと闘争心が湧かない」とステーキ。それ以上闘争心を燃やして、どーするんだ。世間に迷惑を掛けるだけじゃビーフ&ロブスター レストラン 「ビーチ・ドッグ」ないか。
 ちょっと大味な、ハワイ仕立ての夕食であった。その中では、味をつけて煮込んだシュリンプが細かな手が加えられていて、食べられるかなといったもの。ロブスターは蒸し上げたものを盛り付けていて、素材の新鮮さをそのまま生かしているのだろうけれど、料理としては物足りない。コショウと塩で懸命に味付けして食べたけれど、こののちも、この旅の中では、ついぞ納得のロブスターには出会えなかった。



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その2